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妹の頼みごと

ね、お姉ちゃん。

私お姉ちゃんに頼みごとがあるの。

お姉ちゃんの靴を1日だけ貸して欲しいの。


ほら、前に話したことあるじゃない?

三ヶ月くらいまえから店によく通ってくれるようになったお客さんで、いつも私に声かけてくれる人がいるって。

まあ、なんとなく私に好意があるのは明らかなんだけど、少し軽薄そうだから適当にあしらってるって言ってた人。エイトって人のこと。


その人がね今日ひどくかしこまった服を着てお店に来たの。

そして、今居候している叔父さんの家に私を招待したいって言ってきたの。

私は断ろうと思ったんけど、支配人が行ってみろって。

不良を気取っているけれどあれは田舎から出てきた良い家柄の子息だ…なんて言うのよ。

うん、本当にあの人軽口ばかり叩いて不良みたいなの。

だけど時々それはそれは真剣な瞳で私を見つめたりするの。

まあ、悪い人ではないんだろうな…なんて思っていたところに今回の急なお誘い。

彼ったらね、私の持ってる一番いい服を着て次の日曜日にハマ駅の停車場に来い…なんて言うの。

ふふ、きっと無理して馬車をチャーターして迎えに来るつもりよ。

男って見栄を張りたがるからね。


それでね、服はちょうど角の仕立て屋で頼んであったブルーのワンピースが出来上がる予定なんだけど、あの服に似合う靴を私は持ってないの。

黒の靴も持っていたんだけど、ベルトのホックがバカになっちゃったから捨てたばかりで…安物はダメね。

私、お洋服の仕立て賃を払ったら無一文になっちゃうのよ。

だから私には靴を買うお金が無いの。

お給料日は再来週だし…

そこでお姉ちゃんの靴を貸してもらえないかなぁと思って…


ええ、もちろん日暮れ前には帰って来るわ。夕飯も食べていきなさい…なんて彼の叔父さん夫婦に言われてもね。

ランチならともかく初めて行った家でお夕食をいただくなんて図々しいことはしないつもりよ。

たとえ音楽をかけられて一緒にダンスを…なんて誘われても、それも断るつもり。

だからお姉ちゃんの靴を借りたとしても、エイトがその靴を踏んでしまうようなことには絶対にならない。


ね、だからお願い。

お姉ちゃんの靴をかして?

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