夏の大会(一日目)
夏の市長杯争奪戦はね、優勝したチームは、県大会に出場できるから、みんな春の大会よりも気合が入るんだ。
今年こそは「ブラックホークス」に勝って、県大会に行きたかった。
前の年、決勝で「ブラックホークス」に負けて、卒業する六年生の先輩たちが泣いてたのを見てるしね。
その日は、中学一年生になった先輩たちもスタンドに応援に来てて、
「翔太、頑張れよ!」
って声を掛けてくれた。
僕はスタンドを見上げて帽子を取り、
「はい!」
って大声で返事したんだ。
耀と母さんの姿も見えたよ。
春の大会の時と違って、僕はスタンドを見上げる余裕が出来てた。
でも、試合中はチラッとしか目を上げられなかったけどね。
第一試合は、「桜台パイレーツ」と対戦。
打線が爆発し、僕も絶好調。
四打数三安打、二打点。
五年生ピッチャーの聖司君も相手打線を寄せつけず、五対〇で勝利。
みんなも気合が入ってたし、今年は行けそうだと思った。
僕がヒットを打って塁上で目を上げると、
耀と母さんがスタンドから僕に手を振って
くれた。二人とも凄く喜んでた。
僕は塁上で小さくうなずいたんだ。
◇◇
昼休み。
市民球場の外の木陰で、配られた弁当をチームのみんなと食べてると、耀と母さんが来て差し入れをしてくれた。
「はい、翔太、差し入れよ!」
って、母さんが僕の大好きなシュウマイを手渡してくれた。
「翔太、次の試合も頑張ってね!」
って、耀も栄養ドリンクを手渡してくれた。
僕がドリンクを受け取ると、
「ヒュー、ヒュー」
って、冷やかされて恥ずかしかった。
耀も恥ずかしいみたいで、母さんと直ぐにどこかに行っちゃった。
シュウマイは箱に二十四個入ってたのに、
アッと言う間にみんなに奪われて、僕は
二、三個しか食べれなかった。
◇◇
第二試合は、「南台ブレーブス」と対戦。
打線が良くて、結構強いチームなんだけど、六年生のエースピッチャー貴史君が力投。
三対一で勝利。
僕も好調を維持。
三打数二安打、一打点だった。
一日目は、この二試合で終了。
僕は二試合とも、得点にからむ活躍が出来て嬉しかった。
僕は春の大会で認められて、この大会から六年生に混じって、クリーンナップの五番を打つようになってたんだ。
監督とコーチの期待に応えられて、凄くホッとしたよ。
僕はその頃、ボールが来るコースに合わせ、レフト方向に引っ張ったり、ライト方向に流したり、さからわずにセンター方向に打ち返したり出来るようになってたんだ。




