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スラッガー⚾️  作者: 宇目 観月(うめ みづき)
25/29

源次郎丸対策

修学旅行も終わり、夏の大会まで二週間を

切った。


僕達「デンジャラス」は、日がれるまで

毎日猛特訓(もうとっくん)したんだ。



源次郎丸対策(たいさく)には特に力を入れた。


打撃練習では、源次郎丸の豪速球に対応たいおうするため、僕と木村君が、プレートの一、二メートル手前てまえから投げた。


だけど、みんな源次郎丸のボールと違うって言ってた。


源次郎丸のボールは、もっとがって来る感じなんだ。



けっきょく、緒方コーチがプレートから全力で投げたたまが、源次郎丸のボールに一番近いってことになって、僕達は緒方コーチが投げた球を打つ練習をかえした。


みんなバットを短く持って、コンパクトにスイングし、バットにボールを当てる練習をしたんだ。


緒方コーチも毎日投げ過ぎてヘトヘトになってたけど、頑張ってくれた。



◇◇



みんな最初はこわがってた。


でもれてくると、タイミングの取り方が分かってきて、あんがいかんたんにミート出来るようになって来たんだ。


内野ゴロや、ポップフライばっかりだったけ

どね。


それでも、僕と木村君と英次君は、外野まで飛ばせるようになって来たんだ。


「みんな、いいぞ! これなら何とか戦え

そうだ!」


って、監督は喜んでた。


「バットを長く持っていのは、翔太と木村と英次だけだ」


って、監督が言ってくれたんで、

僕はうれしかった。


バットを短く持つと、僕はどうもスイングしずらかったんだ。



問題は源次郎丸のチェンジアップだった。


源次郎丸のチェンジアップは鬼塚君と同じで、ストレートとまったけがつかなかっ

たんだ。


「たぶん源次郎丸は、わしづかみに近い状態じょうたい

投げてるんじゃないか」


って、緒方コーチは言ってた。



基本きほんてきにはストレートにタイミングを合わせて、チェンジアップが来たらなるべく体をのこして、カットするしかないな」


って緒方コーチが教えてくれたけど、みんな

なかなかそれが出来なかった。


突然とつぜんチェンジアップが来ると、みんなタタラをんだようになって、体をのこす前にスイングしちゃうんだ。



けっきょく、監督がこう言ったんだ。


かたがない、チェンジアップはててストレート一本にしぼろう。それからアイツはだまだから内角もてよう。ぶつけられたら、たまったもんじゃないからな。ツーストライクまではなかからそとの球をねらうんだ」



◇◇



僕達の作戦はこうだった。


とにかく源次郎丸のボールをよく見て、

なかか、外角のストレートだけをねらう。


ツーストライクにまれるまでは、

の球は全部()てる。


源次郎丸はだまだし、いたいけど、きゅうか、フォアボールで出塁は可能かのうだから、かならず得点

のチャンスはあるはずなんだ。


出塁したら、送りバントかヒッティングで

進塁をねらう。


ゴロを打ったら、 一塁まで全力ぜんりょくしっそうして

相手のミスをさそう。


ランナーが三塁まで進んだら、

スクイズでとくてんする。



だから僕達は、当てる練習とバント練習を

かえした。


じっせん形式けいしきで監督にサインを出してもらって、

スクイズの練習もたくさんやったんだ。



◇◇



たぶん、当日は聖司君と源次郎丸の投げ合いになるはずだから守備も重要じゅうようだった。


れんけいプレーをかくにんし、ベースカバーや色々(いろいろ)めんでのセオリーを、監督がボードに書いてせつめいしてくれた。


ゲッツーの練習や、あいのスクイズをハズす

練習もやった。


「とにかくノーエラーをそう。翔太、あわて過ぎて暴投すんなよ。みんな落ち着いて、一つ一つ確実にしょするんだ!」


って、監督が言ったんだ。



だんあまりノックをやらない監督も、

あせダクでノックしてくれた。


緒方コーチはげき投手とうしゅをやって、つかれてたか

らね。



監督はふとってるけど、 実はノックが凄くいんだ。


キャッチャーフライなんかめちゃくちゃ高く上げれるし、野手のグラブの先をスレスレでけていくような打球をせいかくに打てるんだ。



「翔太、今のかったぞー、とん十枚だ! 次の取ったらハワイ旅行だぞ、アーッ! 一歩目がおそかった、チクショウ!」


とかって言って、僕が取れないギリギリの所にゴロやライナーを打ってくるから、楽しくてかたなかった。


「監督、今のもう一本!」


って、僕も要求ようきゅうしたんだ。



みんなで同じ目標に向かい、一致団結して

練習に取り組むのは、 何とも言えない充実

感があって楽しかった。 


[やっぱり、野球ってばららしい!]


って、僕は思ったんだ。



◇◇



練習が終わると家に帰ってお風呂に入り、

夕飯を食べた後、テレビもずにひたすら

受験勉強を夜中の十二時までやった。


受験勉強は毎日やるって、耀と約束してたか

らね。


練習がある日は、朝のランニングも、

自主じしゅれんも休み。


栄養をたっぷりとって、しっかり休養しないと筋肉は発達しないんだ。


そのわり勉強して、頭をきたえるんだ。



そうは言っても、疲れちゃって、机に突っ伏

して寝てしまう時もあった。


そういう時は、母さんがいつの間にかタオルケットなんかを僕の体に掛けてくれた。



目を覚ますと、僕は嬉しくてタオルケットを

抱きしめたんだ。


母さんの愛情を強く感じたから。



僕が起きない時は、


「ほらー翔太、 寝るならベッドで寝なさい」


って、母さんがベッドまで僕の体を支えて運

んでくれた。


僕はそういう時、 赤ちゃんになった様な気分で母さんに抱きついてあまえたんだ。 



「あらあら、体は大きくなっても、心はまだ

赤ちゃんね」


って、母さんは笑ってた。

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