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第6章 その後の正斗

 正斗は、A幼稚園音頭を踊っている最中に雪子が、幼稚園を出て行ってしまったことに、とても悲しく感じた。そして、途中で帰ってしまったことに強烈な怒りを感じた。

A幼稚園音頭が終わると、正斗は、早速、担任の、神原先生に聞いてみた。


「なんで、お母さん、いなくなっちゃったの~。」


神原はうそをついた。


「勝手に帰っちゃったんじゃない。」


神原が言い終わると、隣の、年中の応援席にいた、年中が、話に頭を突っ込んできた。その子は正斗の友達の、原内海斗はらうちかいとだった。


「正斗君、違うよ。さっきのアナウンスで、出て行けと言われたから出てったんだよ。」


正斗は、神原を、ギロっとにらみつけた。その目には、年少とは思えないほどの威圧感があった。

そして正斗は質問した。


「どっちがホントなの?」


神原は、生徒にうそをつくのもよくないと思い、正斗に本当のことを話すことにした。


「本当は、さっきのアナウンスで、出ていけ、と言われたから出て行ったんだ。うそをついてごめんなさい。」


「なんで、うそをついたの?」


正斗は、鋭い目つきになって、神原をにらみつけた。先生と、生徒が反対になっているようだ。神原は、話をそらすように言った。


「正斗君、年中の、障害物競走が始まるから座って!」


正斗は、反抗した。


「ぼく、絶対に座らない、裕子先生が、本当のことを言うまで、座らない!」


「座りなさい!!」


「やだ!!」


この声を聞きつけて、3人の先生が駆け付けた。その中には、園長先生もいた。そして、園長先生は、正斗に声をかけた。


「どうしたのかな?正斗君。」


正斗は、泣きながら、少しずつ、今までのことを、話していった。そして、だんだんと、園長先生の目が、大きく、恐ろしい目になってきた。そして、神原に言った。


「なんで正斗君に、本当のことを言わんのじゃ?」


神原も、園長先生に怒られると頭が上がらなかった。そして、園長先生に、本当のことを話した。


「正斗君は、手や、腕の力が強い。本当のことを言ったら、暴れて、先生や、生徒を攻撃してしまうと思ったからです。」


園長先生は、今の言葉に対して、ゆっくり言った。


「その時は、その時じゃ。正斗君の将来のことについて、考えておくれ。年少さんは人のまねをして覚える、うそをつくことを、覚えてしまったら困るじゃろう。神原先生、本当のことを言ってあげなさい。」


「分かりました園長先生。」


園長先生は、優しい顔に戻っていた。そして、園長席の方へ向かった。


「正斗君、本当のことを、話すね。実は、私も、本当のことを知らないんだけど、きっとね、正斗君のお母さんがね、みんなが踊っているときにね、大きい声を出したんだよ。曲が聞こえなくなっちゃうから、出て行ってって言ったの。」


正斗の顔が赤くなった。


「なんで出ていけ、なんて、言っちゃうの?『これからはやめてね』って言えばよかったのに。」


神原も、そう思っていた。わざわざ出て行かせるほどでもない。注意だけでもよかったんじゃないのかと。


「正斗君、放送席の人に、聞いてみるから待っててね。」


正斗はうなずいた。


第7章へ続く。

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