第19章 正斗の運動会 part9 正斗の仕返し
バ――――――――――ン
轟音が鳴り響き、ボールは保太の足から発射された。そのボールは正斗を吹っ飛ばした。取る準備もせぬままボールを体に当てられた正斗は痛い思いと何が起こったかわからない思いが複雑に絡み合っていた。そして地面にあおむけで倒れた。
「正斗よわー! こんなのも取れないなんてカスやわー。」
保太が勝ち誇ったポーズをしているうちに正斗はすぐさまボールをとってこう叫んだ。
「俺をバカにするな――――――――――!」
正斗の投げたボールは保太のよりも速く、下方向に向かった。正斗の憎しみの込められたボールは保太のくるぶしに当たった。そして足がすくわれ、うつぶせに倒れた。
「は、こんなのも取れないの? 保太レベル低!」
保太は怒りの目でこっちを見つめた。少し涙が出ている。両ひざは擦りむいて、顔には砂がついていた。保太はよろめきながらも近くにあったボールを正斗に向かって蹴った。しかしくるぶしに剛速球が当たり、両ひざを擦りむいている保太にはボールをける力などなかった。ボールはコロコロ転がった。正斗は言葉で仕返しをした。
「は、何そのボール。赤ちゃんでもこれ以上転がせるよ、レベル低すぎ!」
正斗はもう一球ボールを投げた。保太は応援席に向かおうとしていたが正斗の投げた剛速球が保太のひざ裏に当たり、バランスを崩して倒れてしまった。涙と砂がくっついて大変な顔になっていた。
正斗は周りを見回した。すると木の根元にきらきらとしたものがあった。保太を置いて見に行ってみるとそれはメダルだった。『3年間頑張ったね。小学生に向けて頑張ろう!』と書いてあった。正斗は、保太に対する最大の仕返しを考えた。そして、そのメダルを動かなくなっている虫みたいな保太にそのメダルをかけてやった。そして駆け足で応援席へ戻った。
応援席へ戻ると園児の前に、クラスで1台テレビが置いてあった。そこには宝探しの実行中継が行われていた。すると拍手が巻き起こった。
「Aチーム宝を獲得しましたー!」
すると年長児の声が聞こえてきた。
「イエーイ!」
ピースサインをしている年長児がでかでかと映し出された。
「さあ、残るはBCDEチームです。頑張ってください。Aチームからの中継終わります。」
正斗が保太にかけてやったメダルはBCDEチームのどれかの宝物であり、それを保太がつけているということから、保太のせいだと思われ、保太は先生に怒られるのだ。
時間がたつにつれて年長児はどんどん宝を見つけ、残りはCチームだけになった。つまりCチームの宝は今、保太がつけているメダルなのだ。
「実況こちらCチームでーす。Cチーム苦戦しております。ここだと思った場所に行っても宝が見つかりません。」
正斗は笑いをググっとこらえた。本部の方を見ると、そわそわして話し合っている先生がいた。宝のことについてに違いない。今頃保太はどうしているのだろう。正斗は考えた。
「こちらCチームでーす。宝ありました。保太君の首に掛かっていました。保太君は倒れています!」
映像を見るとまだ動かなくなっている虫のようになっていた。顔もさっきと一緒でごちゃごちゃだ。先生たちは幼稚園の森に疾走して入っていった。正斗はこの仕返しが失敗するような予感がした。
画面を見ると先生が保太のところに寄り添っていた。そして手に持っていた担架を広げて保太をのっけた。足がおかしくなっているようだ。しばらくすると先生たちが幼稚園の森から出てきた。そして保健室に走っていった。
第20章に続く。




