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8 幸前と骸骨

 剣を握る僕、幸前継刀はモンスターを払いつつ進んでいた。

 天川君と別れてからは道中にモンスターが数多くいたからだ。

 モンスターの規模もここまでになるとは僕も予想が出来なかった。


 そして、パートナーのフェリアは翼の生えた鳥人のモンスターに弓矢を構えていた


「俺はヴェルナ様のためにお前たちのことを倒さなければいけないんだ!」


 鳥人はそう言いつつ、フェリアに向けて魔法で出来た風の槍を飛ばしてくる。


 たしか彼はヴェルナ配下と言っていた。

 しかし、降伏したといっても言うことを聞いてくれないため、やむを得ずにこうして戦っている。

 名前はイグルティルの兄と名乗っていた。


「全く分からず屋ですわね。そういう分からず屋は嫌われますわよ」


 風の槍をフェリアはかわすと、弓矢を構えて矢を放つ。


「そんな弓矢はかわすのも容易い! ジャクソンからもらった新たなる力の前では!」


 イグルティルはフェリアの矢を少ない動きでかわす。


 確かに速い。

 更には矢を間髪でかわす機敏さも他のモンスターにはなかなかないほど。

 かわしてからの彼は急速にフェリア近づいてきた。


 しかしだ。


「あら? 弓矢だけが私のとりえではないですわよ」


 そう言うとフェリアが飛んで、スカートの中から短刀を出す。

 飛んできたイグルティルをかわして、短刀の鞘を抜きつつ、斬撃を当てた。


「ぐはぁ……!」


 斬撃を浴びて、イグルティルは倒れる。

 短刀とは言えどあの刃には切れ味はある。

 それも、大型の敵を一撃で倒せるくらいの。


 攻撃を受けたイグルティルはすぐに光に包まれて、フェリアは着地をする。


「助かったよ、フェリア。面倒ごとが一つ減って助かる」


 僕はモンスターを切り伏せて、フェリアへと礼を言う。

 翼が二対の鳥のようなモンスターや背に黒い翼の生えた男性のようなモンスターも光に包まれて消えていく。

 これらは僕が切り伏せたモンスター。


 そして、僕の目的は大河原という名の冒険者を探すこと。

 大河原、僕以上にポイントを稼いだジャクソンの配下。

 彼を倒さないことには僕の冒険者としての復活もない。


「幸前も流石ですわよ。強くなったモンスターを前にしても変わらず蹴散らせていますから」


 フェリアからの評価。

 これらのモンスターも以前倒した経験はあるが、男性のモンスターは力が段違いだ。

 気に入らないという訳でもないけど、言葉にして反応することでもない。


 それよりも大事なことがあった。


「それと、大丈夫でしたか? もうモンスターもいませんので、後は逃げてもいいはずです」


 電柱の陰で隠れていた老人に向けて僕は言葉を送る。

 あの老人はモンスターから隠れていて、身動きが取れなくなっていたのだ。

 そこを僕たちが助けた形になる。


「ああ、すまないの。驚くことには慣れてきたものっだったが、モンスターとは予想が出来なくて」


「いえいえ、後は確か避難所が出来たと聞きますから、そこへと向かえますか?」


「場所も分からなくてのう……どこなのじゃろうか?」


 こう見えて、僕も場所を聞かれると困ってしまう。

 避難所があると聞いた経緯は今より少し前に助けた人がいて、その人から聞いた。

 だが、困ったことに場所まで聞く暇はなかったので、聞けずじまいだったのだ。


 そこで僕の契約石で出来た指輪が光る。


「私がお連れします。一つ分身を送れる余裕ができましたし、避難所の場所もつかめました」


 聞こえてきたのはメイルオンさんの事務員が出すような声。


「メイルオンさん、分かりました。ではそこはお任せします」


 案内役を引き受けてくれて助かる。

 自分で案内ということになれば困ったから。


 そして指輪が光り、鎧をまとった女性が現れ、老人も驚くそぶりを見せる。


「おお、今度はカラクリみたいなやつが出てきおったわ……もうモンスターがいるから何でもありな世界なんじゃな……」


「僕の協力者ですから、安心していってください」


 その僕の言葉の後にメイルオンさんは老人の手を握る。

 こうして老人はメイルオンさんに連れられて行った。


 僕はそれを見送ると、フェリアが寄ってくる。


「さて、幸前。ここ一帯もモンスターが片付きましたし、急ぎましょう」


「そうだね。ところどころダンジョンのモンスターよりも強い個体もいるようだ」


「イグルティルがジャクソンから貰ったといっていましたわね」


「そこは天川君に任せてもいいだろう。しかし、空もモンスターでいっぱいなのは困るな。白馬のフォルツに乗って探すことも困難な物だから」


 白馬のフォルツは天川君との共同戦線で見せた羽の生えた馬だ。

 僕が契約したモンスターで、移動と戦闘の時に乗って空の機動力を得るのに助かっている。

 本当であれば乗って空から大河原を探したいところだが、空からの襲撃が過激になるのでやめている。

 敵の数も多く、空を飛べば前後左右に加えて上下もカバーしないといけないため、地上から探すのがいい。


 ちなみにフォルツは今、離れたところで退避中だ。

 その白馬は僕からの視線を受けると、ふと、後ずさりをした。


「……あら、このフォルツの反応は」


 フェリアの言葉。

 フォルツは僕に一番懐いている。

 僕を嫌っての反応はあり得ない。


 そしてこの反応は前にも一度見た反応だ。


「モンスターを感じたってところか。君は敏感だったよね、モンスターの気配に」


 僕は以前のことを思い出しつつ、呟く。

 この反応があって、突然目の前にモンスターが現れたこともある。

 きっと今の反応もその予兆と見える。


 そして、僕の前に黒い炎に包まれた頭蓋骨が現れる。


「敵……!」


 フェリアの言葉と共に警戒の空気が流れる。

 しかし、妙なこともある。


「そのようだけど……攻撃の様子もないのは……」


 突然の不意打ちもなければ、今になって警戒する様子もない。

 敵とも違う存在なのだろうか。

 そう思ったところで、あちらの方から動きがあった。


「そう警戒するな。俺は大河原だ、攻撃を今の段階でするなんてつまらないことはしない」


 頭蓋骨の顎がカタカタと動いて声を響かせる。

 声からするに大人の男性のような印象を持つ。

 こんなところで目標の敵の遭遇とはまさかの対面だ。


「大河原! その様子はすでに死んでいたということですわね!」


 先に声をかけたのはフェリアだ。


「早とちりは良くないぜ、エルフのお嬢さんよ。俺は生きてご案内しようってのに」


「……そうですか。死んでいるわけではないと、残念なような、いいような」


「というわけで、早速だがご案内するとの要件は伝えた。場所は近くにある広場で戦闘といこう。俺からは以上だ」


 大河原の方からの案内とは願ってもみないこと。

 それが罠かどうかにせよ、向かう価値はある。

 拒否したところで手がかりがあるという訳でもないなら、行くしかないだろう。


 フェリアは僕を見ていた。

 それと、骸骨だから相手は死んでいるとの判断、それが早とちりなのは僕も同意する。


「幸前。拒否する要因はないですわよね?」


「ないね。罠だとしてもやみくもに探すよりはずっといいよ」


 僕からの同意。


「そういうわけで、今から向かいますわよ」


 フェリアはその意を伝えた。

 すると、骸骨は移動を始めていき、僕たちはその骸骨を追っていく。

時間をずらして次話に幸前のステータスも公開します。

ステータスは一日の間は残しますが、それ以降は設定集へと移します

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