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3 新生武器の実力はいかに

「く……私たちが話していたから、ばれたということ……」


 フェリアの残念がる声。

 不意打ちは出来ればいいだけで、出来なかったくらいで嘆くようなことではない。

 冒険者との戦いは基本不意打ちが通じないわけだから、不意打ちのない戦いも慣れてはいる。


「ははは、気にしちゃってるのかよ。俺は察知のスキル結構高くてねー、ダンジョンの入り口前でなんかやっているのは分かっていたんだけどね? お二組が攻め込んでくることはバレバレだったわけだよね」


 黄色い鉢巻の男性が声をかける。

 何だ、最初からバレていたということか。


「優勝候補が二人ってのはさすがに貫禄があるな。だが、この広いフロアで俺達三人を相手にして簡単に勝てると思うなよ」


 青い鉢巻の男がクルミを握りつつ話す。

 次に赤い鉢巻の男がポケットに手を入れつつ、前に出てくる。


「そういう訳だ。俺達はヴェルナ様、そして頭のためにここで負けるわけにはいかないんだよ」


 口ぶりからするに、もしかすると負けられない事情があるのかもしれない。

 だが、それでも俺は勝つしかない。


「そうは言ってもお前たちは悪名高いヴェルナの部下だろう? こっちだって負けられない」


 俺からの言葉。

 戦闘の予感を察知して、アムリスが俺の中に入る。

 その後のこと、赤い鉢巻の男は口元を歪めていた。


「悪名高いか……何度も聞いた言葉だが、気分がよくねえね」


「ん? 気に障ったか? なんか事情があるなら謝るし、話は聞くぞ」


「その言葉を言った奴は例外なく叩き潰してきた。今更謝っても遅い!」


「うーん、悪いことした感じだし、すまない……」


 俺は謝罪をした。

 どうとられたかは分からないが、これでも悪いとは思っている。


 その謝罪に対して赤い鉢巻の男が聞く様子もなく、後ろの男性に目を向ける。


「おい、黄城(きじょう)青城(あおしろ)。やるぞ、俺達の別の姿を見せてやれ」


 赤い鉢巻の男が声をかけると、後ろにいた鉢巻の男たちも同じく前に出る。

 青い鉢巻の男は同時にクルミも潰して移動してきた。


「おう、赤城(あかぎ)


 黄色の鉢巻の男が言葉と共に赤い光に包まれた。

 他の二人の男も同様にだ。

 おそらくは三人ともモンスターだと思われる。


 光が消えると姿を現す。

 黄色の鉢巻は黄色の鎧をまとった鳥に、青い鉢巻の方は青い鎧をまとったクワガタに。

 そして、赤い鉢巻の方は赤い城を想起させる鎧をまとった重装備の兵士へと変わった。


 どちらにせよ戦うのだが、気分を悪くさせてしまったのはやはり申し訳ない気持ちだ。


「どうする? 僕も出ようか?」


 幸前からの提案。

 俺が変なことを言ってしまったようだし、あの三人には申し訳ない感じだ。


 だから、せめて俺一人で相手をした方が少しは気分が楽だ。

 流石に幸前まで巻き込むと申し訳ない。


「いや、喧嘩を売ったのは俺だし、ここは俺がやる」


「分かった。では僕は見学ということで」


 幸前はそう話すと、壁の方まで下がる。


「お前の言ったことは俺達の一撃で後悔させてやるよ!」


 赤い鉢巻の男、赤城からの掛け声。

 それが終わったと同時に、三人のモンスターは俺へと飛び掛かってきた。


 すこし罪悪感はあるが、これを迎え撃たないといけない。


「こういう状態で新しい剣のお披露目というのはあれだな……」


 俺はそう言って剣に魔力を注ぐ。

 イメージは刀身の長い剣で、長さは3Mか。


 そこで、あることに気付く。


 すでにイメージした通りの刀身の長い剣へと変わっていた。

 今までだったらもう少し時間がかかっているはずなのに。

 結晶の精製速度が目に見えて変わっていたのだ。


「何だ!? そんな長い剣なんか出して!」


 赤城の言葉。

 三人は赤、青、黄のオーラをまとって俺へと突進している。

 俺へと当たるのはもうそろそろ。


 俺は剣を振るった。


「想像以上だ。結晶も今までより軽い」


 結晶をまとった剣で横に薙ぎ払う。

 今まで結晶を何度も付けて振るってきたが、明らかに軽さが違っていた。


 そして、放った斬撃はすでに終点を迎えてもいる。

 三人へと斬撃を当てた上で、だ。


「「「ぐあっ!!!」」」


 三人の男は斬撃を受けてのけぞった。


 このベルガルドエンデス、想像以上の仕上がりだ。

 俺が剣のことでイメージした形が想像よりも早くに出来上がっている。

 もしかすると、粘着化も早くなっているのかも。


 地面に落ちた三人を見て、もう一度試したいことが出来た。

 攻撃の隙がまだできている。


「よし、もう一発だ」


 俺は横の斬撃をもう一度放つ。

 今度は当てたと同時に結晶の粘着化、それと爆弾化もだ。


 三人は防ぐ術もなく、斬撃を受けてしまう。

 当てたと同時に結晶精製、粘着化、そして、爆弾化も行う。

 精製自体が早くに終わり、爆弾化した結晶も一薙ぎの間に相手に粘着していた。


「「「ぐぅっ……! うわあ!!!」」」


 斬撃を受けた三人は結晶の爆発も受けてしまう。

 煙が晴れたときには、三人は地に伏せていた状態だ。


(す、すごいわね……結晶の刃の切れ味もなかなかすごいんじゃないの?)


 アムリスからの心の声。


 俺も同じだよ。

 こんなに早く決着らしい形に持ち込めるのは想定外だ。

 剣自体の切れ味も上がっているとは思ったが、まさか刃としての結晶の方も上がっているとは思わなかった。


「まだやるのか?」


 俺からの問い。

 それに対して赤城の方は上半身を上げて俺を見る。


「……ぐっ、俺達は、冒険者を数多く返り討ちにしたんだ! まだまだやるに……くっ!」


 赤城は腕の支えがずれて、再び上半身を地に付けた。

 他の二人は倒れたままで、反応もない。


 そして三人からは白い光があふれ始めた。

 他のモンスターと同様に退場の時が来ている。


「色々と悪いことをして申し訳ないが、早く奥のボスを倒したいんだ」


「こんなあっさりご退場なんて……頭、すまねえ……」


 赤城は謝罪をすると、完全に光に包まれて、その光も消える。

 これで三人は倒したという訳だ。


 だが、引っ掛かりはやはりある。


「何だろうな? あの三人にも譲れないものがあったって感じだな。なんか悪いことをしたようにも見える」


 結果はこうなったが、あの三人も負けられない理由があったように見える上に、戦うしかない理由もあったように見える。

 悪名高いとの語句が不愉快だったようだし、少なくとも赤城の方は我慢してその悪名を被っているようにも取れる。

 そこが何か俺は引っ掛かりになっていた。


 幸前が俺の元へと歩み寄ってくる。


「僕もそう見えるが、譲れないものがあるのはどの冒険者も同じだ。それは天川君もだし、僕だってそうだ」


「まあ、それもそうなんだがな。その譲れないものが気になっているって言うのもある」


 幸前の言葉は納得できる。

 負けられないのも事実だが、話してもらいたかったのも事実だ。


「気になるみたいだが、今は気にする必要もないだろう。それにその譲れないものも奥のトップに聞いてみればわかるだろうし、少しの辛抱でもあると思うな」


「確かにな、今は戦闘に集中だ。俺も負けられないのは同じだし」


 譲れないものは奥のリーダー、ヴェルナが知っているかもしれない。

 あの三人の上司でもあるから、事情に詳しい可能性がある。

 それまで気になることは一旦置くとしよう。


 こうしてこのフロアでの戦闘が終わって、俺は次のフロアへと目指す。

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