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11 帰り道にて

 俺は天陸時高校での用を済ませた。

 何とか俺一人で生徒三人を撃破できたのはよかった。

 負けて生徒の配下になるのは不味い可能性もあるから。


 それと今回手に入ったスキルについてはあのダンジョンで確認が出来た。

 スキルについての使い方も三人の生徒に聞けたので、次からの使用も問題ない。


 また、今回は珍しく、回収したスキルとは別に粘着混成化というスキルも手に入る。

 このスキルでは粘着化したもの二つを混成させて、その二つの特性までもかけ合わせることが可能となる。


 例を上げると、ミシワイドエンデスとベイルソードを粘着混成させて、魔力で結晶を作りつつ、霧を発生させること。

 それだけでなく、作った霧から結晶を生み出したり、結晶から霧に変えると言った芸当も可能になった。

 かなり便利なスキルだと分かる。


 そして少し気掛かりになっていたことも確認の段階で解決できた。

 俺に憑りついた霊のことだ。


「ごめんなさい、私の夫にすごく似ていたから、許して」


 その霊いわくはこの言葉。

 御銅から回収した霊降下のスキルで呼んで、何とか和解にこぎつけることも出来た。

 なんでもその霊の話では夫と俺がすごく似ているらしく、あんなことをしたのだとか。


 俺としても結果は勝てたので、特に大きな問題とも考えていない。

 アムリスも特に不満はないようなので、そちらも問題はないようだ。

 やむを得ないと割り切ってくれたのは嬉しい。


 そして俺は高校からの帰り道を歩いていた。

 俺とアムリスと、三木島と佐波さんの四人でだ。

 狐燐さんとも契約は済ませてはいる。

 が、高校の方で生活しているので、残ることになっていた。


「しかし、流石ですね、天川さん。修羅場を乗り越えていった目をしています」


 道を歩く途中で、三木島から褒められる。


「え? そうか?」


 俺はその言葉に意表を突かれた。

 改心した三木島なら言うのは分かるが、それでも驚きがあった。

 ちょっと前までの彼は俺をいじめていたわけで、全く違う関係へと変わっていたのだから。


「戦闘でも本当に慌てていないんですもの、俺だったらやばいって状況も難なく切り抜けていますし」


「まあ、俺は負けられなかったから」


 俺はそつのない言葉を選んで話す。

 返すのにもっといい言葉はあるかもしれない。

 でも、やはりまだ慣れてないのかその言葉は思い浮かばなかった。


「俺ももっと強くなって、モンスターから守れるようにしたいですよ、本当に」


「三木島は喧嘩も強いからな。経験を積めば強くなれるさ」


「ありがとうございます。その言葉、嬉しいです」


 三木島からのお礼。

 強くなりたいってことだし、ガルガードのことを話に出してみるか。


「そういえば、ガルガードっているだろ? あの人、戦闘指導していたようだし、何か教えてもらってはどうだ?」


「おお、そんな人って聞きましたし、俺もそうしたいと思っていました。なので、明日は色々教わりに行く予定です」


「どんなふうに揉まれるか分からないけど、頑張んなよ」


 俺からの励まし。

 それを聞いた三木島は道の先へと視線を移す。

 何かを思い浮かべていたかのようだ。


「俺は天川さんにとんでもないことをしていましたからね。今度は天川さんの役に立てることを少しでもしたいですよ」


 三木島は俺ではない何かを見て語る。

 その視線は何か大きなものを見るかのように、だ


「そっか……俺は改心してくれただけでも嬉しいぞ」


「ありがとうございます。でも、俺は改心しただけではまだ償えていません」


「十分なんだけど……やっぱり納得いかないのか?」


「はい、散々いじめていたわけですから、償いには程遠いです。なので、俺は少しでも天川さんの役に立ちたいんです」


 三木島から語る。


 ありがたい言葉だが、無茶はするなと言いたい。

 だが、そんなことを言っても気kそうにない相手ではあった。

 傷つきながらも狼のモンスターをパートナーにしたくらいだから。


「なら分かった。でも、無理して命を捨てるなんて償いには程遠い選択だからな。それは忘れるなよ」


「分かってます。俺も生きて役立つことが優先的ですから」


 ならば最低限のことは守ってほしい。

 その言葉に三木島は理解を離してくれたので、何とか安心か。

 不安がまだないわけではない。

 でも、彼は信用したいので、命を捨てないと判断する。


 そのやり取りを見ていて佐波さんは笑顔を浮かべていた。


「ほんと二人とも仲が良くなって良かったね。いじめられていた関係だったって言ったら信じる人はいないよ」


「そっか。まあ、とにかくよかったってのは同意だ」


 以前のような関係から見れば、相対的によくなったとも言えるか。

 俺としてはいじめられてないというだけでいいことだ。


「うんうん。なによりなにより」


 佐波さんは頷いて語る。


「ところで、佐波さんだけど、狐燐さんについては何か思い出したことはないのかい?」


 やはり俺としても狐燐さんとの関係は気になる。

 佐波さんはそれを聞いて思い出すかのように斜め上を向いて、目を閉じた。


「それが思いつかなくて……」


「そっか……狐に会ったことがあると言っていたけど、小さい頃にあったとかじゃ?」


 思い出せないこととなると幼少期のことでの出来事かもしれない。

 それを狙って疑問を投げかける。


「いや、小さいころじゃないの。おそらく何年か前のこと、少なくとも五年以内のことだと思う」


「その五年のうちに会ったかもしれないってことかな?」


「そう、会ったような気もするし、会ってないかもしれない。会ったとしても別の狐さんかもしれないし……」


 今の佐波さんの状況は記憶が形になっていないようだ。

 その状況で色々聞いても答えは得られそうにないか。


 なら、これ以上聞くのはよした方がいい。


「そっか。はっきりと思い出せれば、その時に教えてほしい」


「うん、その時は天川君にも教えるよ」


「佐波さんは冒険者でもないのに魔法も使えたからな、俺もちょっと気掛かりなんだ」


 この狐燐さんのことが魔法を使えたことと関係があるとは限らない。

 だが、魔法が使えたという驚きが強くて、今回との関係があるのかと考えてしまう。

 なので、関係が歩かないかははっきりとした答えが欲しいのが俺の考えだ。


「そこも私は気になるから。そこも含めてお父さんにも聞いてみることにする」


「悪いね、聞いてくれて。俺のわがままみたいなものなんだけど」


「いいよ、気にしなくても」


 佐波さんはこう告げた。

 そのような会話の中で俺達は帰りの道を進んでいく。

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