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8 二対一に持ち込めるか

「いった……」


 俺は肩を抑えて仰向けに倒れていた。

 剣を握る方の肩にかなりの痛みがある。

 物を握れないわけではないが、込める力はしばらく弱くなりそうだ。


(大丈夫なの、照日?)


 アムリスからの心配。

 自然治癒もあるから何とか回復の見込みはある。

 物理的な攻撃は頼りなくなるが、使えないわけでもない。

 魔法に頼ることになるが、何とかフォローは可能だ。


「それに寝ているわけにはいかないからな」


 言葉の後に壁の脇から通過してくるモンスターがいた。

 もうすでにコンドルが飛んできていたのだ。


 俺を見つけるとすぐに羽を飛ばしてくる。

 それに対して、俺は横に転がって回避した。


 その先には蝙蝠が待っていて、口を開いている。

 リング状の物体を飛ばすのか。

 そう思っていると、土の手が横から握り拳で割って入ってくる。


(照日、蝙蝠は何とかできるから、任せて!)


 ああ、任せたよ、アムリス。

 握り拳の攻撃はかわされるも、蝙蝠は攻撃を中断した。

 そろそろ蝙蝠は落としたいところ。


 しかし、それは許さないようだ。

 再びコンドルが突進攻撃を仕掛けてくる、蜘蛛は遠くで網も出してだ。

 流石に俺も捕縛されるとまずいだろう。


 網の方は粘着化した空気を向かわせる。

 その空気が網と絡まって、こちらに届くことはなくなる。

 そして、コンドルの方だ。


「こっちはかわすとして、だ……」


 俺はギリギリ当たりそうなところまで惹きつけてかわした。

 さらにと、俺はコンドルにも触れる。

 そして、幻覚発症をスキルコピーだ。


 コンドルは俺を通り過ぎるとその場で羽ばたく。

 顔は左右や上下に向き始める。

 上手く幻覚を見始めたようだ。

 これで、しばらくは攻撃をしないはず。


 俺はすぐに蝙蝠の方へと向く。


(そろそろ、ストーンハンドが消そうよ……もう一度魔法を)


 そっか、ならぎりぎりまで頑張ってくれ。

 もしかすると次の魔法はいらないかもしれないし。


 俺は蝙蝠に向けて突きを放ち、剣に魔力を込める。

 精製された結晶が伸び、粘着化と爆弾化を念じてだ。


 土の手を避けていた蝙蝠に結晶が触れる。

 その粘着化した結晶は蝙蝠を絡めて、羽ばたきを阻止までさせる。

 結果として蝙蝠は落ちた。


 それだけでない。

 その結晶は赤い線が入り始めていた。

 結晶は俺の剣からすでに分離済みで、距離も置いている。

 結晶は黒い煙を巻き起こして爆発をした。


 黒い煙が消えるとそこには気を失った蝙蝠がいた。

 おそらく蝙蝠はこれでダウンだろう。


「よし、一体は落とした」


 ひと段落が付いたと俺は声を出す。

 すると日町の口は少し歪んでいた。


「バクロウがやられた……でも、これで終わりじゃないわよ」


 日町もただ見ているだけでは無いようだ。

 何を装填して更には先程の焦げた臭いが出始める。

 蜘蛛からも網を俺へと飛ばしてくる。


「網か、だったらミュサWO、蜘蛛の方だ」


 俺はミュサへと念じて召喚する。

 彼女は魔法陣から出て、ウィンドプレッシャーを放った。


 蜘蛛の糸で出来た網は絡まると厄介、だが薄い上に軽い。

 そのため、ウィンドプレッシャーで簡単に流されてしまった。

 蜘蛛自体はその場で踏みとどまったが、網は蜘蛛に当たって拘束されてしまう。


 それと、剣を持った方の痛みもだいぶ落ち着いてきた。

 どれくらいの力が戻っているか確認してみたい。

 俺は剣に魔力を込めて、結晶に粘着化と爆弾化を念じる。


「待ちなさい、簡単には行かないわよ」


 日町がそう言うと、銃から光線を出してくる。

 その光線は四つに分かれて、弧の軌道で、飛んで行く。

 対して俺は飛んできた光線を四つともかわす。

 軌道は俺に向かってなのでかわすことは容易だ。


 そして、出来た五個の結晶をコンドルの方へと向けた。

 まだ幻覚化の効果もあるようで、コンドルは避けることはできなかった。


 結晶が付着し、赤い線がはしる。

 結晶はコンドルを巻き込んで爆発する。

 黒い煙が消滅すると、コンドルは糸が切れたように落下をした。


(これで、一体撃破ね。後は蜘蛛だけ……いや、まだね)


 かわした四つの光線が軌道を変えてさらに向かってくる。

 それを四つともかわして、俺から魔法を唱える。

 唱える魔法はブラストボム、向ける相手は蜘蛛の方。


 俺の手から火の玉が飛んで行き、蜘蛛の方へと向かう。

 ウィンドプレッシャーの風も止んでいて、ミュサも消えようとしている。

 しかし、その時には火の玉が蜘蛛の間近に来ていた。


 大きな爆発音。

 流石に爆弾化した結晶よりも爆発範囲が広い。

 出た煙が消えると、蜘蛛も仰向けでダウンしていた。


 厄介な蜘蛛を倒せて助かった。

 最悪な場合では蜘蛛に動きを拘束されて、負けということもあり得る。

 回復手段はあれど、何もできなければ勝つ手段も閉ざされて、負けだ。


 四つの光線は消滅していて、もう向かってくることはない。

 三体のモンスターもダウンさせて、後の相手は日町一人だけだ。


「どうする? モンスターだけが頼みの手段なら勝ち目はなさそうだが、まだ続けるか?」


 俺は日町を見て疑問を投げる。

 戦闘はしているが、できることなら被害は押さえたい。

 相手を傷つけることなく、勝てるならそれが一番いい。


「私のモンスターがあっさりとね……伊達に優勝候補ってわけではないようね」


「レベル差があるからって俺が勝てるわけでもないけど、この状況はそっちがかなり不利だし、棄権するなら俺は助かる」


 俺からの忠告。

 棄権してくれると嬉しい。

 日町は不味い表情を浮かべていた。


「そうなの……」


「どうする?」


 俺からの再度の問いかけ。

 しかし、相手に諦めの表情はないように見える。

 それどころかこうも言った。


「まだ、棄権する気はないわよ」


 銃を捨てて、日町はアイテムボックスを開く。


「……そっか」


 まあ棄権したくないという気持ちも理解できる。

 俺が追い込まれているなら、あっさり棄権なんてしたくないし、何もあがけずに負けたくはない。


 開いたアイテムボックスから、日町は剣を持ちだす。


「私はこうやってぴんぴんしているからね。それに最後の手段で悪あがきだってしたいもの」

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