4 やはり避けられないこと
大波先生からのまさかの戦闘の提案。
こちらとしては戦いたくは避けたいのが本音だが。
「照日君。君が勝てば三人とも配下になっても構わないし、LVだって上がるはずだ。それに撃破ポイントもスキルだって回収できると聞くから、この勝負はメリットがあるはずだ」
先生のことだが、俺が負けても悪いようにはしないはず。
でも、負けると配下になるだろうし、もしかするとそれはそれで問題があるかもしれない。
やはり、やるからにはこの勝負負けられない。
「その……戦わないという選択はないのですか?」
俺から別の選択を一応聞いてみる。
「ぜひとも戦ってもらいたい。この三人は照日君と戦うために来ているからな。それと今はいないが君に会いたい人もいてだな、その人は君の強さを気にしていたようだぞ」
大波先生はこう答えた。
三人とも静かながら戦闘するという意思は目から感じられる。
先生の言葉に偽りはない。
それに俺に会いたいという人も気になるし。
戦わなければあってくれないという可能性もある。
「分かりました。では、その提案を受けます」
俺は戦闘の提案を受け入れた。
選択の道をつぶされていた気もするが、やはり受け入れた方がいい気もする。
「そう言ってくれて助かる。勝てさえすれば、その人も喜んでくれるはずだ」
大波先生からの言葉。
その後に佐波さんが俺に近づいてくる。
「天川君。えっと、もし戦うのなら私も戦えるから」
佐波さんからの言葉。
「天川さん。俺だって同じですから、遠慮なく頼ってください」
三木島からの言葉も続く。
申し出はありがたいところだ。
「でも、まだ二人は戦闘慣れはしていないから、ここは俺が出るよ。万が一のことがあったら頼むから」
だが、ここは俺が出たい。
やはり二人に任せるのは負けの可能性もあるし、俺が何とかしたい。
それに生徒三人とも俺と戦いたいようだから、ここは俺が行くしかないって言うのもある。
「あ、ありがとう。なんだかごめんね」
「すいません。かたじけないです」
佐波さんの言葉の後に三木島も言葉を出す。
そして二人は俺から距離をとった。
その後に生徒さんのうち一人が前に出る。
生徒三人は刀を持った男性と数珠を持った男性、それと杖らしきものを持った女性が一人。
出てきたのは刀を持った黒い髪の男性だ。
「では、先に私から。渋沢と申します。天川さんに今回決闘を申し込みますので、よろしくお願いします」
刀の男性、渋沢からの言葉。
早速、申し込みか。
俺も武器を出さないとな。
俺はアイテムボックスオープンして手を伸ばすと、いつものようにメイルオンさんが現れる。
「では、決闘の宣言を聞きまして、エルドシールダー所属の私、メイルオンがジャッジを務めさせていただきます」
俺はメイルオンさんの言葉の終わりに剣を取り出し、鞘から剣を引き抜く。
「こっちも準備はいい」
俺からの言葉。
アムリスも俺の中に入ったし、いつでも戦闘は可能。
「では、私、メイルオンが渋沢誠谷と天川照日の戦闘を見届けます。戦闘開始」
メイルオンさんからの宣言に俺と渋沢は同時に走る。
剣と刀も同時に振りかぶる。
ここまではほとんど同じ行動。
だが、結果はどうなるか。
斬撃がお互いに放たれる。
刃と刃同士がぶつかり合った。
結果はお互いに弾かれることなく、均衡なせめぎ合いになる。
「こっちは力もあるとは思うけど、俺と渡り合うほどか」
力みながらの俺からの言葉。
「私はこれでも細工していますからね。渡り合うのはさすがです」
渋沢からの評価の言葉。
突如彼の後ろに青い人影が現れた。
その人影は兜と鎧をまとい、渋沢と同じポーズでいた。
姿はまさに武士その者。
「ははー、細工って武士の霊が憑いているってことか」
「そういう訳です。憑依していると私の力のリミッターが外れますから、その恩恵があるということ」
細工は分かった。
重装備の武士だから、力も凄そうなのは分かる。
今は渡り合っているけど、もしかすると押し切られるかも。
「だったら別の手でいくか」
俺は魔力を剣にそそぐ。
結晶が精製されて大きくなっていく。
「離れるべきですかね」
渋沢はせめぎ合いから離れ、距離を置く。
予定では結晶を飛ばす予定だったけど、さらに別の手で行こう。
粘着化した空気を当てても、もしかすると強引に拘束を破るかもしれないし。
結晶をさらに大きくして、俺は結晶を高さ3Mほどの立方体の姿に精製する。
立方体に手を触れて粘着化。
粘着化の範囲は立方体の縁以外だ。
剣を引き抜き、俺はその中に入った。
中は半透明の白色で、渋沢の様子も見える。
俺の体を渋沢と向かい合うように立方体ごと合わせる。
更にと俺は粘着化した立方体の後方の面を伸ばして、勢いよく元に戻す。
するとどうだ。
後方から力が加わり、俺は立方体からはじき出される。
パチンコや弓矢のようにだ。
「こいつならどうだ」
渋沢へ飛ぶ勢いに乗って、俺は剣を振りかぶる。
相手も斬撃で応戦して、刃同士がぶつかった。
「く……あ!」
結果、渋沢は弾かれ、背を地面に付ける。
この隙は逃せない。
俺は着地と同時に追いかけた。
渋沢が立ち上がろうとする中、その前に俺は剣を向ける。
「どうする? かなり不利な状況だが?」
俺の質問。
渋沢は刀を握っているも不利な状況だ。
少しの間いては何もせずに沈黙が流れる。
そしてから渋沢は口を開いた。
「……せめて、一噛みぐらいはしたいですからね!」
仰向けの不安定な状況のまま、渋沢は剣を横に振るう。
それを俺は剣で受け止める。
「ならば、こうするしかないか」
片手で空気を粘着化。
それを渋沢に当てた。
相手は拘束されて、ついでに刀に向けて俺は斬撃を加える。
ぶつかった刀は拘束のままで、抵抗の力もそれほど出せない。
その結果、渋沢の刀は手から離れて行った。
「くっ……武器がこうなっては……」
「さて、これでどうする?」
剣を向けて、俺から再度問う。
渋沢は武器の方へと視線を向けていた。
武器は手を伸ばしても届きそうにない距離だ。
「抵抗手段もないですからね……私の負けです」
渋沢からの負けの言葉
三連戦の初戦、それは難なく俺の勝ちとなる。
「勝者、天川照日」
メイルオンさんからの言葉がフロアに響く。




