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1 復活の可能性

 俺とアムリスがともに寝て、朝を迎える。

 そしていつものように食事をして準備を整えて、俺は今回もダンジョンを探す一日が始まる。


 あと、ミュサからのキスは今回はなかった。

 彼女から話を聞くに、サキュバスのことで大変な目にあったから、今回は遠慮するとのことだ。

 そういうのであれば、無理にとは言わないが、ちょっと気になる。


 で、アムリスのいないところでミュサに聞いてみたらだ。


「今ならいい機会ですね。頂きます」


 そう言って、ミュサは俺の唇を奪う。

 さらに胸と腰も押し付けて、足と足を絡めて。

 結局キスをされてしまった。


 家の細い通路で、アムリスの視線が届かないところで。

 俺とミュサは青色のオーラを出して、生命力をやり取りをしていた。

 俺が気になって向かうということを計算した上でこれは罠にはめられたかもしれない。

 一日に一回しないとって言っていたし。


「ん……」


 俺のくぐもった声。


 でも、アムリスがいないところでという部分はこちらも助かる。

 このキスもないとミュサが困るし、アムリスが嫉妬しなくて済むから。


 しばらくキスをした後、ミュサは俺の口から離れる。


「……今日の分は大丈夫です」


「そっか……」


 俺は周りを見渡すとアムリスもシュンもいない。

 最後までアムリスにばれることはなかったわけだ。


「……こうすると、隠し事してやっているみたいですね。いけないことをしているみたい」


「そんな言葉、よしてくれ。なんだかアムリスに申し訳なくなる」


 俺からやめるようにと話す。

 アムリスもキスしないとだめだってことは分かっているはずなんだけど。


 でも、ミュサの言葉も何となくわかる感じだ。

 どことなく、密かに愛し合っているようなことをやっているみたいで。

 だから、醸し出すような言葉はしてもらいたくはない。


「では、そろそろいきましょう。長くいるとアムリスも探ってきますよ」


「そうだな」


 俺は頷いて、ミュサとともに移動を始める。


 今のことで罪悪感は少しある。

 でも、気にしすぎると行動にも支障が出るから、気にしない方がいいな。




 俺は次の行動に移る。

 ダンジョンを探すこともするが、その前にガティークとの取引をしたい。


 今は手紙からの映像でガティークとやり取りをしている最中。

 取引もちょうど済ませたところ。


「これでメタルコートの魔導書とマジック回収ハンドは行ったな」


「ああ、ありがとう。物もちゃんと届いた」


 ガティークからの言葉に俺は礼を言う。

 届いたものは魔導書とマジックヒールハンドという手袋だ。

 前者も後者も各7個のガイアス石と交換で手に入った。


 メタルコートは土属性の魔法で、無機物を少しの間、鋼に変える魔法。

 耐久力に不安があるものにかけて、耐えてもらう魔法だ。


 そして、マジックヒールハンドは装備して、魔力回復を念じると魔力が回復するものだ。

 ただ、念じてから少しの間静止する必要があって、戦闘での使用は難しい。


 俺は魔力の回復手段がないためにこれは欲しかった。

 また、アムリスにも魔法が増えて、これから魔法の援護を頼む機会が増えそうだ。

 そのために回復手段を用意しておきたい。


「でさ、一ついいかい?」


「なんだ?」


「なんで昨日はウチを使ってくれなかったんだい? ふつう新しく手に入った武器や魔法って使ってみたくなってワクワクしないのかい?」


「え? あ、それは使う機会がなくて……」


 そこを突っ込むのか。

 昨日のダンジョンは使う暇なんてなかったからな。

 思考力も奪われていたから、選択肢としても浮かばなかったのが現状だし。


「お前、男だろ? 新しく買ったおもちゃはすぐ使いたくなるだろ? ウチはギルド三闘士が力貸してくれるんなら機会を何とか作りたくなるんだけどな」


「ま、まあ気持ちも分かるし、それは悪かったよ。今日は戦闘の機会があれば使うことにするよ」


 俺も子供のころ買ったおもちゃはすぐ使いたかった。

 気持ちが分かるのも事実だ。


 しかし、ガティークはこのことでちょっと怒り気味のようだな。

 割と子供みたいなところがあるのか。


「おお、それならいいんだ。ウチは今か今かと昨日は待っていたから、今日も待っているんぞ。それともう一つなんだが」

 ついでにとガティークは質問の前置きを語る。

 俺が昨日召喚することをかなり期待していたようだな、聞いた様子では。


「ああ、時間も大丈夫だし聞いていいぞ」


「幸前ってやつのギルド三闘士について聞いてないかい? あの男マーヴェケアーズ所属と聞くから、興味があって」


「ヴェルターって聞いたよ」


 その言葉を聞いてガティークは笑みを浮かべる。

 望み通りの展開が来たと思ったような笑み。


「ほほーう、あいつかー……これはウチにもリベンジの機会がありそうだな」


「なんだ、なんか因縁があるような言葉だな」


「よく聞いてくれた。実はウチが作った魔法の盾の耐久テストをそのヴェルターに頼んだんだよ。で、そいつがあっさり破ってしまうもんでな。次こそは破られない盾を! って考えていたわけよ」


「俺と幸前が戦うことになれば、それがリベンジの機会になると」


「そうだ」


 ガティーク、嬉しそうに肯定するな。

 でも、それはちょっと違うような気もする。


「でも、俺と幸前って戦う機会はもう無いと思うけどな」


「まあ普通はな。配下になってしまえばそうだが、ただ幸前の場合はちょっと違う」


「ん? どういうことだ?」


 幸前と戦う理由もないのにそれを否定する。

 俺も何かと聞きたくなる。


 そういえば幸前は負けたときに可能性は潰えてないと言っていたような。


「敗者復活制度があってな、期間内に一番ポイントを稼いだ配下が復活するんだ」


「それが幸前の可能性が高いってことか」


「そうだ、あの男はかなりポイントを稼いでいるから。てるやんも分かるだろ?」


「ああ、あいつは強かったし、その強さもきっとあの時以上なのは分かる」


 潰えてない可能性が復活制度にあったということか。

 このまま幸前が復活すれば、確かに厄介だろう。

 間違いなく俺の前に強大な壁として阻んでくる。


 でも、復活の邪魔するのはなんか違う。

 なんというか、幸前の希望をつぶすような感じだから。

 俺からは邪魔はしたくないな。

 だから、幸前のことは敢えて放置しとこう。


「てるやん、戦うときにはぜひウチを呼んでくれよな」


「分かった。リベンジの機会はちゃんと設けるようにしておくから」


 俺からも召喚する約束を守ると話す。


 すると、母さんから声がかかる。


「照日、話し中悪いけど、ちょっと電話に出てくれるかしら?」


 いつの間にか母さんは電話をしていた様子だ。

 その母さんが受話器を持って、俺に向けて視線を送る。


「何だい? もしや、佐波さんから?」


「違うわよ。あの人からよ、遠くの高校に行っていたと思ったら、実は最近県内の高校に配属したって人」


 母さんの言葉に俺はあの人の想像が簡単に出来る。


「もしかして、大波先生から?」


「そうよ。今、大波先生が照日に話したいことがあるって」


 その大波先生は父さんとも交流があり、俺も世話になった人物だ。

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