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5 ダンジョンのリーダーとの戦闘

三行あらすじ

・見張りゴブリン撃破

・スカートの中、見えそうだった

・リーダーがいると分かる

 このダンジョンのボスの部屋へとたどり着いたので、部屋をよく見てみる。


 部下のゴブリンは4匹いて、リーダーを囲っている。

「流石、キングだ」「やったぜ!」「キングを褒める仕事も疲れる」

 と囲いは言っているようで、こちらには気付いていない。


 また、捕まっていた人たちだが、全部で十人と言ったところか。

 その中に佐波さんもいた、服装は紺色のジャージで、黒髪のショートカットだ。


 あと、見落とせない部分が一つ、俺をいじめていた三木島もまた捕まっていたのだった。

 その三木島は金髪でブレザーも羽織ることなく、ズボンに長いチェーン巻いている不良スタイル。

 体格は俺よりも大きく、体育会系の部活にも所属している。


 ダンジョンの入り口に野次馬がいなかったが、その野次馬が捕まってここにいるのだろう。

 見て分かる情報はこれくらいか。

 あとはこれからどうやって攻めるかということ。


 あちらは気付いて無いようだし、さっきのようにここから剣を伸ばしていくか。

 と、ここでだ。


「おい、そこの入り口のお前。こちらは分かっているんだぞ」


 王冠を被ったゴブリンからの声。

 覗いていたことがばれたのか?


(え? ばれたの? ……どうする?)


 アムリスからの疑問。

 分かっていると言われた以上、奇襲は通用しないだろうよ。

 なら、と俺は武器を構えて、入口から出てきた。


 王冠を被ったゴブリンはこれまで見たゴブリンとは身長も同じだ。

 特徴としては王冠と羽織った赤いマント、そして、ゴブリンの身長の半分はある剣を持っていた。

 その王冠のゴブリンは片足を上げて、驚きつつ下がる。


「って、マジでいたぞ! あてずっぽで言ったら出てきた!」


 っていうことは、適当な感で俺をあぶりだしてきたのか。


「流石、キングだ」

「すごいぜ!」

「こんなあてずっぽでも当たる日が来るんだ」


 取り巻きもまたこんな様子だ。

 言葉から察するに、このいい加減な感で出てきたのは俺だけらしい。

 恥ずかしさと悔しさが織り交ざった気分だ。


 このままの雰囲気は良くないな。


「ところで、捕まえた人を開放する気はないのか? あと、何のためにこんなことを?」


 流れを変えるために俺は王冠ゴブリンへの言葉を出した。


「両方の問いに答える気はない。どんな悪党だって、そうするだろ?」


 そりゃ、普通の悪党は言わないよね。

 話し合いで解決するかと思っての言葉だったけど、無理そうだ。


 とここで、アムリスが俺の中から出てくる。


「あなた、ゴブリンのリーダーでしょ? こんなところで人さらいなんてやって、どんな目に合うか分かっているの?」


「ははは、それはお前には関係ないんだよ。なあ、アムリスさんよ」


「知らないわよ。これからの勝負で負けたって」


「よく言うよ! お前が無能の日陰者だってことは、俺だって知っているんだぞ!」


 王冠ゴブリンの侮辱にアムリスは機嫌を悪くする。

 ただ、その会話であちらの事情が垣間見えた。

 今回の人さらいは悪いことと決まっているようだ。


 あと、なんだかアムリスとあのゴブリンは見識もあるようだ。

 最も見識の間には良くない感情があるようで。

 俺としても王冠ゴブリンから出た無能の言葉は気に入らない。


「照日! あれ、ゴブリンキングってやつだけど、容赦なく倒していいから! 行くわよ!」


「アムリス、分かった。早速戦闘だな!」


 俺は了解を伝えると、アムリスは体の中に入る。

 戦うしか人質の解放はなさそうだから、遠慮なく倒せそうだ。


「ゴブリンキングの実力を知らせてやる! 俺だけで十分だ!」


 王冠ゴブリン改め、キングは部下のゴブリンを後方に下がらせて、マントを投げ出す。

 部下たちは人質に何かないようにとそばへと寄っていった。

 隙を見て、俺が人質を解放しないように考えての行動か。


 そして、剣を握って俺の方へと走っていく。


 俺も正面を突っ切って、剣を振るった。

 剣がぶつかり合って、お互いに下がる。


 距離が開いたところで、アムリスには聞いておきたいことがある。


(何? 聞きたいこと?)


 ゴブリンキングとは知り合いなのかということだ。


(あいつのことは私、初対面よ。ただ、私は知名度がある方で一方的に知られてはいるわよ)


 そういうことね、ありがと。


 心の中での会話を終えると、再度キングがこちらへと走ってきていた。

 突っ込んでくるなら、こっちは突きで応戦だ。


 剣を粘着化。

 その剣を伸ばして、キングへ突きを放った。


「うおっと! そんなこともできるのか!?」


 驚きつつ、キングは突きを横へ避けて、俺へと向かう。

 そこまでは想定通りだ。


 次に念じるは、アイテムボックスオープン。

 俺は先ほど粘着化した岩を黒い円から引っ張り出す。

 粘着化した岩がスライムのように伸びていた。


 完全に取り出したことを確認して、そのままキングへと岩を投げつける。

 まだ手についている間に俺は粘着解除も念じた。

 するとどうだ。


 鋭利な岩へと戻って、それはキングへと向かっていく。


「こいつも受けとけ!」


 剣を握りつつ、キングへと岩をプレゼントする。


「そんな岩、かわせないわけではない! ゴブリンだからと侮るな」


 キングはその岩もかわした。

 相手の視線は俺へと向け続けている。

 確かにゴブリンキングの名があるだけ、動きも違う。


「言ったな? かわせると?」


 俺はキングに問う。

 対してキングは剣を振りかぶっている。


 その動きも想定通りだ。


 粘着化した剣はまだ伸びている状況。

 そして、投げた鋭利な岩もその剣が巻き付いて受け止めている。


 俺は剣に動きを念じて、鋭利な岩を剣に投げさせた。


「随分と無防備だな!?」


 キングの剣が射程範囲内で振り下ろされる。


「無防備はそっちだ」


 俺からの注意。

 それをキングは聞く耳も持たなかった。

 そして、再度投げた岩がキングへと当たった。


「ヒゲゴアッ!!」


 俺は伏せて、飛ばされるキングを避ける。

 地面とぶつかる音が後ろから聞こえた。


 俺は剣に粘着化解除を念じて、後ろを向くと、相手はうつ伏せで倒れていた。

 どれくらい攻撃すれば倒せるかは分からないが、攻撃の手を止めるつもりはない。

 すぐに相手の元へと走っていく。


 いや、その前にキングの状態を固定した方がいいか。

 粘着化を念じて、手の平を後方に下げ


「動くな! 冒険者」


 る瞬間にキングの声。


「なんだよ、いいところだろ? それなのに中断なんて」


「この状況を見て、それを言えるのか?」


 キングが立ち上がって、問う。

 この状況、部下のゴブリン四匹がこん棒を人質に振り上げている状況だ。


 その人質は三木島であった。

 俺をいじめていた、あの三木島。


「お、おまえ、まさか俺を見捨てるつもりはないよな?」


 三木島は俺に懇願のまなざしを向けていた。


「あの人質はここに来て、よく無駄口をたたいてたからな。いいのか、こいつがどうなっても?」


 キングは俺に聞いてきた。

 見捨てると言えば、三木島はボコボコになるであろう。

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