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5 まさかの事態は唐突に

「降参するなら今の内だ。俺は次の攻撃に入るからな」


 粘着化した結晶から剣を引き抜き、俺は攻撃の宣言をする。


 もしかするとその粘着化した結晶を爆発させてってことも考えられる。

 ダメージを負うが、脱出は可能だし。

 棄権の猶予のための宣告だ。


「まだ……まだ俺は負けてないんだよ」


 その宣告に戸柱は俺をにらむ。

 戦意もまだ残っているようだし、何かするかもしれない。

 また、モグラは戸柱を見ておどおどした後、俺に向けて岩を投げつける。


 俺はその岩を剣で切断して、魔法を唱えた。


「炎魔法、フレイムスネイク」


 魔法陣が出るとともに、俺の掌から直線状の火が5つ出る。

 幸前も使った魔法だ。

 その火は相手へと向かう。


「ぐあっ!」


「そして、炎魔法、ブラストボム」


 そして次の魔法も幸前から回収したもの。

 俺の掌から大きな火球が弧の軌道で相手に向かっていく。


 相手は何もできずに火球が触れる。

 瞬間、大きな爆発が起こった。


 瞬時に俺は後方へと飛ぶ。

 爆発の規模も予想以上に大きく、俺も巻き込まれそうだった。


 しかし、ずいぶんと規模がでかかったし、俺の勝ちだろうな。

 でも、戸柱の手足が分離とかってないよな、流石に。

 復活できるかも分からないし、死体の姿ってのも見たくないよ。


「ぐうっ……」


 戸柱は焦げた姿で、前に倒れる。

 安心した。

 五体満足の様子だし、もう戦意もないみたいだ。


 倒れた後しばらくして、メイルオンさんは手を上げる。


「勝者、天川照日」


<レベルアップ! レベルアップよ!>


 勝利とレベルアップを告げる声。

 これで俺もレックスを探せそうだ。


「さて、さっさと犬を追わないとな」


 俺の言葉を聞く様子もなく、メイルオンさんは戸柱の治療に当たる。


「く、自信あったけど、挑むんじゃなかったな。あれを追っていたほうが、まだ安全だったよ」


 少ししてから戸柱からの言葉が出る。

 割と重症って感じではなさそうだ。


「んー、そういえばあれってなんだ? さっきなんか言っていたけど」


「あれってのはダスティアホタルだ。あれを倒せばポイントが200も入るんだよ。鉱山に出るモンスターだけど、かなりのレアモンスターだ」


「に、200もかよ!」


 まじか。

 倒されると、俺よりも上のポイントをいけるな。

 出来れば倒した方がいいんだろうけど、でもレックスの方は優先したい。


「俺は見たんだよ、すごい速さで移動するホタルを。ギルドの人と会って話も聞いたんだ、ポイントのことをな」


「もしや、俺のこともギルドの人から聞いたのか?」


「ああ、そうだ。粘着化した空気を飛ばすって聞いたけど、俺の敗北は情報不足が原因だったな」


 なるほどね、情報源はそこか。

 ということは、ギルドの人も俺たちの戦いを見ているってことか。


 せっかく意識もあるようだし、ついでにもう一つ聞くか。


「そういえば、犬は見なかったか?」


「犬か? 分からないな。ホタルの方を追っていたし、小さかったりすると見落としていたと思う」


 まあ、別に追っていた相手があるようだし、犬のことは気に留めないか。


「まあ、分かった。聞きたいことは以上だし、ちょっとの情報で突っ込むのはやめとけと言っておくぞ」


「ははは、肝に銘じるよ」


 そう言って戸柱、それとモグラとメイルオンさんは光に包まれてこのフロアから消えていった。

 その後に俺の頭上から光が下りてくる。


 まあ、今回は特にダメージを負っていないし、浴びる必要はないかも。

 でも一応浴びておこう。

 あと、ステータスもどれくらいになったか確認はしたいな。

 時間もあれだし、ざっとだけは確認したい。


 それと、結晶生成に必要な魔力ってのも想像以上に少ないのは収穫だったな。

 あんなに出したけど、魔力を使い切ったって感じは全くない。


「すごいね、天川君! ダメージなく倒せるなんて」


 佐波さんは安全と分かって、俺に近づいて話す。


「ま、まあね……」


 対して俺は戸惑いの様子で話す。


 何と返せばいいかまだ分からないな。

 返せる言葉を考えておかないと。


「魔法ってあんなものもあるんだ、風魔法だっけ」


「ああ、俺は使えなかった魔法だけど」


 学校で魔法も使ってみたけど、その時は炎魔法だけだったしな。


 しかし、レックスはここにもいないか。

 深いところに行ったようだな。


 佐波さんも不安の顔を浮かべる。


「レックスってどこへ行ったんだろう……?」


「手がかりはつかめず、だしな……」


 俺は考えていた。

 そんなところに逃げる必要って本当にあるのか。

 モンスターから逃げて行って奥へという場合はある。

 だが、その場合でもこんなに奥へ行くこともあるのか。


 そこで、俺は一つの可能性を思いつく。

 まさか、冒険者と協力している可能性もあるのか?


 飼い主と一緒に冒険者ということもあり得そうだ。

 現にこのダンジョンはポイントの高いモンスターがいる。

 レックスの協力だって必要そうだ。


 ということはレックスの安全も確保できているのかもしれない。


「と、とにかく探そうか。不安を吹き飛ばすためにも、ちょっとやってみよう! さっきの魔法を」


 佐波さんは手のひらを別の方向に向けて話す。

 気持ちはわかるけど、流石に魔法は無理だと思う。


「そういえば、レックスの飼い主って冒険者に成ったとか聞いているかい? 佐波さん」


 飼い主についてもまだ大雑把にしか聞いてもいない。

 ここは少し聞いておこう。

 もしかしたら佐波さんの気晴らしにもなるかもしれないし。


 だが、俺の言葉の前に驚かされることが起きる。


 佐波さんの足元は光輝いて、円が描かれている。

 そして俺も見たことがある不思議な模様も書かれていた。


 そうだ、佐波さんの足元には魔法陣が出ていた。


「え? あれ……? よ、よし、風魔法、ウィンドサイス!」


 その言葉の後に魔法名を佐波さんは告げる。


 するとだ。

 佐波さんの掌から戸柱と同じ魔法が繰り出される。

 三日月の白い刃が三つ、それがフロアの壁へと向かった。


 音を立てて壁を刃で刻む。

 刃が消えた後には、刻まれた跡がただ残った。


「……まじか」


 俺は驚くしかなかった。

 佐波さん、冒険者じゃなさそうなのに、魔法が使えるなんて。


「どうしよ……? 魔法、使えちゃった……」


 佐波さんは戸惑いと驚きを見せた。

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