表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/143

7 復活する相手にいかにして勝つか

 別の姿を現してから、ニックスを包む炎は消えていた。

 その後に戦闘が再開される。


 シュンに至っては壁の方へと寄っていて、身を縮めながら剣を構えている。

 うん、戦闘は得意でないってことだし、俺は責めない。


 再開されての戦闘、先手を取ったのはニックスだ。

 肩を突きだしてからの体当たりを繰り出してきた。

 その動きは脚の動きはない、蹴って移動するのではなく、浮遊させて向かってきた。


「うおっと!」


 入口から出て、俺は横へと回避した。

 速さは見切れるほどだから危機感はない。


 そして、相手は俺の方へと見て、さらに攻撃を続ける。

 空に浮いたままでだ。


「炎魔法、フレイムフォール」


 ニックスは魔法陣を足元に出すと、両手から炎の球体が生まれる。

 その球体は真上に行くと、5つに分裂する。


 そういえば、その魔法って俺もちょっと前に習得したっけか。

 移動中にざっと確認して、あったような気がするな。


 魔法で生み出した5つの球体だが、その場にとどまったままだった。


「ならば、こっちも攻撃するか」


 俺は剣を伸ばしてニックスに突きを放つ。

 隙が出来ているし狙うしかない。


 しかし、相手は避けることなく、再度魔法陣を出す。

 突きは胴へと命中した。


「ぐっ! 炎魔法、フレイムフォール」


 まじか。

 攻撃喰らいながらも魔法唱えているぞ。

 復活できるって捨て身なことできるから、すごいよな。


 突きの攻撃はたぶんあまり効き目はなさそうだ。

 ダメージはあっても捨て身なことするんじゃ、効果は総合的に薄い。


 再度ニックスは炎の球体を生み出し、さらに5つの炎の球体も作る。

 で、準備が出来たのか、炎の球体は俺に向かってくる。


 こりゃちょっとまずいな。

 なら、あの魔法だ。

 幸前から回収した、あの魔法。


「水魔法、アクアシールド!」


 俺は魔法を唱えると、俺の前に泡が出来る。

 その泡は瞬時に大きくなって、俺の前後左右を半円の形で覆う。


 これならば防げるか。

 水の魔法だし、相性は知らないけど、うまくいくんじゃないかな。

 防げなかったら、床を粘着化して壁を作るか。


 計十個の球体は俺に向かってくるも、泡の前で阻まれてしまって消失する。

 相手の魔法は俺には届かなかった。


「ちっ……防ぐか。伊達に優勝候補じゃないな」


 ニックスは苦い顔をして、呟く。

 同時に魔法陣も出してくる。

 すぐには出てこないようだから、準備が必要なほどか?


 じゃあ、こっちはこれだ。

 これも幸前から回収した魔法。


「水魔法、フロストビーム」


 俺は魔法を唱え、手のひらから冷たい力を感じる。

 相手に掌を向けると、そこから直線状の真っ白なビームが向かっていく。

 ビームの速度もすごいし、魔法の詠唱も早くて、先手を打てる。


 で、このビームは相手に当たって、相手は氷に包まれた。

 身動きもこれでとれない。

 動けなくて宙に浮いている状態。


 浮遊する力も失って、相手は落下。

 何も抵抗することなく床に触れたことで、氷が砕けた。

 相手の体も氷と共に砕かれた。

 ちょっとひどい感じの倒し方だ、悪い気も湧いてくる。


 しかし、相手は氷ごと赤い光に包まれていく。

 さっきも見た復活の光景。

 このままだと、同じことの繰り返しだ。


(対策あるの、照日?)


 一つはあるんだ、アムリス。

 赤い羽根が出てくるから、そこに付け入るスキがあると思う。


 やり取りをしていると、赤い光が中心に集まってくる。

 あそこで赤い羽根が出てくるな。


 という訳でそこに向けてだ。


「粘着空気砲!」


 手に平で空気を粘着化、狙ったところへ飛ばす。

 飛んで行くころにはすでに赤い羽根も出来ていた。

 粘着化した空気は赤い羽根を覆う。


「うお! 何をするんだ!?」


 赤い羽根からニックスの声。

 その状態でも喋れるんだな。


 そんな声を無視して、俺は羽ごと空気を引き寄せる。

 羽はもがく様子を見せるから、あの状態でも動けるみたいだな。


「これならどうだ?」


 その引き寄せた羽に斬撃を放つ。

 羽はこれによって真っ二つになった。

 そして、羽は光に包まれる。

 今度は赤くなるようなことはなかった。


 考えた通り、あの赤い羽根の時に攻撃されると復活ができないようだ。

 あの羽はニックスにとっての復活の蛹だという訳だ。


「くそっ……俺がこんなところで……」


「まあ、ミュサのことは知りたいんだよ。ここで止まるわけにはいかない」


「そうか、なら後悔しないこったな。俺たちのお上、マズワイン様を敵に回してな……」


 そう言ってニックスは冥途の土産を言葉として残した。

 相手はこうして消えていく。


 フロストビームを直接相手に撃つことはやめよう。

 今回みたいなえぐい結果になるし、撃つなら無機物とかかな。


<レベルアップ! レベルアップよ!>


 レベルアップの声。

 それを聞いてから俺はシュンの方へと視線を向ける。

 先ほどいた壁に彼はいなかった。


 どこへ行ったんだ?

 さらわれたってことはないよな?


 すると、シュンの方から声をかける。


「だーんなー、ありましたぜー、へっへっへー」


 声の方へと向けると、シュンは壁の上に上半身を突っ込んでいた。

 しかも、人間の姿でだ。

 俺はシュンの旦那になった覚えはないんだけど。


「あったって何がだ?」


 もしや、この部屋の隠し通路とかそんなのか?

 その疑問を声に出すと、シュンは突っ込んだ上半身を出して、下へと着地する。

 手には宝箱を抱えていた。


「隠してあった宝箱さ。ニックスの物かは分からないけど、ダンジョンにあるものだし、頂いちゃおう」


 シュンは笑顔で語る。

 というか、上を見ると穴っぽいところはなかったけど、よくあんなところを探ろうと思ったよな。

 俺だったら素通りだった、間違いなく。


「おお、よくそんなものを見つけたな」


「こういうの得意なんだよねー、宝を探すのって。という訳で、早速ご開封!」


 隠してあって罠って可能性はないだろうな。

 そんな念入りなことはする必要はないし。


 で、宝箱を開けると、そこにはガイアス石と天界の羽、それとよく分からない紋章が多くあった。

 あと、ポーションもあったな、紫色でいかにも毒な色の。


(ガイアス石が12個、天界の羽が8個、あと、守護の紋章も10個あるわね)


 守護の紋章、これもギルドで取引するためのアイテムと見ていいのか?


(ええ、そうよ。他の人と交換もいいけど、ギルドの人がダンジョンにってこともたまにあるから。他の取引アイテムは持っていて損はないわよ)


 ギルドの人がたまにダンジョンに、ね。


 じゃあ、さっさとアイテムボックスに入れよう。

 あまり長居はしないほうがいいからな。

 敵もこの現状でどんな手を打つか分からないし。


 俺は宝箱のアイテムを入れてから、次のフロアの道へと移動していく。

 そこで、アムリスの声が脳内に響く。


(マズワイン……ね)


 何か気になるのか?

 ニックスの上司みたいな感じだけど、聞き覚えが?


(聞いたことがあるような、ないような……ニックスもグラーソも聞いたことない敵だったから、思い出す手掛かりにはならなそうだし)


 そっか。

 でも、ミュサだってこの先にいるはずだから、もしかするとそこで何かわかるかもな。


 アムリスとのやり取りをして、俺はフロアへの道を進んでいった。

 この道もまた、先ほどと同じようにワインレッドの道。

 そこを進んでいくと、再び大きくフロアが見える。


 また入口から隠れて攻撃をするか?

 いや、それはしたくはない。


 そのフロアにはすでに敵がいて、こちらを見ていた。

 そして、その敵はあのミュサがいたからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ