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6 隠れ家の戦闘

 ガムラーの隠れ家に俺達は潜入した。


 ダンジョンに入ってから早速敵

 ということはなく、俺達は次のフロアを目指していた。

 ゴブリンの時も森の時も突然の敵だったので、そこはちょっと安心。


 俺はシュンを先頭にして、隠密で慎重な移動をしていた。

 具体的には次のフロアへの道を壁伝いに慎重に歩くこと。


 フロアをつなぐ道もまたワインレッドであり、道そのものの色も薄暗いという感じ。

 その薄暗さが、不気味さをさらに引き立てる。


「次でおそらくいるはずだよ、僕の感覚ではいそうな気がする」


 シュンの小声での警告。

 俺は分かったとの意思を頷きで示す。

 はっきりいると決まっていないが、ここでばれたくはないからな。


 移動中に曲がり角が見えて、角から俺達は静かに顔をのぞかせる

 次の部屋の光景、そのフロアも先ほどのと同じフロアが視界に入る。

 大きさは一戸建ての家がそのまま入りそうなほどの大きさ。


 敵はいるのか。

 それはシュンの言った通り、いた。

 赤い髪で上半身はジャケットを羽織った成人男性。

 こんなところに一般人が迷っているなんておかしいよな、だから敵だ。


 その男性は奥の壁に背を寄せて、辺りを見回していた

 だが、こちらには気付いてない様子だ。

 もしかすると、グラーソのことを待っているのか?


 不意打ちを仕掛けるチャンスだな。


「よし、ここは俺が先手を打つ。突入はそれからだ」


 声と共に俺は空気を粘着化させる。

 その空気は下の床に液体のように落ちる。

 無論、これだけでは終わらない。


 水たまりのように広がった粘着化空気は床をゆっくりと進んでいった。

 こうやって進めるのも、俺が操作しているためだ。


 この空気をどうするかというと、床を進ませて相手を拘束するということ。

 相手は周りを見ているが、床へはおろそかのように見える。

 さらにこの空気も半透明な上に薄くなって、見分けがつかない。


 俺はあの男の元へと薄く伸ばした空気を移動させた。

 移動自体は遅いが、早くするとばれそうなためあえてだ。


 空気の移動は順調に進み、相手の足元まで何とかたどり着く。

 拘束するチャンスが来た。


 俺は粘着化した空気を男性に伸ばす。


「な、なんだ、てめえ!? スライムか!」


 男性の驚きの声。

 俺はすぐにこちらへと引っ張る。

 攻撃は早い方がいいよね。


 だから引っ張りつつ、剣も粘着化。

 俺は入口から体を出して、その剣でも突きを放って伸ばす。

 相手は腕も拘束していて防御も出来なかった。


 男性の腹に俺の突きが刺さる。

 だが、それで光には包まれない。

 結構タフネスはありそうだ。


「よし、僕も切るくらいはいけるから、加勢するよ」


 シュンの加勢。

 そう言うと白い光に包まれて、モンスターの姿へと変わる。

 鎧に包まれた土の体の姿。

 黒い円から剣も出して、男性の方へと向かう。


 男性はまだ粘着化で拘束中。

 足掻きは見せるも、弱い感じだ。


 もう一撃くらいは俺の剣で突くことも可能か。

 そのようだし、剣を引き抜いて、もう一度男性の体へ突きを向ける。

 その突きも相手の腹へと命中した。

 なぶっているようで申し訳ない感じ。


 で、シュンの方も男性に切りかかれるくらいに近づけたようだ。

 そして、振りかぶってからの振り下しを相手に向ける。

 それも命中して、ようやく男性は光に包まれた。


「これでここの敵も終わりか」


 俺からの呟き。


 というかこの男性、モンスターだったんだな。

 普通の人間じゃないのかってちょっとは思っていたから、実は安心。

 普通の人間にこんなことするのは気が引けたし。


 で、ここで違和感に気づいた。

 この男性、光には包まれるんだが、その光が徐々に赤くなっているんだ。

 で、最終的に真っ赤になって光も消えるんだが、その後に赤い羽根が床に残った。


(あの羽って……なにかしら?)


 何だろうな?

 男性が身に付けていたかと言えば違うし、正直分からない。

 でも、この羽はなんか戦闘に使えそうだって気もする。

 試しに回収しておくか。


 俺は剣の粘着化も解除して、羽の元へと進む。

 で、しゃがんで羽へと手を伸ばした。

 近づいてみると、何か不思議な力は感じる。

 魔法の道具かな、これは?


 そう思った時だ。

 羽から赤い炎が漏れる。

 炎は二、三度更に噴出した。


「ヤバイ! 下がんないと!」


 俺の危機の直感。

 俺は下がり、シュンも羽から距離を置く。


 直後に炎の柱が羽を中心に現れる。

 下がってよかった。

 あの場所に居れば、俺は巻き込まれたな。


 炎の柱が静まって、消滅。

 その中には男性がいた。

 光に包まれたはずの、あの赤い髪の男性。


「おいおい、不意打ちとはひでえことするな」


 確かに倒したはずだ。

 なのに男性は肩を回して、平然としている。

 攻撃したところの傷だってない。


「それはお互い様さ。俺も不意打ちを受けたんだ。悪く言わないでくれ」


「そうかい、優勝候補さんがこんなところにいるって、グラーソの奴は何やってんだか? レムリン呼びにするだけじゃ済まねえぞ」


 グラーソの知り合いってことか、この男性。


 この光景を見ていたシュンはさりげなく更に距離を置く。

 うん、俺もそれで正解だと思うよ。

 無理に戦って痛い目に合われるより、ずっといい判断だ。


「さあな? 今どこにいるかは分からないな」


 間違いは言っていない。

 光に包まれて、どうしているかは俺にも分からないし。

 行った場所もよく知らないところだしね。


 男性は一息を付く。


「まあいい、お前は強いが俺は何度でも復活できる。俺の名はニックス。お前を負かす名前と刻んでおけよ!」


 赤い髪の男性、ニックス。

 腕を交差させて、床から炎を散らすと、彼は炎に包まれる。


 その炎に包まれた後に彼は姿を現す。

 しかし、その姿は人間ではない。


 現した姿は赤と黒のベースの頭全てを覆うマスクをかぶっていた。

 マスクからは黄色い目が覗かせる。

 更に顔から下も赤と黒のベースの鋭利にとがった鎧のようなスーツに覆われていた。


 一言で現すなら、ダークヒーローと言えるか。

 変身みたいなこともしたし。


 ただ、厄介なことはある。

 何度でも復活できるという相手の一言。

 事実、倒して復活したため、間違いないことは俺も知っている。


 その攻略手段を見つけないと負ける、それも間違いでないことだった。

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