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10 総攻撃の果て

 俺からの総攻撃の指示。

 反応したのは俺の中のアムリスだ。


(私も含めて……?)


「そうだ、あの魔法を使ってほしい」


(魔法……ちょっと前に言っていたあれね。分かった!)


 アムリスからの肯定の返事が返ってきて、次はシュンの方の準備だ。

 シュンのやることは変わりないがスキルはもっと追加したい。


「シュン、さっきのコピーしたスキルと別のスキルも加える」


 俺はそばにいたシュンに再度コピーをする。

 先ほどと同じスキルと爆弾化と爆弾起動操作もコピーとして加えた。


 そこで、マーシナルさんは拳圧を飛ばそうとしていた。

 が、途中で引き込む渦と真上からの強風に邪魔をされて飛ばせなかった。

 邪魔を入れたのは狐燐さんとミュサ。

 彼女達がダウンホールとウィンドプレッシャーを唱えて、事なきことを得たのだ。


「なるほどね。このスキルで再度かく乱って訳だね。てるちゃん」


「シュン、頼んだぞ。時間稼ぎと攻撃の誘導はお前にかかっている」


「了解!」


 シュンはマーシナルさんへと飛んで行く。


「じゃあ、アムリス。魔法を頼んだ。それとトルーハさんも飛べなくなった人の補佐を頼むよ」


 俺はトルーハさんを見て頼む。

 彼はすでに竜へと変わっていて、頷いた。


 そしてアムリスの方は俺から上半身を出していた。


「行くわよ。強大魔法、クエイクウエイブ」


 アムリスは魔法を唱えた。

 こればかりは一旦俺を出てから詠唱しないといけない上に、詠唱時間もかかる。

 強大魔法との名前に相応しく、周囲の空気が電気をまとったかのように刺激を感じ始めた。


 更にトルーハさんは自由が利かないマーシナルさんへと緑色の光の球を飛ばす。

 光の球は受けるも、それほどのけぞる様子も見せない。

 ただダメージはあるため、光の玉とダウンホールを受けて相手の耐久力は88000へと変わる。


 ウィンドプレッシャーとダウンホールの効果も切れようとしていた。


「シュン、ここからが肝心だからな。俺も加勢する」


 俺もシュンへの応援と共に配下暗影操作化を念じる。

 生み出す影はシュンとトルーハさんの影。

 シュンの影はトルーハさんの影に乗っていき、マーシナルさんへと向かっていく。

 相手が自由になったときに、シュンの影とシュン本人が剣の斬撃を交差するように当てた。


 マーシナルさんもこのままではいかない。

 シュンとその影に拳圧を放つ。

 本人はそれをかわすも、影の方は当たってトルーハさんごと消滅していく。


「照日、もうちょっとだからね……」


「分かった、アムリス。もう少し時間を稼ぐ」


 アムリスからの話を受けて、俺は新たな時間稼ぎに移る。

 俺からも魔法を使った方がいいだろう。

 今ならば巨大化させたフレイムスネイクも時間稼ぎと攻撃にも使えそうだ。


 こう考えていた時に狐燐さんが俺の元へと寄ってきた。


「すいません、照日君。私のコピーもそろそろ切れそうですので」


「分かった。さっきと同じスキルをコピーする」


 近寄ってきた狐燐さんへ俺は再度コピーをする。


 現在のマーシナルさんはシュンの方へと付きっ切りで、こちらへの攻撃に移れない。

 シュンは粘着化した空気を爆発させて、視界の方も攻めていた。

 そのため、安心してコピーができる。


 コピーをして、狐燐さんが向かっていくと、アムリスは大きく頷いた。


「よっし! いけるわよ! 照日!」


 アムリスからの準備完了の声。


「ようやくか、早速頼むぞ」


「待たせたわね、強大魔法……クエイクウエイブ」


 アムリスの声と共に、刺激的な空気から普通の空気に戻る。

 一瞬の間を開けて、闘技場に地震が起きた。

 観客も慌てふためくほどだ。


 地面に足を付けていたマーシナルさんもミュサも大きくよろけ始める。

 その間にトルーハさんはミュサの元へと向かう。

 このままではマーシナルさんも何らかの手段で逃げるかもしれない。


「俺からはこの魔法だ。闇魔法、ダウンホール」


 俺が唱えたダウンホールのせいで、マーシナルさんはその場に留まる。

 地震と下への引き込みがあるとまともに動けないか。


 その間にミュサはトルーハさんへと乗り移ることに成功した。

 留まったマーシナルさんの耐久力は88000から85000へと変わる。

 アムリスの方は両掌を前に突き出し始めた。


「この魔法は地震だけではないわよ。これが本命なんだから」


 そのアムリスの言葉と共に俺の前に岩交じりの砂が真上へと上がる。

 高さは10M近くで幅は20M、地面の波のようだ。

 その波はうねりを加えて、マーシナルさんへと向かっていった。


 これだけでは倒せないはず。

 なので、俺も追撃をしたい。


「そして、俺からも魔法だ。闇魔法、ダークレイン」


 先ほどと同じように俺はダークレインを唱えて、攻撃魔法巨大化も念じる。

 俺の斜め上に渦が現れて、大きな黒い球を出していく。


 地面の波と数多の黒い球の同時攻撃。

 それらがマーシナルさんへと襲う。

 地面の波と黒い球の攻撃に消されたかのように、彼の声も聞こえなかった。


「……見るのは二度目だけど、やはりすごいわね。クエイクウエイブ」


「詠唱短縮の影響もないほどの特別な魔法だからな。時間もかかるわけだし、これくらいの威力がないと」


 俺は地面の波と黒い球の攻撃を眺めて、呟く。


 しばらく黒い球と地面の波の攻撃は続くが、それもようやく終わる。

 黒い渦は消えて、動きがなくなった地面の波がそのまま下へと残される。

 出来れば、これで倒れてほしいのが本音。


 しかしだ。


「……」


 マーシナルさんは無言でとどまっていた。

 地面の波の中に半分以上埋もれた形で、波が来る前に位置から変わらずに。


「なっ! これでも耐えるのか……」


「クエイクウエイブまで来るとは……私も想像していなかった……」


「だったら次の手で攻撃しないと……! 耐久力は……」


 俺は驚きつつ、マーシナルさんの耐久力へと目を向ける。

 目を向けようとするとだ。


「いや、その必要はない」


 確認の前にマーシナルさんからの言葉が来る。

 この言葉が来るということは、起きてほしい俺の本音が起きるということか。


「……それはもしや」


「ああ、もう私は戦えそうにない」


「……俺の勝ちということで」


「その通り、君の……勝ちだ……」


 マーシナルさんはそう言うと前のめりの倒れた。

 沈黙がしばらく流れる。


 間違いなく耐久力は0だったが、俺も状況を飲み込めきれなかった。

 俺が試練に打ち勝ったこと。

 そして、今まで歩いて来た道がめでたく終わりを迎えたこと。

 それらを感じるのは次のメイルオンさんの言葉まで時間がかかった。


「これにて天川照日は試練を乗り越えました。そして王の資格を得ることになります」


 そのメイルオンさんの言葉の後に歓声が巻き起こる。

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