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9 LVの差を埋めるため

 俺は契約した四人を呼び出す。

 上限は四人でヴェルナは呼び出せない、申し訳ないが。


 その中で先に俺に声をかけたのはシュンだ。


「せっかくの意気込みでいい空気なんだけど、いいかな、てるちゃん?」


「何だ? シュン」


 その俺の言葉の後に急にシュンは顔を近づける。


「なんだじゃないじゃん! さっきの戦いで、空中に僕を放置ってどういうことなのさ!」


「え? あ、そう言えばそうだった! ごめん!」


 この言葉で思い出す。

 確かマーシナルライオンさんとの話の後に控室に戻って、そのままシュンは放置だったのだ。

 確かに悪いことをしているし、俺がどう考えても悪い。


「あれ結構恥ずかしかったんだぞ! 僕もどうしようもないし、他の人に下ろしてもらったんだから」


「ほ、本当にごめん……あ、攻撃が来てるから避けないと!」


 マーシナルさんの拳圧が三つ来て、俺はシュンを押して避ける。

 他の人も二つに散り散りになった。

 組は俺とシュンとトルーハさん、ミュサと狐燐さんの組だ。


「まあ、いつまでも茶番なんてしょうもないし、許してあげるけど。どうすればいいのさ、僕は?」


「シュンはかく乱してくれ。スキルコピーで飛べるようにするから」


「おけ!」


 俺はシュンに触れてスキルコピーを念じる。

 コピーするスキルは物質粘着化、遠隔物質粘着化、粘着浮遊化、念のために粘着化操作高速化もだ。

 これをコピーすれば、シュンも粘着化した空気をまとって空を飛べるようになる。


 すぐにシュンは空気をまとい、自身の体を浮遊させた。


「初めてにしてはうまく飛べたな。上出来だ」


「そりゃ、こんな状況でへっぽこな飛行出来ないからね。よっし、いてきま!」


 ただし、スキルコピーは時間制限がある。

 時間が過ぎたら再度コピーをするか、時間までに決めないといけない。


「天川さん、私は援護に努めます。指示を」


 ミュサからの声。

 今はシュンがマーシナルさんの周囲を飛んでいて、攻撃はあちらに向いている。

 魔法をかけるなら今だ。


「分かった。ミュサ、WOD」


「風魔法、ウィンドプレッシャー」


 ミュサはウィンドプレッシャーをマーシナルさんへと放つ。

 WODはウインド、オポネント、ダウンの意味、相手に真下へと風を向けることだ。


 マーシナルさんは風を受けるも、少し姿勢を崩しただけ。

 すぐにでも動けそうだ。


「やはり、これだけじゃ心許ないか。なら俺は闇魔法、ダウンホール」


 俺は魔法を唱えると、マーシナルさんの下に渦が現れる。

 それが発する引き込む力が、さらに上からかかる圧力を水増しさせた。

 これで動きづらくなって、足を動かすのも大変そうだ。


「くっ……」


 更にマーシナルさんは足を渦に巻き込まれて、ダメージを受けていた。

 ただ、耐久力150000から148000へと変わっただけで、思ったよりもダメージは少ない。


 それでも、動けない今がチャンスだ。

 俺は狐燐さんの元へと向かう。

 彼女はすでに剣を持った俺の姿になっていて、戦闘準備は整っている。


「狐燐さん、スキルコピーします。それで、俺と同じように動いてください」


「ええ、分かりました」


「コピーするのも少し多いですからね。お願いします」


 そう言って俺は狐燐さんの肩に触れて、スキルコピーをする。

 コピーするスキルは物質粘着化、遠隔物質粘着化、粘着浮遊化、粘着化操作高速化、それと念のためにダウンホール。

 更には俺の結晶の刃も狐燐さんの剣に付着させて。


「コピーも大丈夫ですね、行きましょう」


 狐燐さんが頷くと、粘着化した空気を自身にまとい始めて、空中を浮遊しはじめた。

 マーシナルさんにかかるダウンホールとウィンドプレッシャーも切れようとしていた。

 攻撃のチャンスは今だ。


 俺も粘着化した空気をまとって浮遊し、マーシナルさんの方へと飛ぶ。

 俺と狐燐さんはマーシナルさんを中心に交差するように斬撃を当てる。


「これだけでは、かすり傷程度でしか……」


 狐燐さんは苦い言葉を呟く。

 マーシナルさんに斬撃は当たるもこれで耐久力は148000から142000へと変わっただけ。

 まだ先は長いが、攻撃のチャンスはある。


「では、行きますよ、狐燐さん。炎魔法、ブラストボム」


 俺は結晶の刃にブラストボムをまとわせて、その結晶を近づいてきた狐燐さんの刃にもまとわせた。

 マーシナルさんは飛ぶ俺達に対して、拳圧をそれぞれに飛ばすが、それをかわして再度近づく。


 俺は20発の斬撃とブラストボムをまとった結晶を当てて通り過ぎた。

 狐燐さんも俺より劣るが10もの斬撃を当てて、通り過ぎる。

 マーシナルさんを中心に大きな爆発が起きた。


「これならばダメージは期待できましょう」


「ですが、まだまだです」


 俺は圧縮した空気を煙に投げ込む。

 確かに俺の最大限の攻撃を当てて、それを狐燐さんにも真似をしてもらった。

 多少は劣るが、ほぼ二倍の攻撃を当てた。


 それでも倒したとは思えない。

 そう思っていた中、煙の中で空気は破裂すると、マーシナルさんは拳圧を俺と狐燐さんへ飛ばしてきた。


「LV差がでかいですが、これまでとは……」


 狐燐さんがかわして苦い言葉を呟く。

 俺もまた拳圧をかわした。

 これでようやく142000から92000へと変わったのだ。


「でも、この状況はかなり有利ですよ。大きなことをされなければ、このままいけます」


 俺が考える戦況を呟くと、シュンが飛んで俺に近づいてくる。


「あ、てるちゃん。そろそろコピー切れそうなんで、かけなおしてほしいんだけど」


 シュンが提案してきたので、俺はコピーのために触れようとした。

 だが、飛んできた拳圧をかわして、触れることはできなかった。


「っと、分かった。だが、このコピーだけで終わらせないとな」


 俺は呟きつつ、シュンに近づく。


「ん? どういうこと?」


「次でアムリスも含めて総攻撃を仕掛ける。変なことをされて逆転されないために」


 俺からの指示。

 この勝負は一人でも欠ければ、きっと逆転されるかもしれない。

 だからこそ、俺は次で決めたかった。

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