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2 森のダンジョンへ潜入

 俺は高校への登校を前に、出来た大穴の調査へと向かうのであった。

 俺とアムリスは道案内の女子高生を先頭に走っていく。


 同じく登校している生徒や通勤している社会人をかき分けていった。

 横の車道は車が止まっていて、渋滞している様子だ。


「照日、潜入前に言っておきたいことがあるのだけど、いい?」


 走るアムリスが横を向いてから話かける。


「ああ、何か?」


「冒険者って基本的にモンスターと契約してなるものでね、冒険者は私たちにもいるから、気を付けてほしいの。おそらく戦闘することになると思うから」


「王様決定戦だしな、他の冒険者を蹴落とす奴もいるか」


「それで、気を付けてほしいのが、優勝候補の存在。五人いて、そいつらとは戦うことを避けてほしいの」


 アムリスから聞くは、優勝候補の存在。


 蹴落とされる可能性ってのも分かる。

 とはいっても、俺はできるだけ他の冒険者と協力したいんだよな。

 現状、モンスターが公に出ている状況だし、冒険者が多くいるってモンスターへの抑止になると思うんだけど。

 俺と同じ考えの冒険者っていないのかな?


「随分と大きな障壁って感じだな、名前を聞く限り」


「当たったらきっと勝てないくらいに強いし、戦わないように」


「そうするけど。ただ、強くなるためにはきっと避けられない相手のはずだぞ。当たったときのことは考えておいた方がいい」


「私はそれでもいいけど、出来るだけ当たらないようにね」


「気を付ける」


 俺はそう話す。

 俺達はどれくらい強くなればいいか分からない。

 いずれにせよ、俺達はその優勝候補はぶつかる可能性が出てくるだろう。


 走っていくと、人だかりが見える。

 おそらくは出来た穴だろう。

 車も止まっていて、不満や興味の言葉が周りから聞こえてくる。


 そうそう、アムリスの剣は見せた後にしまったよ。

 刃物持った危ない人と勘違いされるのは困るから。


「ここが、出来た穴よ」


 道案内してくれた子からの話。


「ありがとう。あとは危ないから、離れていて。モンスターが出てきてさらってくるかもしれないから」


 それに俺は礼を言う。

 道案内の子は驚いた様子だ。


「え? そうなの?」


「佐波さんもさらわれて俺が助けたんだぞ。信用できないなら、佐波さんに聞くといい」


「う……危ないのは嫌だから、すぐ逃げる」


 その方がいいよ、感心。

 佐波さんのようにさらわれても困るからね。

 ゴブリンキングのように俺が不利になる可能性があるし。


 俺とアムリスは強引に人をかき分けて、向かっていく。


「はいはい、危ないよ。ちょっとどいて」


 俺からの言葉に、人だかりはどけてくれる。

 ダンジョンからモンスターが出てくるってのに、のんきに見ていられるよな。

 やっぱり、昨日、モンスターがさらったことは分からない人が多いのか?


 大きな穴はその先にあった。

 車道と歩道の境が何のそのと、境を無視してその穴は開いていた。

 穴には下へつながる階段もある。


「ここにいるとモンスターが来て危ないわよ。危害が及んでも私たちは知りませんよ」


 アムリスは人だかりを見て警戒する。

 俺も警戒の手伝いをしよう。


「あぶないぞー、ヒグマみたいなモンスターが出て食べてくるかもしれないぞー」


 俺は手を挙げて怖い顔をして、周りを脅す。

「あぶないぞー」とアムリスも同じポーズで言ってくれる。

 ヒグマみたいなのは会ってないけど、分かりやすい脅威の存在だろう。

 これから出てくるかもしれないし。


 留まっていた人も穴から離れていく。

 これなら大丈夫か。


「じゃ、いきましょ」


「ああ、行こう。アムリス」


 俺は穴の階段へと進んでいく。

 土でできた階段通路は松明が明かりとして周りを照らす。

 アムリスは翼と尾を生やして、俺の中へと入っていった。


<オルニアの深き森 潜入開始>

<攻略難易度 LV3>


 アムリスのシステムボイスが脳内に響く。

 というか、攻略難易度っての聞かされたけど。

 ゴブリンのダンジョンにはなかったよな?


(照日、そういえばステータスの確認はしたの? キングを倒して、レベル上がったでしょ)


 おっと、そういえばまだ確認してない。

 という訳で、ステータスオープン。


 名前:天川照日

 種族:人間

 LV:5

 職業:冒険者

 所属:なし


 撃破ポイント:22


 耐久力:1000

 魔法力:200


 攻撃力:500

 防御力:400

 機動力:400

 技術力:550

 魔法威力:200


 スキル、魔法欄


 物質粘着化:LV2

 フレイムショット:LV1


 ダンジョン解析:LV1

 粘着圧縮:LV1

 両者HP公開:LV1

 スキル回収


 新しいスキルが付いているな。


 ダンジョン解析で攻略難易度が分かったみたい。

 あと、粘着圧縮は粘着化の発展したスキルみたいで、試してみたい、。

 ついでに物質粘着化もLVが上がっているから、そっちもだ。


 よく分からないスキルもあるけど、なんだろう?


(名前を念じてみれば、分かるかもしれないわよ。まあ、両者ってあるから、相手がいないと無意味そうだけど)


 それもそうか。

 じゃあ、これは後回しということで。

 で、気になったけど、森なんだなこのダンジョン。

 今は階段下りていくだけだけど。


(オルニアは私の世界の魔物の住む森。魔女もいるという話よ)


 そんな場所もアムリスの世界にはあるのか。

 通路は下りの階段から真正面への通路へと変化した。


(そういえば、撃破ポイントは見た? モンスターを倒すと、ポイントが加算されるから頑張ってね。ちなみに、強いモンスターだと一体で2ポイント加算されるモンスターもいるわよ)


 ああ、ゴブリンを結構倒したけど、撃破ポイントで表記されるんだな。


(ゴブリンキングを倒して10ポイント加算されたようよ、ゴブリン一体は1ポイント)


 あのキングで結構加算されたみたいだな。

 ダンジョンのリーダーだったし、ポイントが高くて納得。


 そうこう考えていると、通路から光が入ってきて、出口をむかえる。

 通路から出ると、そこには草木が茂っていて、森に来たと思わせる。

 今いるところは草木が高く伸びていて、ダンジョンとしてのフロアの区切りの役割を持っているようだ。


 現実の森と違うのは、俺と同じくらい大きい茶色のキノコが草木に紛れて生えているところか。

 異世界の森に来たって感じだ。


「ここは森のダンジョンってところだな」


 俺は周りを見る。

 上を見ると、木の枝や葉っぱがほとんど覆っているけど、所々青空が見えた。


 階段を下りてきたのだけど、上に青空があるって不思議だよな。

 アムリスの世界の地域から引っ張ってきて、ダンジョンにしているようだし、見えているのはあっちの世界の空なのかも。

 と、そこで激しい羽音が響く。

 そちらを見ると、ハチのようなモンスターが視界に入る。

 頭と同と腹だけで手足はないが、腹の下に大きな針がある。

 体表は黒と黄色の二色で、大きさはゴブリンと同じか小さいか。


(あれはデンジャラスビーよ。毒針を飛ばしてくるから気を付けて)


 忠告ありがと、毒を受けるのは嫌だな。

 どれくらい、きついのか分からないし。


 と思っていたところで、デンジャラスビーは俺に向けて針を飛ばしてきた。

 針の射出は二回で二つの針が俺に飛んでくる。


「うわっと!」


 俺は横に避けて、回避した。

 針は地面に刺さっていて、紫色の液体が付着していた。

 見て分かるね、毒針って。

 でも、見ていれば何とか回避できるな、速さも目で追えない範囲ではないし。


 剣もまだ出していなかったな。

 でも、対抗はできるし、まずは粘着空気砲だ。


 俺は先に掌を突き出して、粘着化した空気をデンジャラスビーにお見舞いする。

 それを相手は横に避けるも、すぐに粘着空気砲をもう一つ放つ。

 防げなかったようで、相手は粘着化した空気に包まれてもがき、地面に落ちる。


「今だ!」


 声と共にアイテムボックスオープン。

 走って剣を取り出して、鞘から出すとともに横の薙ぎ払い。

 もちろん、あのデンジャラスビーにむけて。


 デンジャラスビーは切られて、光に包まれる。


(モンスターは他にいないようね、戦闘終了って感じ)


 俺も確認すると、モンスターはこのフロアにいない。

 魔法も試してみたかったけど、初見の敵だったし、それは危ないか。

 あと、事前に剣を準備できなかったのは反省した方がいいな、気を付けないと。


 それと、俺は毒針の方を見る。

 こちらは消えてなかった。

 冥途の土産でこっちになんか危害加えないよね?


(どうかしたの? 何か考え事?)


 どうしようかなってね。

 でも、決めた、アイテムとして回収だ。

 回収するメリットが上回るかもだし。


(毒針よ! 触れたら危ないわよ!)


 まあ、素肌で触れれば危ないかもしれない。

 というわけで、こうする。


 俺は毒針の方へと歩いて、手を伸ばす。

 もちろん手では触れない、空気を粘着化させて包む方法だ。

 一応、毒針は上から下の先まで、空気で包もう。


 そして、アイテムボックスオープン、で毒針を二本入れる。


(毒針をアイテムボックスに入れるなんてね、中で悪さすることはないと思うけど……)


 まあ、せっかく武器としても使えそうだしね。

 有効活用を。


 そんなやり取りを俺はやりながら、先へと進んだ。

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