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5 ジャクソンを倒して

 俺は覚悟のうえでジャクソンを巻き込んで爆発した。

 黒い煙が晴れるころ、二人は別れて落下していく。


 別れた上に、ジャクソンも戦闘不能に陥ったのは良かった。

 だが、正直言うとブラストボムの威力は想定以上にでかかった。

 そのため、俺も落下に足掻く力もほとんどない状況。


「やばい、耐久力は残っているけど……こっから先は、どうすれば……」


 4000だけの耐久力を見て、俺は力なく呟く。

 予定では粘着化した空気をまとって浮遊だった。

 その力も今では出せない。


 更に俺は落下していく。

 しかし、その落下も急に止まる。

 急に片腕が固定されたように。


 何があったかと俺は腕を見ると、止まった理由がすぐに分かる。


「そんなことするなんて思わなかったわ、照日……」


 アムリスが俺の腕を掴んで飛んでいた。


「アムリス……助かった……」


 いつもの俺の体重ならこうすることもできないだろう。

 俺が軽くなっていたからこういうことが可能になったようだ。


「ほら、しっかりしなさい。戦いはまだ終わってないんだから」


「そうだった……な。急いで回復しないと」


「外野は狐燐さんとトルーハがいなしているから、早く回復しよう」


 その言葉の後に周りを見る。

 黒いモンスターと外部から来たモンスターたちが二人を囲っていた。

 その状況も数が多いようだが、何とか数を減らして対処している様子だ。

 幸いにも残った蝙蝠も消失していて、今の俺にモンスターが寄ってくる様子はない。


 体勢を整えるなら、今が好機。

 俺は粘着化した空気を足元に放って、足場を作る。


「ああ、水魔法、アクアヒール」


 魔法を唱えると魔法陣から水が出てきて、俺を包む。

 その水が俺のだるさと冷たさが和らいでいく。

 しばらくすると水が弾け飛んで、俺の耐久力が9000へと回復していた。

 スキルの方がなくなったわけではないが、これでひとまず安心だ。


 それと早乙女の方も忘れてはいけない。

 気になって見ると、呆然としていた。


「そんな、ジャクソン様が……」


 ジャクソンは落下して地に落ちている状況。

 戦闘への再参加は無理と見える。


「あのパートナー頼りだったら、かなり不利だと思うけどな。どうするんだろう?」


 早乙女の意思を確認しておきたい。


 俺は時間を掛ければ不利なのは変わらない。

 だが、戦意喪失している相手に切りかかるような真似はしたくもない。

 その為に意思の確認は必要だ。


「……」


「おい、ジャクソンは戦闘続行不可能だぞ。お前が負けを認めるって言うなら、俺は戦わない」


 俺からの大きな声に早乙女はこっちを向く。


「うっ……でも、私はまだ……!」


「まだ戦う意思があるってことか」


「強性呪印だって残っています。まだまだ部があるところだって……!」


 早乙女が杖で空を突くと黒い円が出て、そこからモンスターが出てくる。

 モンスターの姿は大きな蜂や鬼の顔をした霧、総勢5体。

 それらがこちらへ向かってきた。


 それに対して俺は結晶の刃を精製する。

 ガティークソードにも魔力を込めてだ。

 向かって来たモンスター全てを瞬時に切ると、すぐさまモンスターは光となった。


「厄介なのはジャクソンだったからな、このモンスターだったらこうだ」


「ぐっ……」


「もう一度聞いてみるか。その前に俺からも一つ」


 俺は剣の先を向けて、早乙女に結晶を伸ばす。

 相手は結晶を避けようとするも、伸びる速さはこっちの方が早い。


 結果として早乙女は伸びた結晶に拘束される。

 攻撃するよりか攻撃手段を奪う方がずっと効果があるだろう。


「あぁっ!」


「余計なことをされると困るから拘束は許してくれ。で、降参するか?」


「う……」


「それと、降参するならモンスターもおとなしくさせてほしい。モンスターを外へと引っ張ってきたのもお前たちだろ?」


 俺から改めての提案。

 今度降参しないというのであれば、拘束した結晶を爆弾化させよう。

 その後はブラストボムだ。


 今すぐ倒した方がいいのかもしれないが、モンスターを呼び出した張本人と聞く。

 彼女を倒して意識を奪えば、モンスターを従わせられない。

 なので倒すよりも降参の意思を出させて、彼女にモンスターを任せた方が速い。

 できるだけ降参させたいのもそれが理由だ。


 早乙女はうつむく。


「……ええ、私とジャクソン様でダンジョンのモンスターに話を持ち掛けて攻撃を仕掛けました。私はモンスターとの意思疎通も出来ましたので」


「だったら、責任を持ってモンスターの鎮静化させてくれ。降参もしてな」


「それと、私は闇を操るスキルがありまして、その闇をモンスターにまとわせて力の底上げも可能なんです」


「……そうか。で、降参はしてくれるのか?」


 なんだか様子がおかしい。

 降参って言葉が早乙女から出ていない上に、会話になっていない。


「最後に一つ、私は吸血鬼化のさらに上位のスキルもあります。吸血女王化というスキルが」


「降参しないのか? だったら俺は爆発させて……」


「その必要はありません」


 早乙女は顔を上げて話す。

 するとだ。


 彼女は瞬時に結晶を粉々に散らした。

 更にはマントも制服も含む自身の衣服もだ。


「うわっ! 拘束した結晶を破った!? そんな力が……」


「吸血女王化のスキルを発動させました。衣服が破れますけど、それはどうでもいいこと」


 今の早乙女は服を全くまとわない裸の姿。

 そしてスキルを発動させる前よりも大人びた体つきになっていた。


「そういうことか! だったら俺は」


 俺が結晶を精製して再度伸ばす。


「私には闇があります。その闇を全身にまとえばモンスターである私の力も上昇できます」


 結晶が届く前に早乙女の周囲から闇が沸き上がり、体をまとっていく。

 俺の結晶が届こうとした瞬間に彼女は手を横に払う。

 払うと闇が動きに同調して、俺の結晶を破砕させた。


「そうか……こんなこと聞いた俺が馬鹿だったよ」


「私が降参なんてありえません。ジャクソン様がこうなった今では遺志を継ぐのが私の務め!」


 結果論だが、降参の意思を聞くのは失敗だったと痛感する。

 早乙女は物理的に倒すしかない。


 アムリスは俺の中に入って、俺は早乙女の方へと向かっていった。

 今の俺の耐久力は7000だ。

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