プロローグ
試験的に三行あらすじを追加しようと思います。
短時間で流し読みしたいという方はここを見てストーリーを追ってください。
不評であれば消すかもしれません。
三行あらすじ
・このような形で
・前の話のあらすじを表記します
・次の話から
月は11月。
満月は綺麗なほどに円形で夜空を浮かんでいる。
時刻は夜の時間だ。
俺はその夜道を歩いていた。
時期も冬が迫っていて、寒さが染みる。
服装は普通の高校生が身にまとう制服の姿だ。
俺は急ぎで出てきて、防寒着も着ていない。
レンガが囲う道に俺以外の人は誰もいない。
不意に痛みが走った。
「あー痛っ……ボコられたな、今日も。あの三木島に」
俺は痛みを感じつつ、呟く。
三木島にボコられるのは割といつも通りであるので、あまり驚くようなことではない。
その三木島という男は俺の高校にいる名の知れた不良だ。
俺は彼にボコられた上にカツアゲされたんだ。
夜の時間に呼び出されて、金をよこせ、あと気に入らないからと言って暴力を振るわれる。
現状に至る経緯はこうだ。
よくあることなので、それも慣れっこだ。
「財布の中は……小銭はあったか。飲み物を一回買えるくらいは残っているな」
今、俺は十字路に置いてある自販機の前にいて、財布を見ていた。
取られたのは千円札を四枚、俺の持っているお札全てだ。
高校生の財布には痛いダメージ。
買えそうな飲み物は炭酸飲料ぐらいか、残っている小銭では。
寒いけど、今は暖かい飲み物よりもこっちだ。
「ボコられて感覚が変になっているのかな、冷たい飲み物でも行けそうな感じだな」
俺の名前は天川照日。
黒い髪で黒い瞳のどこにでもいる高校三年生。
見た目は、って付くか、いじめられているわけだし。
顔はイケメンなんて表現は合わないので、いたって普通。
身長も男子高校生としては平均的。
俺は自販機で買ったペットボトルに口をつける。
今回の暴力で腹へのダメージはなかったから、今回は飲めた。
そんな時にだ。
急に地震が来たのは。
「え? 地震……!?」
ここは日本だし、地震はたまにはあること。
でも、この地震は何かが違う。
例えるならば、普通の地震は波のように来る感じ。
だが、この地震は細かく上下に揺らしているかのようだ。
不意にコンクリートの床が俺を跳ね上げる。
びっくりするくらいの轟音と共に。
「うおあ!? なんだよ、なんだよ!?」
跳ね上げられた俺は着地に失敗して、仰向けになる。
暴力を振るわれてなければ、ちゃんと着地できていたのかも。
でも、その轟音もすぐに落ち着いてくれた。
やっぱり、この地震は何かおかしい。
早く家に帰った方が安全だ。
痛みはある程度落ち着いたし、走ってもちょっとの痛みを我慢すれば大丈夫そうだ。
そんなことを考えていて、俺は女性の声を聞く。
「いきなり! いきなりこんなことなんてー!」
その女性の声は若い声で、慌てている様子。
まあ、気持ちはわかる。
いつもと違う地震だし。
近くからの声みたいだから、俺と同じ目にあったんだろうな。
そんな予想は出来た。
だけど、それは予想違いだと分からされる。
なにせ、女性は通路を急いで向かってきたのだ。
女性は背に翼を、腰に尻尾を生やして飛んでいた。
「え? 何なの、その恰好……?」
見た目だけなら悪魔っ子とかサキュバスで説明できる格好の女性。
最近のコスプレって飛行能力までついてくるのか。
なんて疑問の中、俺のいる通路へと女性は入ってくる。
なぜか慌ててきた様子だけど、俺はその次の光景で理由が分かった。
緑色の子供くらいの背丈の生物二匹、それがあの女性を追いかけてきた。
その生物は原始的な腰布だけをまとって、こん棒を持っている。
明らかにあの二匹は女性への敵対心があった。
目つきも鋭いし、恐ろしい顔しているし、敵だ、あれは。
「あなた……あなただったら!」
飛んできた女性は俺に近づいてくる。
その女性は長くワインレッドの髪を揺らす。
服装は翼と尻尾がなければ、高校生の制服。
しかも、服は白と黒がベースで、いいところの高校だと見えるだろう。
「へ? 俺に何を期待しているの?」
「いいから」
俺の疑問を何のそのと、女性は顔を俺に近づける。
近くで見ると、その顔は美人で綺麗な顔立ち。
こんな状況でなきゃ、大半の男は羨ましがるだろうな。
その間にも緑色の生物は近づいてくる。
「何をする気なん」
「私と契約して冒険者になって!」
その中で女性は強引に俺の顔に自身の顔を近づける。
するとどうだ。
男女の唇と唇が触れ合う。
その瞬間、場の床を中心に淡く光り始める。
女性は俺の後頭部に腕を巻き付け、さらに腰も押し付けてきた。
床の光は模様を描き、飛びかかってきた緑の生物を見えない壁で弾き飛ばした。
仮定だが、この模様、魔法陣か。
魔法陣の光も徐々に弱くなって、最終的には消えることになる。
女性の唇は俺から距離を置いた。
それと、契約中、彼女の腕の絡みは維持の上に両足も俺の腰と足に絡めてもいた。
尻尾も俺の足に絡めてで、ちょっとやらしい。
「よし、これで無事、契約成立よ」
顔から距離を置いた女性を見る。
気のせいなのかな、女性の頬が赤くなっている気がするのは。
「そ、そうなんだ……」
敢えて、俺は当り障りのない言葉を選ぶ。
俺自身も顔が赤くなっているはずなので、ここでの表情の突込みはあえてなしとする。
「もう、あのゴブリンが来ているから、早く!」
女性はすぐに背後から鞘に収まった剣も出す。
それを俺に剣を投げ渡す。
「え!? あ……」
緑色の生物、ゴブリンへと視線を向けると、こん棒を握る手に力を入れている。
攻撃に移る気か。
俺は逃げ出したかった。
急にだし、俺にこんな事されたって困る。
なにせ、俺は今までいじめられっ子の日陰者だぞ。
でも、その中で確かに戸惑いもあった。
「お願い! 私に戦う力はないから、戦って!」
女性の懇願。
本当に逃げていいのか?
でも、逃げたらどうなる?
女性もただでは済まないだろ?
それもそうだが、それだけか。
逃げたら、今までと同じじゃないか?
-いつまでもこのままだから、いじめられてばかりで、日にあたらないんじゃないか?
「ヒャー!!」
ゴブリンは声と共にこん棒を振りかぶって飛ぶ。
まだ怖い。
あの不良たちにボコられるより痛いかもしれない。
でも、もう動かないといけない。
不思議と動ける気がした。
もう、逃げるのを放棄するために。
「こうなったら! やってやる! やってやるんだ!」
俺は自分への激として声を出す。
同時に、ペットボトルの飲み物をまき散らす。
ゴブリンの方へとだ。
すると、ゴブリンの目にその飲み物が入る。
「ゲヒャー!」
炭酸飲料だからな、目に入るときついだろ。
ゴブリンは手で拭い、攻撃もやめた状態。
その隙を俺は逃がさなかった。
鞘から剣を引き抜く。
「当たれえ!!」
振りかぶりを止めたゴブリンに俺は剣の突きを放つ。
防御もしなかったため、腹に突きが当たる。
負ったダメージはゴブリンの手足を跳ね上げた。
その後に手足は糸が切れたように、下がっていく。
その瞬間、ゴブリンは光に包まれて、消えていった。
この瞬間が小学校、中学校、そして高校といじめられていた日陰者。
そして、俺が光を照らす道への転機となった瞬間であった。
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あと、今日は三話投稿します。
十話までは一日三話投稿予定です。