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■頁彦
四凶に渾沌という獣あり。
その頭に目、鼻、口、耳の七孔をもたず、不変にして不毛なるそれは名の如く混沌を司る。
荘子において、渾沌は南海と北海の中央の帝であり、南北の帝が渾沌の地にて会いし折、両者を手厚くもてなす。
恩に報いた南北の帝より、渾沌、日にひとつ七日にて七孔を穿たれり。
これにて見、聞き、食べ、知り、楽しむを与えんとするも、渾沌、七日目に死せり。
混沌これ定まらぬ故の不変にして、定まるは不滅にあらじ。
人の知り、人の解するところ人知を得る。 人知は時、所、名を認めて変化、境界、実存をもたらす、これすなわち必滅なり。
実の如何なるかを表す様を相という。
相とは互いに向かい合うさまをいい、これを見て互いに在るを認める。
相より運気、ありようを知るは易にあり、変じるを認め、成り易しを見定めるものなり。
その者、何人かたらしめる相をして、人相と呼ぶ。
≪出典≫ 「道守る家 第二巻」 著:草磐 文重 より抜粋




