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詩集⑥

伝えたかったんだ

作者: 桜ノ夜月
掲載日:2016/03/07

ゲームに呑み込まれて。


テレビに呑み込まれて。


インターネットに呑み込まれて。


活字に呑み込まれて。



呑み込まれて。呑み込まれて。呑み込まれて。



いつしか、僕は、自分の中ばかりに、「言葉」を押し止めていたみたいだ。



「助けて」って、伝えられない。


「愛して」って、伝えられない。


「ごめんね」って、伝えられない。



いやな、いやなこ。



みにくいこ。



明るく、楽しく過ごした一日が終わって。



目を閉じて、浮かび上がるのは、伝えられなかった言葉達だ。



『信じてたのに』


『どうして?』


『伝えられるのは、貴女しか居ないのに』



『うそつき』



その言葉達の叫びに、僕はただ。


「ごめんね、ごめんね」


って、叫び続けていた。


愛して欲しかった。


信じて欲しかった。


傍に居て欲しかった。




本当はずっと、伝えたかった。




本当は、ずっと、誰かに伝えたかったんだ。




「頭がおかしいんじゃないか」


「変わってる」


「嘘つき」


「大嫌い」


「死んじまえ」


「お前なんて必要ない」


「役立たず」


「根暗」


「デブ」


沢山の、「言葉」が塊になって


僕の、喉を、胸を、頭を押さえつけて。


「呼吸」が、出来なくなって。


切り裂かれた心なんて、もう痛みも感じなくて。


「何で僕は生きているんだろう」なんて。


「何て役に立たない生き物だろう」なんて。


「醜い子」「汚い子」「役に立たない子」「駄目な子」「できない子」「死んでしまえばいい子」「おかしい子」


そんな言葉が、ずっと背中に貼り付いていたんだ。


「僕はできない子」


「役に立たない子」


「死んでしまえばいい子」


「駄目な子」


「汚い子」


「醜い子」


「おかしい子」


だから、消えてしまいたい、なんて。


苦しい、なんて。


目の前で微笑む貴方に、叫んだ。


叫んで、泣いて、喚いて、馬鹿みたいに笑った。


貴方も言うのかな。


「できない子」「役に立たない子」「死んでしまえばいい子」「駄目な子」「汚い子」「醜い子」「おかしい子」


また、あの真っ暗な沼の中に落ちなくちゃいけないのかな。


傷つけてしまったのかな。


嫌われてしまうのかな。


「いらない子」って、「役立たず」って、そう言われてしまうのかな。


そうしたら、僕は、どうすれば良いのかな。


役立たずで、できない子で、いらない子で、醜い僕は、どうすれば良いのかな。




「出来る子じゃないと、いけないんですか?」




なんて、貴方の声が聴こえて。


「必要な子じゃないと、いけないんですか?」


「役に立たなければ、いけないんですか?」


「綺麗な子じゃないと、いけないんですか?」



「あなたが生きていてくれるだけで、嬉しいと思うのは駄目ですか?」



そんな言葉は、言われたことが無かったから。


嬉しくて、温かくて、けれど、それ以上に戸惑って。


「出来なくても、役立たずでも、醜くても、貴方は「私」を見てくれるんですか?」


なんて、少し、意地の悪い質問をしても。


「出来なくても、役立たずでも、醜くても、貴女が、どれだけ「貴女」を嫌いでも」



「貴女が生きていてくれるだけで、僕は嬉しいんですよ」



ねぇ、先生。



出来なくても、役立たずでも、醜くても、それでも、貴方は、こんな醜い「私」を、「私」だと認めてくれたから。


ゆっくり頑張れば良いって、一緒に頑張ろうって、そう言ってくれたから。



いつかまた、貴方に逢えたら、私は貴方に伝えたいんだ。



「認めてくれて、ありがとう」って。



ずっとずっと、伝えたかったんだ。


此処にいる、ただの「僕」の言葉を。


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