テンプレってなんだろう
すっごい久々の更新です、この時期はホントに色々忙しい
「 アルデンテ公国、この国では、昔から魔族との争いが絶えない。
いや、この国が出来る前からこの地方では魔族と争いを続けている。
人間にとって魔物とは、大切な食料であると同時に脅威でもある。
魔族は、魔物を創り出す。
確かに、大切な食料ではあるが、増えすぎは困るのだ。
だから人間は、魔族をも狩った。
そこからは簡単な話である、同族が殺された、恋人が、友が、永遠に続く復讐の螺旋。
伝承にはこう記されていた。
この螺旋を終わらせるのは、異なる世界より来たる者。
魔と人とを繋ぐ、優なるものである。
と、いうのが一通りの伝承ですわ」
本を閉じながら、ラヴィがドヤ顔をしている。
「ラヴィ!私の役目取らないでよ!!」
通常ならばヒロイン街道を進むはずのリィーネ、悲しいかなラヴィに解説役というなかなかに重要なポジションを奪われている。
キャッキャウフフな感じで、言い争いをしている背後で哲坊は何やらゴソゴソとしている訳だが、、、
「ところで哲さんは、さっきから何をしているんですか?」
「んっ?脱走の準備だが???」
「あぁ、それならよかったです」
「・・・・・」
「・・・・・」
「えぇ!?脱走!?!?」
「おう、脱走だ異世界召喚系の小説じゃテンプレだろ?」
「えっ!?なんなんですか!?そのテンプレって、えっ!?ちょっと待って、なんでよ!?」
「まぁ、テンプレだから仕方ない。じゃあなまた何処かで逢おう(キリッ)」
「ちょっと待ってぇぇぇぇええええ!!!!!」
王城の窓から屋根伝いに逃走してゆく哲、抑止するべく叫ぶ王女。
テンプレを意識した結果、なんだか新しい光景を創り出してしまった哲であった。
「はぁ・・・どうすっかなぁ・・・」
哲は、困っていた。重大な自体が発生したのだ
「金がねぇ」
そう、哲は一文無しだったのだ。
正式に、城の外で暮らすとなれば当面の生活費等は、保証して貰えたはずであったにも関わらず、脱走して来たが為に、無一文で今に至る。
「とりあえず、冒険者ギルド行くか。テンプレだし」
テンプレっぽい行動をすれば、主人公力が高まると思っているのであろうか、哲は食欲が関わらなければテンプレになぞって行動出来る奴なのだ。
そのテンプレが状況に合った物かどうかは、置いておいて・・・
冒険者ギルドは、大通りにあった為、哲にもすぐに見つけられた。
哲が、扉を開くと中は喧騒に包まれていた。
様々な、それは様々な装備を纏った人々。
前衛職であろうフルプレートと呼ばれるガッチガチに固め装備から、どうやって防御力を得ているのか不思議な肌色面積多めの巨乳御用達装備まで。
その中でも、異色の存在感を放つのが狐耳、狐尻尾を備えた獣人である。
いや、獣人自体は全く持って珍しくはない。
魔族との境界は曖昧だが、魔物を生み出す事はない。
しかし、しかしである哲はどうしても目を奪われた。
ファンタジーな装備は周囲にも沢山いる、しかしながら何故、何故!!!!
圧倒的に薄い胸部装甲の彼女が、ビキニアーマーを着用しているのか!!!!!
哲は、ケモナーである。
獣耳、獣尻尾は大好物だ、ここまで来る間にも猫獣人や、犬獣人をガン見して来たところである。
哲は、胸の大きさに貴賎など無いと考えている。
確かにそう考えていた。
しかし、しかしだ!!!!!
全くもって新しい、狐耳貧乳ビキニアーマ。
目を奪われた、ガン見した。
それはもうガン見した。
ガン見し過ぎて気付かれた。
「アンタ、何見てんのよ」
狐耳貧乳ビキニアーマは赤面しながら震える声で言った。
これが哲と、ミルとの最初の出会いである。