いい具合に熟成されてるぜ?
食材を探し始めた哲、今重要なのは、肉である。
肉はどれほど旨いのか、哲は想像するだけでやや涎が出てくる。
そんな中、哲は見つけた。
肉一つ一つに鑑定をかけていた哲は遂に見つけたのだ。
レッドバイソンの肉 Aランク
バイソンの異常種、魔族がバイソンを飼育、育成した時に稀に生まれる。
カラミティバイソン1体の出現によりバイソン種の魔獣が統率され、一つの街が滅びた事がある。
その獰猛な性格とはうってかわり、肉は脂乗りが良く、旨い
「分かるか、坊主コイツはいい肉だ。熟成もいい具合に進んでる、1kgくらいなら持ってっても構わねぇ」
「リブロさん、アンタ最高だ!」
思わずリブロに抱きつく哲、リブロはそれを優しい笑顔で受け止める。
2人を影で見ている人物には、誰も気づかなかったのだった。
さて今回哲は、肉を1ポンド、約450gを厚切りで用意した。
美しいサシが入った逸品である。
このような肉は、やはり敬語を評してステーキとして食べるべきであろう。
肉を叩き繊維を分離させ、表面に塩コショウをかける、そして焼く。
ジュージューという子気味いい音と共に、肉の焼ける匂いが漂う。
旨み、味、食べた後の事を想像させるには充分なほどの匂い。
そして焼きあがる。
焼き加減はレア、肉の旨みが一番伝わる。
哲は切り分けた肉を口に入れた。
宇宙、爆発的に広がる原始的な肉の旨み、口に入れ、咀嚼する間も無くとろけ、無くなったそれは、なくして莫大な存在感を感じさせる。
気付けば肉は無くなっていた、うまかった、それしか感想は出てこない。
いや、それ以外の感想など不要なのだ。
感動に打ちひしがれる哲を、リブロは楽しそうな表情で見ていた。
「ひょぉぉおお!!!!!!」
突然奇声が響いた。
「そこからどうするんですか!?何ですか!?美食が繋ぐ2人の絆ですか!?ホントありがとうございます!!!」
突如として現れた女性、哲は誰だコイツは、と怪訝そうな顔で見ている。
「ラヴィオ様、失礼いたしますが、淑女としてお慎みください」
横にいたメイドらしき人物が忠告する。
何かに気づいた様な顔をした後、取り繕い挨拶をした。
「先程は、失礼致しました勇者様、私はこの国の第3王女のラヴィオーネと申します」
「俺は、哲だ。王女様その勇者ってのやめて、哲って呼んでくれ」
「分かりました哲様、私の事も是非ラヴィとお呼びください。」
「わかったよラヴィ」
「ところで哲様と、リブロはその・・・愛し合っているのでしょうか?」
「「・・・」」
「感激に抱き合い!感動に見つめ合う!正しく恋人のよう!あぁ、私今まで生きてきて良かったです!本当にありがとうごさいました!」
この姫さん、この場にいた全員が無かったことにしようとしたのに自ら掘り返しやがった。
間違いないコイツは・・・
熟成して(腐って)やがる
熟成ってちょっと腐りかけの状態なんですよね
さながら姫さんは完熟、バナナでいうともう真っ黒ぐらい。
わかりやすく言うと某掲示板の8〇1板くらい
因みに名前の由来はラヴィオリ、具入りのパスタですね