ハーレムの始まり
哲は、豪華絢爛と言うべき部屋にいた。
そりゃ一応勇者であるわけだから待遇はなかなかにいい。
時間はまだ昼過ぎで、過ごしやす陽気である。
そこで哲は、ふかふかとしたベッドに横になりまどろんでいた。
そんな時、哲が与えられた部屋のドアがノックされた。
「勇者様、私です」
リングイーネが部屋を訪れる。
「ワタシって誰だ?んな名前の知り合いいたかな?」
安定の哲である
「リングイーネです・・・」
若干声が震えている、哲よ、もう少し食以外にも興味を持て・・・
「あぁー入っていいぞ」
「失礼致します」
リングイーネが部屋に入ると、哲は、ベッドに横になっている。
覚悟を決め、リングイーネは哲の傍により声をかける。
「勇者様、約束を果たしに来ました・・・」
震える声で哲に告げるリングイーネ。
リングイーネは美しい、今代一の美姫と言われる程度には美しい。
であるからして、リングイーネを嫁に欲しいという貴族の男は、後を絶たないだろう。
そんなリングイーネが、焦りの余り、自分の出来る範囲ならなんでも言うことをきくと宣言してしまったのだ。
リングイーネが自分のこれからを想像するには充分であった。
「あ、姫さん俺の事は哲でいいぜ」
軽い会話、それすらも深い関係になる為の前段階としか思えない。
「分かりました、哲様、私の事はリィーネとお呼びください」
「わかったよリィーネ」
このまま深い関係になっていくのだ、私はこの人と、と考えていると哲から声がかかる。
「そうそう姫さん、願い事だがな」
ついにきた、心の準備は終わっている。
父にもこの事は伝えてきた、関係を持つことによってこの国に繋ぎ止める事が出来ると言うと渋々と承諾してくれた。
このような形で、私の伴侶が決まるとは思わなかった。
余りにも急である、心の準備なぞできていない、それでもやり遂げなければ行けない私が口にしたのだから。
それで愛するこの国を、国民を守れるのだから・・・
「リィーネ・・・」
私の名前が呼ばれる、あぁ私は、この人と生きていくのだ。
「はい」
リィーネは覚悟を決めた。
「王宮の厨房と食材好きなだけ使わせろ、俺が飯をつくる!」
「はい、ってえっ?」
哲よ・・・もう少し、もう少しだけでもいいから食以外に興味をもってくれ・・・
混乱するリィーネ、張り切り出す哲、さながら場の空気は混沌空間。
混乱し過ぎて放心するリィーネをよそに哲は、側付きのメイドに、厨房へと案内してもらうのであった。
「たのもーう!」
哲が厨房へと立ち入る、仕込みの最中の料理人達はいっせいに哲の方を見た。
「なんだ坊主、道にでも迷ったか?」
恰幅のいいナイスガイな感じのおっちゃんがきいてくる。
「いえいえ、私は、哲と申します。この度は姫様にお願いして、この厨房を少しの間貸して頂くことになりました。」
驚いた、哲の礼儀がいい流石の哲も、いや哲だからこそ料理人にはある一定以上の経緯を持っているのであろう。
「ほう、って事は勇者様か、それは失礼しました。私はここで料理長をしているリブロと申します」
「いや、全然気にしてないんで普通にしててください。こっちもその方がやりやすいんで」
「そうか?そりゃ良かった、俺は敬語が少しばかり苦手でよ、お前さんも普通に話してくれや」
豪快に笑いながら告げるリブロ、話しのわかるいいおっさんである。
「とこで、リブロさんここにある肉、1通り見せて貰っていいか?」
「あぁいいぜ自由に見てけ使うなら俺に言ってくれりゃ帳簿はつけておく」
「ありがとよ、リブロさん」
哲は探し始める、お目当ての食材達を。
残念、食材でした
哲の残念極まる性格に拍手を!
ブックマークしてくれてる方ありがとうございます!
拙い文章ですが完結まで頑張るのでお付き合いください!