勇者(笑)よりタチ悪い
哲は光の中にいた、漂うような感覚の後、急に訪れる落下感。
気がつくと石造りの部屋にいた。
慌しいくなる周囲
眼前に立つ質のいい服を身にまとった少女
そして全員が跪き少女が口を開く
「召喚に応じて頂きありがとうございます勇者様、どうか我々の世界をお救いください」
と・・・
「嫌だ、めんどいからパス」
「「「「「へっ?」」」」」
ド直球である、異世界転移主人公としてもう少し思慮深くなれないものか。
「んじゃ、そういう事で」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
少女が声を少し荒らげる。
哲が面倒くさそうに呟く。
「なんだよ」
少女が少し怯む
「わ、私はこの国、アルデントの第2王女のリングイーネと申します」
少し自慢げに言った
「そうか俺は、哲だじゃあな」
リングイーネに背を向け歩き出した哲
「は、話しだけでも聞いてください!私の出来る範囲でなんでも願いを叶えますから!」
哲が動きを止める。
ゆっくり、ゆっくりと振り返る。
不適なそれはもう不敵な笑みを浮かべ、哲は確認する。
「いま、なんでもって言った?」
「は、はい」
リングイーネは頷く、自分の貞操に危機を感じながら・・・
王と謁見する事になった哲だが、膝まづいたりしない。
周りの人間達が顔に青筋を浮かべる。
王が現れ、哲へ語りかける。
「勇者よよくぞきてくれた、現在この国は魔王から侵略を受けているのだ、我々の力ではどうすることも出来ん。どうかこの国を救って頂けないだろうか」
王が頭を下げる、実によく出来た王様だしっかりと頭を下げる事が出来る。
「だが、断る」
瞬間空気が凍った。
「俺は、うまいもんが食べたくてこの世界に来たんだよ世界なんて関係ねぇ」
哲はその場から立ち去ろうとする。
「ま、待ってくだされ勇者様!」
哲が立ち止まり振り返る、それはそれは面倒くさそうな顔をしながら・・・
「この世界の食料の家の肉などは基本的に魔獣から産出されるのです。そしてその魔獣基本的に強ければ強いほどうまいのです」
「そうらしいな、だから俺は、魔獣狩って畑作って悠々自適な美食ライフを送りたい」
「因みに魔王軍、魔族は魔獣を従えております。」
「うん?」
「そして魔族が従える魔獣は、通常発生した種よりも強くなります。」
「うん」
「で、ですので魔族を降さんと赴けば必然的に美食にあり付けるかと・・・」
少しの間謁見の間に沈黙が流れる
「よし決まりだ、生かさず殺さず魔族を肉の生産設備にしよう!そうしようついでに魔族集める家庭で世界各地の野菜とか果物とかも集めよう!」
王や、近衛達は思ったもしかしてこいつ魔族よりタチ悪い奴なんじゃ無かろうか、と・・・
「と、とりあえず今日は、城にお泊まりください。部屋を用意させましょう」
哲は、これからの期待に胸を膨らませ楽しげに自分が与えられた部屋へと行くのであった
リングイーネは皆さんご存知ジェノヴァ風パスタによく使われているの麺の名前です
因みに意味は舌です。
ディープなキッスでもうまいんでしょうか気になっちゃいます