~旅の空へ~
お待たせしました。
そして……最終話です。
~旅の空へ~
クレア爺さんのところに残っていたアローナだったが、彼女も無事に合流した。
その見た目は兎も角、相当に疲れているように感じられる。 余程、きつくしごかれたと見える。 だが、俺の時も結構厳しかったことを考えれば、大体予想した通りでもあった。
そのアローナだが、ガアルの町に現れてから数日はエアレ―の持つふわふわの毛に埋もれていたが、癒されたのか以前と変わらなくなっていた。
因みに、名前はミュールである。 女性陣が、そう名付けていた。
「さて、クレア爺さん。 色々世話になった」
「何を言う。 結果的に言えば、世話になったのはわしの方だ。 それよりもエムシン、お前はこれからどうする?」
「どうって言っても、旅をする気だけど」
「そうではない。 悪魔や邪神のことだ」
そのことに関しては、皆で話し合っていた。
俺と言う存在があるし、神官のディアナも出来るなら何とかしたいと要望している。 とは言え、相手は伝説の中にしか出てこない様な存在となる。 はっきり言うと、今回のように関与できる方が珍しいのだ。 そこで基本的には旅をして、その旅先で悪魔や邪神に関わり合いがありそうな何かがあった場合には関わると言う感じとなる。 実際問題として、専門的に追おうにもあまりにも情報が少なく追うこともままならないと言うのが本音なのだ。
「そう言うことだから、もしかしたらこれからクレア爺さんにまた会うかもしれない」
「そうか。 まぁ、悪魔や邪神のことがなくてもお前たちなら別に構わん。 エムシンにしろアローナにしろ、弟子みたいなものだしの」
「そうなるのかな?」
「少なくとも、わしはそう思っておるよ」
「そっか……じゃ、そのうち顔でも出すよ。 クレア爺さんのお陰で、可能だし」
アローナはクレア爺さんとの修行の結果、ゲートの魔術を使えるようになっているので可能なのだ。 他にも教わったようだが、できるようになった術もあるし、未だにできない術もあるらしい。 だが、旅を続けつつでも鍛錬すればそのうちできるようになる……かも知れないのだそうだ。
つまるところ、要修行と言うことらしい。 頑張ってくれ、アローナ。 出来ることがあれば、協力はするから。
「それじゃ、クレア爺さん。 俺たちは、そろそろ行くよ」
「うむ。 達者でな」
「クレア爺さんもね」
宿でクレア爺さんから見送られた後、街を出る。 そのまま街道を、ミュールに半ば任せつつ進んで行った。
さてこれから先、俺たち何があるか分からない。 つらいことも悲しいことも、そして嬉しいこともきっとあるだろう。
更にうまい食事や、観光もだが。
何はともあれ、そんな全てを期待しながら、俺は街道の先に広がる景色へ思いを馳せたのだった。
この話で完結です。
ご一読いただき、ありがとうございました。




