緑の嘘
記憶、それは知性であり人間を形作るもの。
ムラクニと僕の2人で木を降りているときだった。こっち側から登ってこなかったからか、地表が青緑で柔らかそうだったのが不気味に感じた。
「うおっ!危ない」
いきなりムラクニが大きな声を出したので、驚いて体制を崩してしまった。
「…くっ!、ふぅ。なんなんだ急に」
「すまない。ここら辺が湿ってて手が滑りそうになってな。驚かせたか?」
少しばかりため息をつきながら、また下へ降り始める。
しかし下が見えれば見えるほど、いつしか落ちて、いきなり地面が迫ってきそうで怖じ気づいてしまう。僕って高いところ苦手なんだな。と、新たに自分を知れたが、意味もないような気がした。その後、降りきるまで僕は心を無にした。
やっと飛び降りれるぐらいの高さまでやってきた。何か地面がへこみになっているような感じがするがムラクニが飛び込みたそうにしていたため、それに合わせた。
「やっと着いたなぁ。案外行きより大変だった」
「兎にも角にも、目指すところを決めておきたい」
「店主さんが今日はなんとかしてくれるそうだから、あの人が言ってた通り、このあたりを見回りたいね」
「…うん。承知した」
歩き出した。向きとしては、店から進んで、さっき登った木を基準に右へ直角に曲がった方向。
しかし、足を踏み込むごとに感じるのはやはり違和感だ。しっかりした地面のように見えるが、ところどころ崩れやすくて安定してない。なぜかムラクニは落ち着き払っている。
「なぁムラクニ、ここら辺歩きづらくないか?」
「ん?いや、そうか?慣れてるのかも知れないな。記憶がほとんど飛んでるから本当かは分からないが、前世の感覚が残ってるのかも知れない」
自分の記憶はないに等しいから、前世の名残が少しでも感じられるのは羨ましい。自分は今、前の世界についても今の世界についても何も知らない。ムラクニから前の世界の情報を聞いて、思い出すのもありかもしれない。
「確か、拙者は長門という所に居た。記憶の中には、たくさんの人がうっすらと浮かんでいる。しかし最期を思い出そうとすると、どうしても頭が真っ黒になる。」
「その最期はなくていきなりここへ連れてこられたとか?」
「いや、真っ暗なだけで存在はしているんだ。ただそれが見えてこない」
へぇ。じゃあ何か衝撃的なことが起こって、それが作用してここへ来たのかも。
どれ…一旦頑張って思い出すか…フンッ
ダメだ。僕に関してはぼやけた黒がずっとあるだけだ。
「なぁムラクニ、君がいた所って…」
スボッ
「ズボ?」
何かが穴にはまったか、紙に穴が空いたような音がして振り返ると、ムラクニの姿が消えていた。さっき話していた位置まで2,3歩進むと、地面に人が縦に抜けたぐらいの穴が空いていた。
ズズッ
地面が沈みだした。なんとなく察した。
これ、落ちるわ。
紙が摩擦ですり切れたような音を上げながら地面の土がきれいに円上に崩れ、僕は暗闇へ垂直落下していった。
「ですよね…」
何十秒か落ち続けると、ぼやけるぐらい先の見えない広さのある、それは巨大な空間に出た。下一面には、地下なのに森が広がっている。
自分の真下の地面にはムラクニがいた。さっき落下して地面にたたきつけられたばかりだろうに、もう立ち上がっている。僕はそのムラクニを真上から踏み潰して着地した。
僕はムラクニの上で周りを見た。把握するにつれて、不気味な雰囲気をヒリヒリと感じた。
仲間と遠出する予定があり、しっかり前日に準備をして、行き先を確認して、いざ出発したのが朝の6時。自分で調べたとおりの道をいき、順調かと思い上がっていた7時、突如おはようメールがスマホに届く。そんなわけはないと思い、画面に目を這わせていると、次々に仲間がおはようと返事をする。そんなわけはないと思い、Googleマップを確認すると、家から5駅ぐらいの所が目的地だった。しかしすでに2県を跨いでいた7時半。集合時間の7時に絶賛名古屋へ爆走していた私は生きてます。みんなもしっかり仲間と連絡を取って頑張りましょう。
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