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蓮と美羽編 第五章 喪失

リビングの窓が割れる音が、夕方の静けさを切り裂いた。

ほどなくして近隣住民の通報を受けた警察が到着した。

蓮は家の外へ誘導され、呆然と立ち尽くしていた。

警官たちは辺りを見渡し、鼻を突く悪臭と、目を覆いたくなる惨状が広がる室内に眉を顰めた。

言葉を失わせるほどの光景だった。

「……人間ペット保護施設に連絡を」

短い指示が飛ぶ。やがて施設の職員が到着し、室内から人間ペット“3匹”を保護していった。

その報告の声が外まで聞こえ、蓮の耳に届いた。

――3匹。

その中に、自分が未来を誓った美羽が含まれている。

人間として将来を誓った美羽は、もういない。

現実を突きつけられた蓮は、声をあげることもできず、ただ静かに涙を流した。

その後、蓮は警察署へ連れて行かれ、簡単な事情聴取を受けた。

窓を割って侵入した行為は緊急避難・救命と判断され、不問となった。

形式的な確認を終えると、蓮は家へ帰されることになった。

家に戻ると、熊が心配そうに蓮を迎えた。

蓮はうつむいたまま「……美羽が……人間ペットに……」と短く答え、

足早に自室へ向かい扉を閉めた。

しばらくして、扉越しに熊の声が静かに響いた。

「……明日、美羽ちゃんの様子を見に行こう」

その声には深い悲しみが滲んでいた。

蓮は返事をせず、ただ布団に身を沈め、重い沈黙の中で夜を迎えた。

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