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蓮と美羽編 第三章 不安の影

結婚を誓った翌日、美羽は学校を休んだ。

放課後、心配になった蓮は美羽の家を訪ねた。

玄関の扉が少しだけ開き、美羽の顔が覗いた。

「ごめんね、風邪を引いただけだから心配しないで。」

声は笑っているのに、目の奥が疲れているように見えた。返事は短く、早かった。

蓮は頷いたものの、胸の奥に小さな違和感が残った。

――何かを隠している。そう思いながらも、問い詰めることはせず、おとなしく引き下がった。

それから一週間後。

美羽は学校に姿を見せたが、やつれた顔で教室に入ってきた。

いつもの明るさは影を潜め、どこか暗い影を落としているようだった。

蓮はその姿を見て、胸の奥に冷たい不安が広がっていくのを感じた。

翌日も美羽は学校を休み、それ以来姿を見せなくなった。

蓮はLINEで何度も連絡を送ったが、返ってくるのは「大丈夫」「心配しないで」という短い言葉ばかり。

そんな日々が一ヶ月も続き、やがて既読すらつかなくなった。

胸騒ぎに突き動かされ、蓮は放課後、美羽の家まで走った。

インターホンを鳴らしても反応はなく、扉を叩いても返事はない。

埒が明かないと判断した蓮は、リビング側の窓に石を投げつけ、割れた隙間からカーテンを押しのけて中へ入った。

鼻を突く悪臭が広がっていた。床には排泄物が放置され、腐敗した何かが混じったような空気が淀んでいる。

その中心で、美羽の両親が薄汚れた姿で、人間ペット用の餌を貪っていた。

そして――。

そこに、将来を誓い合った大切な人、美羽がいた。

彼女もまた四つん這いになり、同じ餌を口にしていた。

蓮は声を失った。

目の前の光景は現実とは思えず、ただ立ち尽くすしかなかった。

胸の奥で何かが崩れ落ち、絶望だけが広がっていった。

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