エピローグ
「総評を述べる!戦闘職種総員108名、事故28名、事故の内訳、矢傷21名・・・疾病7名、その他80名異常なし。
首に矢を受けた者一名!布鎧、改良の余地があり。ポーションにより治癒
指揮官による単騎突撃は厳に注意を要するものである。
第一次王都会戦で4000名の敵を逃がした。突破力が不足であると露呈した。戦闘車両の開発が急がれる。
尚、釣り野伏せは、友好勢力と共に行えば、有効であると判明した。故に、戦術の一つとして採用するべきである・・・」
・・・異世界文庫によると、古代ローマ帝国を寛容だと主張する人もいると言うが、
民族をフルボッコしてから、奴隷スタートで移民受け入れだ。
現代に適用不可能とみるべき。
かといって、スパルタのような国作りは失敗する。
「う~む」
「ナツ様、長老会議の総評です。真面目に、聞かれませんと・・」
曾お婆さまがお亡くなりになられ、遺体をイセ本国に運んだら、その時、残存車両は、全て稼働停止した。
まるで、曾お婆さまに殉死したかのように、
始祖様と共に来られた高機動車を一緒に埋葬、車両葬と相成った。
他の車両は、研究班に下げ渡される。
特に、メータの解明をするそうだ。近いうちに戦闘車両が完成するだろう。
「・・・・ゴホン!で、あるからして、王都突入が出来なかったことは、人員不足によるものである。
これは、構造的な問題である。
しかし、建国以来の初めての外征の成功は喜ばしいことである。
よって、以上のことより。
総評!「良好」とする!」
【敬礼!直れ!】
「次は、ナツ様なのです。報償をお願いします」
「分かったわ」
「報償!賞詞!田辺1佐、2科長として、各諸候を調略した功績、前へ」
「はい、田辺1佐前へ!」
・・・
「・・・最後、予備自3等陸曹、フリッパー、陸曹教育課程に入校の権利を与える!試験があるから、勉学に励まれよ。この課程が終了したら、予備自がとれて晴れて三等陸曹だ。自衛隊の入隊が許可される」
「「「「オオオオオーーーーーー」」」
驚嘆が上がる。
何故なら、今までは、佐々木とその仲間、日系36人の家系しか入隊をしてこなかったからだ。
法で決めていないが、慣習として存在していたので、長老会議に掛ける必要もない。
「ヒィ、何でだ!オラ、ただ、付き従っただけだ!小麦村のリリーたちについて行っただけだ!」
「よお。フリッパー、断らないよな。俺たちが勉強を教えてやるぜ!」
「アビコ小隊長!」
「キャア、フリッパーの兄ちゃん好き!好き!結婚して」
「ヒィ、リリー、何言っているだ!」
「イセ族の戦士と結婚するために、外征に行ったんだからねっ。この際、フリッパーでいいんだからねっ!」
「何だ。その言い草と話し方は?!」
「ヒヒヒ、一生懸命練習したツンデレだ。愛娘のリリーだ。断らないよな」
フリッパーは家に戻って父母に相談するが、
「外に職があるのなら、弟に畑をつがせてあげなさい」
「分かるだろ?奉公人になる権利がお前にあるんだ」
「ヒィ、もう、入校の権利でなくて、義務になっているだ!」
制限付きながらも、テラコヤ履修、予備自士長を三年勤め。年に七日の訓練に真面目に参加、良好な勤務態度などの条件で、この世界の住人の希望者を、自衛隊に採用する事が決まった。
・・・フフフフ、予言の書では、異世界転移は、移民であるとも書かれている。
リベラル思想に基づく移民は、移民の失敗を見たければ、ベルリンを見ろと言われるくらいの惨状だ。
しかし、我らの真似る移民は、日本移民、最も穏健なマイノリティーとして、世界で定着している。
彼らは、移民した先の国の悪口は言わない。
だから、受け入れられてきた。
彼らは、地域に交わるが、伝統も保持する。
日本家庭で育てられた白人は、本国の日本人以上に、日本人らしかったという。
これで、行く。
少しずつ。大きくなっていこう。あれ、フリッパー?
「ヒャハハハ、フリッパー、リリーに腕を捕まれているわ」
「・・・ナツ様も他人事ではないのです!これから、カール王子とお茶会です」
「ええ、・・・ザルツ帝国の第五王子だっけ?」
「連絡員扱い。大使も兼ねていますから風邪で寝込むはダメです。もう、月に3回風邪で断っていることになるのです!」
「女の子の日は?」
「ナツ様、それを私に言えと?」
お茶会は、お姉様を思い出す。
あの騙し打ちをされた事件だ。
ナツは武装して、お茶会に行ったが、
「ナツ殿!最高です。その布鎧、かっこいいです!」
「ええ、何故、好評!?」
数年後、旧辺境伯領を中心に、イセ国が誕生した。
王を奉戴しない国として、注目を集める。
旧ロンバル王国の諸候に対しては、
連邦制に当てはめ。寛容な支配が続いたと云う。
しかし、イセ国首都近辺の村々は、魔獣退治による自己防衛体制により。
奇しくも、中世の日本人化していたことに気がつくのは、もう少し先である。
最後までお読みいただき有り難うございました。