一人目の裏魔王
未完成のまま更新してしまい、すみませんでした。こちらが完成版の33部分です。
インフルエンザに感染してしまい、更新が遅れました。
ウクラルという絶対的な戦力を手にれて、俺はこの旅の目的の一つ目をクリアした。
ウクラルと旅立つ前に、まずは状況の説明から始めないといけない。
「俺がここに来たのは、ウクラルを仲間にするだけではない。俺は、この世に存在する裏魔王という存在を探すために旅をしてここまで来た。でだ、お前に聞きたいことがある。お前は裏魔王であるラアと一緒にいただろう? だからというのもなんだが、他の裏魔王の情報を持ってないか?」
「そうか。事情は大体把握した。確かに俺はラアと共に行動していた。だが、この世に裏魔王が何人存在するかは知らん。その内の一人は知っているが…」
ウクラルは悩み込む。
ラアはもう死んだ。なので、ウクラルが言う一人とは、他の奴だろう。
「教えてくれ」
「分かった。そのもう一人とは、この竜の谷にいる」
「本当か! ならば話が早い!」
俺はまさかの近道に驚き、興奮する。
この竜の谷にいるのなら、今すぐそいつに会って仲間にしたい。
俺が早速行こうとしたのだが、ウクラルはまだ何か言いたげだ。
「待て、リオルクシ。確かにここにいるが、実は…そいつは今、封印されているんだ」
ウクラルは俺に秘密を打ち明かす。
封印か。ま、そんな大したことではない。
そんなの解除してしまえばいいこと。そうすれば、恩も売れて従いやすくなるだろう。封印を解除していきなり暴れられたらそれはその時。
「大丈夫だ、任せろ。とりあえずそこまで案内してくれるか?」
「いいだろう」
ウクラルは俺が本当に封印を解除できるのか疑っているようだが、余裕だ。
ウクラルに案内されたのは、竜の谷の最深部だった。ドラゴンコアと呼ばれる伝説の場所らしく、とても魔力の濃度が高く、並の人間では入った瞬間に死ぬだろう。
それでもドラゴンや俺なら耐えられる。
俺はなんなく案内されるほうへと進んで行く。
こんなところでも魔物が発生しないのはなぜかと疑問が発生するが、今はそんなのどうでも良い。
先へ進むのが優先だ。
「ここだ」
ウクラルが止まって話す方向を指す。
そこには、ドラゴンコア……ムーンダイアがあった。
ムーンダイアなんて始めてみるが、本当に存在したのか。というか、とんだ宝石だぞこれ。
俺が宝石に見とれていると、ウクラルが「それじゃない、よく見ろ」と言う。
言われた通りよく見ると、その光輝く宝石のなかに、一人の美しい女性が。
その黒髪はとても長く、腰まで伸びている。目はつむっているが、瞳から溢れる光は眩しく、背中からは大きな白い竜の翼が広がっている。
それは、ドラゴンの美女だった。
「これだ。封印を解除してみろ。ま、無理だろうがな。お前には出来るのか?」
ウクラルは腕を組みながら俺に問う。
もちろんだ。
「やってみせるよ」
善処するとかではなく、やるんだ。やってみせる。
俺は宝石に手をかざし、分析を行う。
あー、はいはい。魔力制御に魔力吸収、魔力阻止と外部攻撃無効ねぇ。
全部破壊しろ!
バリィィンッ!
その瞬間。俺の暴力が働いて、ムーンダイアは砕け散った。
そして、恐るべし竜の谷の裏魔王が解放された───!
「オオオッ!? やりやがったなリオルクシ!」
「おお、成功だな」
俺は宝石へと向き直る。そこにいたのは、全裸体の一人の美女。
宝石が砕け散ると同時に、光を放って解き放たれた。
「って、イヤァァァァァッ!? なんで私は裸なのぉッ!? ッ、お前はこっちを見んな!」
いきなり叫びだし、暴れだし、俺を殴ってきた。
え、ちょっ!?
俺は彼女の強烈なパンチに吹き飛ばされ、遥か遠くへと飛んでいってしまった。が、瞬間移動で戻れ───バッ!?
戻った瞬間にまた吹き飛ばされてしまった。
「すみませんでした」
俺は彼女の前で頭をすりつけて土下座をしている。
なぜ俺が頭を下げる羽目に…。
「それでよい、もう二度と女の裸を見ようなんて思うなよ!」
「いーや違うね! 俺は見ようとなんて思っていないお前がその格好で封印されるのが悪いんだろうが!」
俺は自分が悪くないことを主張する。
「え、あっ、そうなのー? じゃあなんかゴメンねー? あつ、そしてアリガトー?」
この女…ッと、ここで怒ってしまっては仕方ない。なんとか仲間にする話を切り出さなければ!
「あーもういい。でだ、俺がお前を助けたんだ。ここで俺の言うことを一つ聞いてくれないか?」
「うん、まーいいけど?」
「じゃあ、仲間にならないか?」
いきなりのお誘い。さすがに怪しむか…?
俺は恐る恐る彼女の顔色を覗き込む。
「いいだろう! 私を助けてくれた恩に免じて私の裸を見たのも許すし、仲間になってあげよう!」
「おお! ありがとう!」
「だが、お前の強さを試してみたい。一回私と手合わせ願う」
彼女は指を鳴らす。
「ちょ、ちょい待て! まずはお前の名前を教えてくれないか?」
「え、?あー! うんうん、ラア・ミルナだよ!」
は?ラア?
まさかだけど、家族的な?姉妹がいたのか?
俺は気になったので彼女を問い詰める。
「あ、うん! ラアの姉だけど…」
「お前の妹は死んだ! 人間に殺されたんだ!」
「え……」
彼女はしばらく黙り込む。そして肩を落としてうなだれた。
「嘘でしょう? 妹が? 私の愛する自慢の妹が?」
彼女は地面をにらむ。またしばらく黙り込んだあと、俺のことを涙ぐんだ目で見つめた。
「ちょっと、私の八つ当たりに付き合って」
「うん?」
俺が呼ばれたのはドラゴンコアの外の谷だ。ここで八つ当たりを行うのだとか。
面倒くさいが、人間への復讐心が芽生えたのだろう。
ここは都合がいい。俺がサンドバッグにでもなってやろう。
「さあ、行くよ!」
ミルナは泣きながら叫ぶと、腕を鋭く構えながら、これでもかと振り回す。すると、ミルナの振り回した腕から、鋭い斬撃が飛び交う。
俺は身体強化を施し、斬撃に耐えて見せる。
避けられた斬撃は、竜の谷で暴れ狂い、谷を切り刻んでいく。谷はどんどん崩れ落ちていく。ミルナの斬撃により、大地は揺れ始める。
ガタガタと、谷は崩れる。ミルナの妹を殺された怒りのままに、破壊の限りを尽くす。
それは俺も同じ思いだ。今から人間と人間を生んだこの世を滅び尽くそう。
「はぁはぁ、疲れた……ありがとう。さてと、あなたについていくとするわ。目的は?」
彼女は俺への八つ当たりで疲れたのか、へとへとな様子で戻ってくる。
この壊した谷はどうするのか知らんが、なんとかしてもらうとしよう。
では、目的がだいたい達成できたことだし、一度帰ってみようか。
「そうだね。人間への復讐だよ。俺も君と似たような経験をしたからね。今のだけじゃあ妹の報復が出来ないだろう?」
俺はミルナをこちらに誘い込む。
ミルナは少し悩みつつこう答える。
「分かったわ。今は少し怒りで力が制御出来ないかもだけど、その時は頼んだよ」
「ああ、任せろ」
そうして俺とミルナは固い握手を交わした。
これが世界を破壊へと導く握手だと知って。
「はー、お前もやり方が酷いなぁ」
あとからウクラルがドラゴンコアから戻ってきてそんなことを言う。
「そうか? 別に合法じゃないか?」
「そうかもだけどな。封印から解放していきなり妹を殺されたなんて告げられたら、普通は耐えられないぞ。下手したら殺される。彼女の精神力にお礼を述べるんだな」
「そうかもな……」
俺は空を眺める。気付けばもう夜だ。
空は暗い闇に包まれているが、そこに点々とした光が散りばめられている。
星だ。
綺麗だ。
「なんか、申し訳ないかもな。でも、これくらいはしないと俺の計画は実行できない。さあ、帰ろうか」
俺の旅はこれにて一度中断だ。
短い旅だったが、協力な仲間を得た。
帰ってメイピスに報告しなければな。
俺は竜の谷で一泊し、帰宅の準備を整え始める。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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