魔王は旅に出る
明日から修学旅行だぁぁぁ!!!
帰ってきたらテストだぁぁぁ!!!
これから小説の編集が月に二三回程度になってしまうかもしれなせん。ご了承ください。
メイピスが着々と進軍準備を進めるなか、俺は一人で城を出て、冒険に出発した。
なぜ冒険に行くのかって?
理由は簡単だ。
裏魔王を仲間に加えようと思ってね。俺は長い年月生きてきたが、裏魔王はまだラアしか見てない。
だから、まだ俺の知らない裏魔王達を見つけ、仲間に加えれば、戦力が大幅アップするということ。
それと、ついでに竜の谷に行ってウクラルに会いに行こうと思う。あいつも俺の仲間に加わるか考えているところだから、そろそろ返事をもらおうかと思っていたし。
ちなみに、魔王城で何かあっても、俺はすぐに瞬間移動で戻ることが出来るので、問題はない。
というわけで、俺は城を離れて今はルーフナナポ森林にいる。
ここは木々が生えすぎてか、道は狭いし天井は木で覆われていて、光があまり差し込んでこない。だから少し暗い雰囲気の森だ。
おまけに名前は変でダサい。
誰が考えたのか知らんが、センスがないネーミングだ。
いちいちそんなことを考えていては時間の無駄なので、俺はすいすいと森を進んでいく。
目的地は竜の谷方向に進みつつ、とにかくどこでもいいから行く。竜の谷以外、明確な目的地はないので俺はひたすらに前に進む。
といっても、草がぼうぼうに生えていて、木があちこちに生えているので、とても進みにくい。
───って、あっ! そうだった! そういえば俺、今は体が元に戻っていたんだった!
ついつい人間の感覚が残ってしまってたよ。そうそう、空が飛べるんだった。
俺はうっかり度忘れしていて、やっと気付けた。
すぐに木々を避けながら空に飛び立ち、上空から森を見下ろす。
こうしてみると、本当に真緑な森だな。見る感じ木しかなくて、光が通る隙間もない。
俺はこんな所を通っていたのかと、今更気付く。
一つ溜め息を着いてから、空を飛んで進んでいく。
「さて、そろそろ竜の谷かなー」
独り言を呟きながら、空を飛ぶスピードを上げていく。
しばらく飛んでいると、山が見えてくる。ずっと続いていた森もここら辺で終わり、俺は山をすいーっと上がっていく。
一瞬で山を越えると、俺はその光景に興奮する。
そこには、竜の谷があった。
「おおっ! これが竜の谷か!」
そこには、数百体ものドラゴンが生息していた。谷は底が見えない程深く、所々がでこぼことしていて、そのでこぼこにドラゴンが座っていたりしている。
俺は上空から谷を見回す。
ウクラルはどこにいるのだろうか?
俺は少し下降しながら谷に近づき、また探す。
しばらく谷を上空からうろちょろしていると、一匹のドラゴンが俺に気付いたのか、咆哮を上げて飛んできた。
「貴様、何者だ?」
そのドラゴンは流暢に人の言葉を喋り、俺に話しかけてくる。
話せる竜は知性が高く、とても強いと聞くが、俺の敵ではないだろう。
「ああ、ウクラルに用があって来たんだ」
「は、はあっ!? 貴様、ウクラル様に用があるのか? 何を馬鹿なことを言っている。ならば、俺様に勝て! そしたら通してやろう」
なんだこのドラゴン。ま、勝てばいいんだろ。勝てば。
俺は「わかった」とだけ言い、戦闘態勢になる。
左には極大魔力弾を、右には魔法剣を構えて。魔法剣も魔力弾も、使う者の魔力量によって強度が変わるので、俺が使うコレは最強だ。
俺が準備完璧になると、そのドラゴンが思い出したように問いかけてくる。
「そういえば、名前を聞いていなかったな。俺様はヴェイドロス。貴様は?」
「ん、俺か? 俺は……」
ここでリオルクシなんて言ったら、ヴェイドロスがどう動くか分からない。仲間を呼んでくるかも知れないし、まずまず戦意喪失し、竜の谷のドラゴンが一斉に逃げていくかもしれない。そんなことになったら面倒なので、俺はあえて名前を公開しないことにした。
「名乗るまでもない。お前が勝ったら教えてやるよ」
と言って誤魔化し、俺はまた戦闘態勢をとる。
すると、ヴェイドロスは笑って返してくれて、咆哮を上げる。そして、俺にいきなり突進してきた。
俺はいきなりの戦闘開始に驚きつつも、魔法剣でヴェイドロスを受け止める。
「ほう、これを受け止めるか」
などと言いながら、ヴェイドロスは嬉しそうにしている。
今度は俺から動く。用意していた極大魔力弾を、百個ほどに増やし、一斉にヴェイドロスに投げる。
ヴェイドロスは俺の行動に驚愕し、襲いかかる魔力弾を華麗に飛行しながら避けていく。ヴェイドロスは全ての魔力弾を避けると、一度溜め息を吐き、態勢を整えた。
しかし、ヴェイドロスにはそんなに落ち着いている時間などなかった。なんと、魔力弾は軌道を変えてヴェイドロスを追いかけてきたのだ。
「な、なんだこの魔力弾は!?」
飛行しながら逃げていくヴェイドロスを追いかける無数の魔力弾。俺はその光景を見ながらさらに魔力弾の量を増やしていく。
この勝負、勝ったな。俺はそう確信し、さらに増やした魔力弾をヴェイドロスに投げる。
ヴェイドロスは逃げながらも、魔力弾を一つ一つ無力化していた。頭の良い方法ではあるが、そんなことをちまちまとしていては、埒が明かない。
俺なら一気に吸収して、倍にして返していたな。
だが、様子を見ているとヴェイドロスにはそんな荒業が出来ないみたいだ。
今もちまちまと魔力弾の無力化に努めている。
そんなの無駄なのに…と俺は呆れながら、ここでランチタイムにしようと思う。
魔力弾から逃げる竜を見ながら、昼御飯。最高だな。
などとふざけつつも、本気で昼飯の準備を始める俺。これは完全にヴェイドロスを舐めた行動である。
今日の昼飯はサンドイッチ。これは一応俺が作ったやつだ。もう配下に料理担当など存在しないので、自分で用意するしかなかった。
魔物の肉を詰められるだけ詰めた、地獄のようなサンドイッチだ。
これでも、俺の中の最高傑作なんだよな。
「では、いただきまーす」
俺は呑気にランチタイムに入る。そんななか、ヴェイドロスは今も魔力弾と戦っていた。
俺の方に向かってきたら、魔力弾が未然に防いでくれるので、安心して食べることが出来る。
快適快適。
俺はサンドイッチを一口頬張る。自分で飯を用意するなんて何年ぶりか覚えていないが、我ながら上出来な味だ。
「うん、うまい」
俺はそのままがつがつ食べていく。
ヴェイドロスもスピードを落とさず、まだまだ逃げる。
魔力弾の数はあと五十個ほど。まだまだ俺には余裕が状況だ。さてと、全部食べ終わったので、片付けよう。
俺はサンドイッチを食べきり、弁当セットを空間無限倉庫へとしまう。これは空気裂き、そこを棚として使う魔法。とても便利だ。
ふぅ、俺は一息ついて、状況を把握する。
まだヴェイドロスは全ての魔力弾を無力化出来ていないみたいだが、かなり数は減っている。
ここで増やすのもありだが、俺としてはもう遊びはやめて、早くここを通してもらおうという思いがある。
なので、さっさと決着をつけてしまおう。
「ヴェイドロスだったか? すまんな俺の遊びに付き合わせてしまって」
「貴様ッ! ふざけやがって! 覚えていろよ!」
ヴェイドロスは俺に牙を向ける。だが、もうこいつには何も出来ない。
俺は悠然と魔法剣を構える。その剣のレベルは幻級に匹敵……いやそれ以上だ。
それほどの剣は、普通の人間が持とうとすれば、触った瞬間に弾かれ、爆発死する。
そんな最強の剣を、俺は至って当たり前のように構える。
「行くぞ! ヴェイドロス!」
俺は地を蹴って、空気を蹴ってヴェイドロスへと接近する。
ああ、こうして剣で戦うのは久しぶりだな。
本当はもっと楽しみたかったが、ここで終わりにしよう。
俺は剣を振り上げる。そして、ヴェイドロスを追いかける無数の魔力弾を操作し、ヴェイドロスが逃げられないように囲むようにして設置。
これで勝負は決した。
ヴェイドロスは疲れのあまり、何もすることが出来ずに、リオルクシの魔法剣によってその巨体を両断される。
ヴェイドロスは、俺に斬られると、上空から一気に谷底へと落下していく。
俺は意識を失い落下していくヴェイドロスを、空間物体操作という常人には到底扱えない魔法で落下寸前のところで止める。そのまま上空まで戻し、精神魔法を施して意識を取り戻させる。
「さてと、ウクラルを呼んでくれるかな?」
「はっ!? 俺様は……こいつに負けて…? って、あ、ああ、約束は約束だな。ウクラル様を今呼んでこよう」
ヴェイドロスはいきなり起こされて戸惑いを見せるが、すぐに状況を理解したのか、冷静になって谷底へと下降していった。
まったく、賢い竜だな。
しばらくすると、ヴェイドロスの姿が谷底からうっすらと見えてきた。その後ろには、もう一匹のドラゴンの姿が。あれは───ウクラルだな。
二匹の竜は俺の所へたどり着く。
ヴェイドロスは、もう我関せずとばかりにそそくさと谷底へと逃げていった。
「よう、久しぶりだなウクラル」
「ふん、肉体を取り戻したようだな? リオルクシ」
「ああ。さてと、早速だが本題に入る。お前は俺の仲間に加わるか? 加わらないか? どっちだ?」
俺は慎重に、ウクラルの機嫌を損ねないように質問を投げる。決して配下ではなく、仲間だ。
そこのところは、理解して欲しい。
しばらくウクラルは黙り込んだ。
そして、口を開く。
「俺はお前の仲間に加わるが、配下になるつもりも、言いなりになるつもりもないからな。それを承知の上でお前と組もう、リオルクシ」
おお! やったな!
超絶対的な戦力を獲得した!
あくまでも、人間を滅ぼす仲間としての契約だが、問題ない。ウクラルが俺の戦力に加わってくれるだけでも、とても助かるからな。
「分かった。じゃあ、よろしくな」
俺はウクラルと握手を交わした。
これで魔王軍は今、最強になった。がしかし、まだ足りない。まだ裏魔王という存在があるじゃないか。
俺のこの冒険は、まだ始まったばかりというわけだ。
これから裏魔王を探して、仲間にしていくわけだから、戦闘が多くなるだろうが、今の俺なら問題なさそうだ。
この力と、新たに手に入れた力で。
そして俺は冒険の続きへと一本踏み出した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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