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帰ろう その2

 敵軍本部。

 そう、ガズドナルメシアだ。

 あの戦争から一日が経過した。


 俺があの場から去った後、死体兵ゾンビ達も一斉にガズドナルメシアめがけて歩き出した。

 魔王軍の完全勝利となったのである。

 その後、ベレリオル軍は史上初の軍全滅敗北となり、生存者ゼロを記録した。

 あり得ない事態に国中が驚愕し、困惑し、恐怖した。

 今現在、ベレリオル軍の戦力はゼロに等しい。危険な状態だった。


 ちなみに、俺は行方不明者扱いになっている。もうすでに死亡しているという噂が流れているが、俺はまだ生きている。

 だって、今ガズドナルメシア(家)に帰ったのだから。


 俺は何年かぶりの変わり果てたガズドナルメシアを見て、唖然とする。それはもう、古代都市といっていいほどボロ城だったのだ。


「こ、これが……ガズドナルメシア……?」


 俺は自分の城の変わりように驚きつつも、城へと入る。

 城内に入るが、誰もいない。人の気配すらしない。

 俺は転生前の記憶をたよりに、執務室へと向かった。


 ここが、執務室だ。

 今、ドア前に立っているが、久しぶりに見ても、ここだけあまり変わった様子はなかった。

 相変わらずドアはピカピカに磨かれており、漆黒に輝いている。ドアの両壁にはブラックドラゴンの頭が飾られており、まがまがしい雰囲気を漂わせていた。

 俺は懐かしい空気をめいっぱい吸い込み、ドアノブに手を掛ける。

 多分、ここにメイピスはいるはずだ。


「やあ、メイピス。久しぶり───!?」


 そこにいたのは、もちろんメイピスなのだが、俺は彼女の変わりようにも驚愕する。

 前までは……俺のすぐ後ろにいた黒スーツを着て、髪の毛はしっかりと綺麗に纏められ、凛とした顔立ちの綺麗な女性って感じだったのに。


 今は……ボロボロになってしまったスーツの上に黒いマントをかぶっている、冷酷な顔立ちの睨み付けるような鋭い眼光の美女だった。髪の毛は結ばれておらず、バラけている。

 彼女は今、執務室のいつも俺が座っていた大事な椅子に堂々と座っていた。

 うわ……やべ。正直そう思った。

 メイピスは俺が入った瞬間、こちらを見てニヤリと笑みを浮かべた。


「待ってましたよ、魔王リオルクシ様」


 ガタッと俺の椅子から当たり前のように立ち上がるメイピス。その声は前よりも低くなっているような気がし、雰囲気もだいぶ変化している。

 多分、こいつも魔王に進化したんだろう。

 見た感じ、魔力エネルギー量は以前見たときよりも数倍、いや、十倍ほどになっている。

 しっかりと魔王の雰囲気だ。


「おう、それよりお前、変わったなぁ? 魔王に進化しただろ?」


「はい。進化しました」


 俺たちは感動の再開とか、事情説明とかはすっ飛ばして、いきなりその話題に入る。

 心と心で繋がり合っている仲間なので、要らぬ話はしないのだ。


「リオルクシ様が死亡したときは驚きましたし、絶望しましたが、もう一人のリオルクシ様。そう、あなたの存在に気付いたのです」


「そうか、やはり気付いていたのか」


「もちろんですとも! 一秒たりともあなたを見失うことはありません! これからも絶対に、永遠にないでしょう!」


 メイピスはそう宣言した。

 そうか、そうか、と感動しつつ、俺は話を続ける。


「あとな、お前が人魔決戦の時に俺の前に現れたとき。あの時、周りに俺の正体がバレたら厄介な奴らが勢揃いだったから、演技をしていたんだ」


「そうだったのですね、てっきり本当に私のことを忘れてしまったのかと…」


「そんなことないよ」


「嬉しいです」


 俺らはそんな会話を交わし、本題に入る。


「さて、俺は今から人間を滅ぼそうと思う」


「フッ、やはりその心は変わっていなかったのですね」


「ああ、もちろんさ」


 俺はこれからについて語り始めた。

 まず、身体を元に戻すことから。


「こちらです」


 メイピスが案内してくれたのは、俺の死体が保管されている場所だ。俺の死体はとても豪華な棺の中に大事にしまわれており、少しホッとした。

 俺はそれから何も考えることなく、さっそく魂移転を始める。

 まず、俺はウォスから奪ったアレを小袋から取り出す。

 赤い玉と青い玉。

 たしかこれの赤を俺が握り、青い方を死体の手に握らせれば───


 次の瞬間、俺と俺の死体が握っていた赤と青の玉が光りだし、消失した。

 俺は一瞬、は? と思ったが、失敗ではなかったようだ。

 なんと、俺の死体が赤と青の混じった紫色に光輝き出したのだ。


「おおっ!? これは成功でしょうか!?」


 メイピスが喜んだが、まだ成功とは限らない。

 その後、紫色に光った俺の死体は、ガタガタと動き出す。

 すると───

 俺の今の魂がポツンッと、動きを止めた。


 リオルクシの魂はそのまま、紫色に輝くリオルクシの死体へと移動する。

 そして、彼の魂は再起動する───


 おっ、成功か?

 目覚めたとき、俺は棺の中にいた。もこもこふんわりとした感覚が、俺の背中に走る。


「せ、成功だーッ!!!」


 俺はそのまま思いっきり体を起こした。

 懐かしい感覚、肉体、顔。


 俺はウォスの罠を警戒したが、どうやらあいつは嘘をつくことなく正直なことを言ってくれたようだな。魂の移転は大成功だ。


「おおっ! リオルクシ様っ! お目覚めましたかっ!?」


「ああ、どうやら成功したようだ」


 俺は棺から出て、拳をにぎにぎと、開いたり閉じたりする。

 棺の隣には、ウォスの体が。これはもう死体なので、俺は棺の中に封印しといた。


 はぁーーー、やっとの思いでここまでこれたぜ。

 俺はステータスを確認する。

 やはり、ちゃんと元の能力スキルは戻っており、おまけに「核神崩浄コアゴットコラフィ」も追加されていた。

 これで俺の能力スキルは三つとなった。

 これは、世界で俺一人なのでは?

 と思いつつ、復活を喜ぶ俺とメイピス。


「おめでとうございます、リオルクシ様」

 

「ただいま……だな」


 俺はメイピスと笑い合った。

 ここでやっと、感動の再開である。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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