再び激突
ウォスVSリオルクシ、ついに!
「「うおおおおおおおッ!!!」」
突然出された出撃命令を受けた瞬間、彼らは血相を変えて、地を蹴って戦場へ乗り込んだ。
その意欲に俺は感心するばかりだよ。ほんと。
なんでそんなに本気になれるんだ。国のため? 殺しが楽しいから? 因縁があるから? 自分のため? …俺にはようわからん。
こんな面倒くさいことをなんで俺がしないといけないんだぁぁ…
昔は配下達に命令すればなんでもしてくれたのに……
今はそんな頼れる配下がいない。
今は俺がなんとかしないといけない時期なのだ。
「リオル? 行くよ!」
「うん、行こう!」
そして俺もいざ戦場へ飛び出した───
───はずだったのだが、そんな偉大なる第一歩はまさかの人物によって踏み外されることになる。
ラアが先に戦場へ走っていくなか、俺の目の前に一人の可憐な少女が出現する。外見は女とは思えない、男の着るような服を身に付けた少女が。
その少女は、俺を喜びと憎しみと殺意をごちゃごちゃに混ざらせた表情で睨み付けた。それはとても鋭い視線だ。
どこか異様な圧を発している。
その少女とは───
「やあやあ、久しぶりだね。リオルクシ」
リュミリーだった。
いやいや、てかいるじゃん! こんなところにいるじゃん! …って喜べる状況じゃあないみたいだな。
どこで何をしていたのかは知らないけど、何があったんだ? この変わりようはなんだ? てか、リオルクシって何てばれてる?
とにかく事情を説明してもらおうか。
「リュミリー? リュミリー、どこで何をしていたの? しんぱ───」
「ひっ、ぶはははははッ!!! なになに、お前さ、まだ俺を演じてるの? おもろいんだけど! てかさぁ、お前まだわかんねぇのかよ!? ばっかだなぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺は心配の一声をかけてあげただけなのだが、こいつはどうやらおかしくなっている様子だ。腹の底から大爆笑している。てか、もうこいつはリュミリーじゃあないみたいだな。
「俺は、リュミリーじゃなくて、ウォスだよ、ウォス!!」
本物登場か。
ウォスと名乗ったリュミリーの見た目をした少女は、俺の目の前に歩みより、にやにやと笑みを浮かべながらおでこを人差し指でとんとんと突く。
これが、これが本物のウォスかよ? とんだゲスだな。今まで俺は、こんなやつに騙されていたのだと思うと、本当に最悪だ。
といっても、今後悔しても後の祭りというやつだ。
「あー、そうか、そうだったのか。お前が本物か」
「ああ、本物だよぉ!! さて、早速だがその身体、返してもらおうか!!!」
「ま、そう来るよな…」
ウォスは俺から離れて、いつでも戦闘開始できる体勢にはいった。
俺は周りを確認する。ラアはもういない、先に行ったようだ。見た感じ周りには誰もいない。
これは俺と本物のウォスの決闘の場というわけだ。
「さて、はじめようかッ!!!」
「おう、いつでもこい!」
◇◆◇
ラアはしばらく走っていると、後ろにリオルクシがいないことに気付く。
「あれぇ…? 先に行ったのかな? それとも、まだ来てない?」
彼女の前では敵軍とベレリオルの無惨な戦いが繰り広げられている。それと、魔王軍の異様な空気の正体も、そこにはあった。
死体兵、または死体騎士の軍勢。その見た目はその者の原型もつかむことが出来ない。なので、どれが誰かなのかなどさっぱりである。
それはがむしゃらに、本能のままに、目の前にいる敵をむさぶり襲いかかっていく。
何も考えずに動いているように見えて、一見雑魚く見えてしまうかもしれないが、それは紛れもない化け物だった。
死んでも死んでも再び立ち上がり、目の前の敵を殺し尽くす。
精神攻撃など、一ミリも効きやしないし、物理だって、効いたとしてもすぐに復活してくる。その死体兵の支配者をころさないかぎり、永久不滅の化け物なのだ。
「リオル~! あー、もういいやっ! ウクラルッ! ここは任せてもいい?」
ラアが呼び掛ければ、ウクラルはすぐに召喚される。大円の魔方陣が現れ、そこから恐ろしいドラゴンが出現する。
「もちろんだッ!!! ギュオオオオオオッ!!!」
そして、ウクラルはラアから説明も受けずに戦場へと乗り込んだ。
「よし、リオルが心配! 戻らないと! …あっ、そうだ、アユ~! いるなら返事してー!」
急いで戻りたいが、一つアユに行っておくべきことがラアにはあった。しかし、アユからの返事はない。
仕方ないので、ラアはその場をあとにし、リオルクシのもとへと急いだのだった。
ラアがついたときには、それは始まっていた。
殺し合いが。
「おいおいおいッ! 魔王ともあろうお方がこんなもんかよ!?」
「チッ…」
リオルクシと、彼の元カノであるリュミリーの殺し合いだ。しかし、ラアはすぐに理解する。そこにいるリュミリーはリュミリーではないと。
リオルクシはとても押されているようだ。状況はリュミリーの姿をした何かの方が圧倒的に有利で、リオルクシはかなり絶望的である。
「リオルッ! 今助けるよ!」
ラアはリオルクシのもとへとかけより、目の前にいる敵を睨み付ける。
「ちょっ、ラア? どうしてここに?」
「心配したから、戻ってきてみたの!」
「え、あうん! とにかく、こいつをやっつけるよ!」
こうして、人間と新魔王の因縁の激闘が今、繰り広げられる───
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