不穏な予感
魔王軍の城元ガズドナルメシアの周囲をぐるっと一周囲むようにして、魂のない、意思なき死体兵達が並べられる。
いつか始まる戦争に向けて。
その死体兵の中にも、ずば抜けて強いのもいる。そういうやつらは死体騎士へと進化を遂げ、さらなる強さを発揮してみせた。
そうやって新の魔王軍はどんどん戦力を増強していくなか、二人の王が談笑していた。
元は魔王リオルクシの場所であった、新魔王メイピスの執務室にて。
「死体兵達は死んでも死なないんだろ? だったらあのコアゴットコラフィだっけ? も、効かないんじゃないか?」
この疑問を投げ掛けたのはリュミリーの見た目をしたウォスだ。メイピスに用意されたソファーに堂々と座り込む。
それに答えるのは、もちろん実際にみたことのあるメイピスだ。彼女はもう経験し、観察分析を完了させているのだから、完璧な答えを語り始める。
「もちろん、効かないさ! 死体兵達は、いかなる精神攻撃でも絶対に通用することはない! たとえ能力でもね!」
「物理で、切り刻まれても潰されてもぐしゃぐしゃにされても、また立ち上がるのか?」
「ああ、何度でも……だ」
ふーん、と頷きながらウォスはメイピスの話しに聞き入る。
「それは、お前が死ぬまでか?」
「まあ、そうなるな。それが唯一の弱点なのだが……安心しろ、決して私が負けることはない。」
「君が言ってくれると、俺も安心するよ。だから、そこんところは任せるとしよう」
ウォスはメイピスに親指を立ててみせる。
二人は会ってまだ数日数週間の仲なのに、もうこんなにも会話が弾むくらいの仲になっている。
二人とも、互いに互いと話しやすいと思っており、会話をピースを組み立てるみたいに、一つ一つ繋げていく。
「で、死体騎士達は、どれ程なんだ?」
「ふんっ、よく聞いてくれたウォスよ。それがな……私が死なない限り、こいつは魔王級に匹敵するほどだぞ。ラアとかいう化け物には届かぬとも、誕生したばかりの新魔王には優に届きそうだぞ」
「ほほー…それは凄いな!」
魔王軍の戦力は今やウォスを含めて、以前の三倍ほどになっていた。
不死の体、強靭な肉体。元の者の戦闘能力の部分保存。
これにより、最強といえる軍隊になったのである。
「あーあと、何度も言うけど俺はあくまでもリオルクシを倒して身体を取り戻すことが目的だから。他の敵とか邪魔になりそうなやつは任せていいよね?」
「ああもちろん。リオルクシはウォスに任せて、あとは私がなんとかするよ」
これは互いの利害が一致した契約なのであって、互いの目的以外のことはなにもしないというルールである。
ウォスはリオルクシを。メイピスはベレリオル軍を。
メイピスにとっても、今のウォスの見た目をしたリオルクシはかなり厄介な敵なので、ウォスの協力は結構ありがたいものなのだ。
「よし、じゃあ決定! 人間どももこっちの動きに反応して防衛線をはって準備万端みたいだし、明日突撃しようか」
「そうだな! よっしゃあ! 俺の身体を返してもらうぜリオルクシ!!!」
そして、魔王軍が再起動する───
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