続かない平和
またまた物語は大きく動きます!
魔王の支配領域からの異様な空気は今も止まることはなく、行方不明者も一行に発見されない。
このままではベレリオルの冒険者戦力が危ういということで、全ギルドで調査、行方不明者発見依頼が廃止された。
これをふまえて、ベレリオルでは対魔王軍の防衛戦をはり、警戒を強めた。
住民の間では、最近避難訓練などが行われており、いざというときでも対処できるように準備が進んでいた。
ベレリオルの騎士団、魔法団も士気を高め、さらに勢いに乗って鍛練に励むようになった。
国は一時ベレリオルへの入出国を禁止し、門の防衛、監視、警戒を強めた───
そんな中俺は、いつ起こるか分からない再戦争に向けて、新たな魔法の開発に努めていた。
武器による物理攻撃に対抗できる魔法なども、俺はさまざまな魔法を覚えた。
炎、地面、風、この三つの属性魔法を中心に。
たまにラアとか忌々しい邪魔者のアユと模擬戦をしてみたり。
特訓は毎日毎日続けられた。
「リオルの地面魔法のー、土とか岩の壁が作れるやつ? あれいいね。ラアもやってみたい。教えて!」
「いいよー」
たまに互いの技を共有し合ったりもした。
さらに、まれにルリオが俺の家にやってきた。
「おっ、特訓頑張ってるねー! ウォス、やるか?」
「おっしゃー、やるか!」
今の俺なら勝てるかもしれない! というふとした自信でルリオに挑んでみるも、結局手も足も出ずにぼこぼこにされた。あの日のように。
今でも覚えてる……じゃなくて、到底俺では勝てないということだ。
俺がルリオと一戦交えたあと、なんとラアとルリオが模擬戦をすることもあった。
それはそれは言葉には言い表せない戦いだった。
俺では説明することもできない、一言で簡潔に言うと………よう分からん。
とにかく、ヤバかった。それだけだ。
見てて語彙力が衰えてしまうような戦闘だわ。
そんな日がしばらく続いて一ヶ月。
なんとなんと、俺にとってはかなりの重大発表ーッ!
これはラアにも話しておくべきだな。
俺は自分の部屋の引き出しをがさごそと漁り、1つの封筒から冒険者カードを取り出した。
そして、リビング向かい、そこにいるラアに向かって話しかける。
「ラアー、聞いて聞いて」
「うん、なに?」
「なんとね、なんと俺、冒険者ランクSの英雄級になったんだー!」
「ええええええッ!? ……それってすごいの?」
「うん、めちゃ、凄い…よ…」
ガーン。
ら、ラアにはいまいち響かなかったようだ。
まあいい、凄いということが分かってくれればそれでいい。
俺はあまり驚かれなかったことに少しショックを覚えつつ、しぶしぶ冒険者カードをしまいに行ったのだった。
◆
最近は平和……だったなぁ。
今ではもう、平和の欠片もない。
ほんと、平和ってなんでこうも長く続かないのだろうか。もっともっと続いて、一生のんびり過ごしたかった。ていうのは嘘だが。
俺にはこの世を滅ぼすという最大目標がまだ…最近はうっすらと消え始めているが、あるのだから。
というか、もうそんな面倒なことやめてしまおうかとも思いつつある。なんてことを言うと、それも嘘になる。
とにかく、平和はもう終わった。
また魔王軍との戦争が始まろうとしている。
「参加できる冒険者は本部ギルドへ」という一通の手紙が来て、俺はラアとタキカワ・アユと三人で新しいパーティーを組んだ。
まただよ。
戦争のためのパーティーを開くのは。そんな文句を言えるのも今だけ。
てか、よく考えてみろ。まだ俺が世界を滅ぼすという目標を持っているのならば、これは願ってもいない大チャンスじゃないか?
この機会を狙って魔王軍に寝返るということも出来るのだぞ。うーん…でも、今回の魔王軍は訳が違う。
完全に復讐に来ているのだ。
もしかしたら、今の俺が魔王軍に寝返ろうとしても、メイピスは振り向いてくれないかもしれない。
そんな危険なことをおかすような馬鹿な俺ではない。そういうこともちゃんと頭においておいて、もし行けそうだったら………そんときはそんときだ。
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