まさかの事実
新章スタート!!!
これから受験とかあるので勉学に励むため、一話分の文字数を減らします。
最強の魔王だった俺は、最強すぎる次元違いの勇者ルリオにボコボコにされ、転生したと思ったら、転生先はルリオのパーティーメンバーの魔法使いウォスだった。
なんとかバレないように今まで頑張ってきた俺だが、今現在、バレそうである。
魔王軍との戦争があったが、それも「あっ…」という間に終わり、気付けば俺はルリオの家の応接室にいる。
拷問という名の質問責めに合っている。
俺の正体がバレようとしている。
「お前、本当にウォス……なのか?」
「なに言ってんだよ? 俺は俺だ」
「そうだよな? じゃあ…」
メイピスのことはどう説明するのかと聞かれた。それはまぁ正直自分でもよくわからないし、ちゃんと「わかんない」と言っておく。
それでも疑いは晴れることはない。
ガチガチした部屋の空気が、俺の緊張を支配する中、次の質問が飛んでくる。
「じゃあ、質問を変えよう。ラア・ミーレは何者だ?」
あ、それは答えられない。
「ただの化け物…じゃないの? 俺めちゃくちゃ執着されてんだけど」
ごめん、ラア。化け物呼ばわりして。
でも今だけは許してくれ。
「あー、うん。まぁいいや」
お願いだ。もう終わりにしてくれ!
「そういえば、あの魔王リオルクシが死んだっていう噂、知ってるか?」
…ん? え? はい?
これはどういうことだろうか。なんかのイタズラか? おふざけで噂を広めるのは本当にやめてほしいものである。
俺はしばらく困惑する。
でも、これが本当ならば、俺の考えていた筋が通るぞ。
大分前から思っていた。俺は、魔王リオルクシは何か焦っていると。
それがビンゴしたのだろうか?
やっぱりもう一人の俺に何かあったんだ。
俺はしばらく思案してから、ルリオの質問に答える。
「知らない」
「そうか。詳しく説明する。あの後(戦争の後)、魔王軍はほぼ壊滅しただろう? それがな、原因はまだ不明らしいんだが、魔王リオルクシの気配が突然途絶えたそうなんだ」
「突然…?」
「ああ、突然だ。ほんと、意味わかんないわ」
俺も意味わかんない。
まじで何があったんだもう一人の俺に…。
◇◆◇
魔王リオルクシ支配領域「ガズドナルメシア」全土に、魔王軍壊滅の情報が渡った。
国民はもちろん、生き残りや幹部連中達は絶望した。
ただでさえ、生ける場所はここしかないのに、その約大半が破壊された。人間という悪魔に。
それだけではない。裏魔王という、知る人ぞ知るあの伝説が、敵に回ってしまった。
そうなれば、もう彼等は終わりだ。
そして───
彼等の唯一の王である、魔王リオルクシが消息を絶った。
自殺でもない、殺されてもない、毒死でもない。
最後の最後まで粘りに粘るも、結局。もう一人のリオルクシに魂の押し合いで敗北し、死んだ。
これで魔王軍は完敗である。
国民からの支持率はもはやゼロ。「ガズドナルメシア」も壊滅。
軍事力もあれを前にしてはほぼゼロに等しい。
リオルクシの死と共に死んだ者は多数。
一番最初だったのは、リリオルドだ。その後、リリオルドについていくかのようにバディオルドも死んだ。
そして次々と自殺者は増えていく一方。
メイピスも今、自殺を考えている。
「はぁ……もう魔の世界は終わりだ。裏魔王だってラア・ミーレを除いてあと三人。私でさえ確認できていないのだから、魔王もゼロに等しいと考えるか…」
メイピスは一人何もせず明け暮れていた。
誰もいない、魔王リオルクシ支配領域「ガズドナルメシア」で。
「これから、どうしようか。もう私も逝こうか。それとも、裏魔王とやらを探しに行くか…」
そしてまたため息を一つ吐く。
「もう、考えるのも辛いな。さて、死ぬか」
メイピスは死を覚悟する。
自分の魂を破壊し、皆が待つ楽園へと。
「なッ─────!?」
死に際の覚醒。とはこういうことをいう。
人、または魔人が絶望した時、死を覚悟したとき。
誰かの場所に、行きたい、逝きたい、生きたい。その気持ちが覚醒の糧となる。
よって、メイピスの材料は全て揃った。
「は?」
新たな魔王の誕生の瞬間───
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