頂上決戦!!!
今回は短くなります。
ラアとデヴァは、空中にて魔王対才能の頂上決戦を行っていた。
戦いはじめてから、もう何時間が過ぎたか分からないし、誰も覚えてなどいない。
両者、目の前の敵にだけ集中していた。
血相を変え、怪人と化して。
休憩など必要とせず、魔力の限界も見えない。
「体自体が幻級とか、反則でしょ?」
「ラア様の漆純神護も反則だと思いますが?」
両者共、敵の防御が強すぎる故に、貫くこともできずに攻撃がほとんど入っておらず、勝負の終わりが見えていない。
それでも、前に出る。
そうしてまたも闇と闇が激突する。激しすぎる激突の反動で、空間は歪み、大地をも揺るがす。
戦場は派手に荒れており、一般人がその空間に触れるだけでも即死だろう。どんなに強者であろうとも、その空間に入ることは、困難となる。
周りの邪魔を許さない。そんな空間だった。
ラアは愛するリオルクシを心配させないためにも、早くこの戦いを終わらせたいと思う反面、楽しいこの戦いをもっと長く楽しみたいと思っている。
しかし、それはラアにとっては簡単な問題であった。
答えは簡単、早く終わらせるである。
デヴァの強さは予想外だったが、これなら勝てるという圧倒的な自身がラアにはある。
対するデヴァは余裕そうに見えてかなり必死だ。
ここでラアが究極の奥の手を使ってしまえば、勝負の行方は一気に傾くだろう。
「仕方ない。本当は知られたくないんだけど、リオルのためにもやるしかないね!」
「まさか………! 他にも策が…? それと、リオル…?」
デヴァは嬉しさ半分、疑問半分といった感じで、ラアを見据える。
ラアの奥の手とは───
「漆純神護ッ!!! 行くよ!!!」
そしてラアが纏っていた装備が外れていく。一瞬ラアの裸が見えたが、それは次の瞬間、彼女を包む光によって隠される。
その装備は、空中で光を放ち、形を変形してゆく。
胸当て部分は、屈強なドラゴンの顔へと変形し、腹部はそのドラゴンの全身へと変形する。さらに腕、足部分は、ドラゴンの手足、羽へと変形した。
そう、漆純神護とは、装備になるドラゴンだったのだ!
それは圧倒的なまでの覇気を纏い、その肉体は幻級以上となる。
「ギュオオオオオオオオオオ!!!」
数百年ぶりの復活を遂げ、喜びの咆哮を上げる漆純神護。伝説にも語られていない、誰も知らない幻の竜。
そのあとに、ラアが光から解放され、別の似たような簡易装備を纏った姿になって現れる。彼女はウクラルの復活成功を確認し、すぐさま飛び付いた。そしておでこ当たりを優しく撫でる。
「ウクラル、復活おめでと。早速ごめんたけど、あいつをぶっ倒すよ!」
「ギュオオオ!!! 久しぶりだな! ラア! そして任せてくれ!!!」
ラアとウクラルは数百年ぶりの再開を果たすが、感動するのはまた後だ。今は戦闘中なのだから、数百年ぶりの共闘となる。
ラアはすぐさまデヴァへと意識を戻し、困惑と興奮でごっちゃになってしまっている所の不意を突いた。
剣で突いたのだが、それは無意味であった。その鋼鉄の体によって見事に弾かれる。それに合わせてやって来たのはウクラルだ。
ラアがデヴァから距離をとると、そこにウクラルがやって来て、デヴァに思いっきり突っ込んだ。その鋼の鎧のような体を活かし、見事にデヴァに攻撃を与えることに成功した。
ラアとウクラルのナイス連携であった。
しかし、意識を戻したデヴァはすぐに体を修復する。ちょっとした激突傷ではあるが、体力的にはかなりの致命傷だ。
「や、やはり……そのウクラルと言ったドラゴン…ただのドラゴンじゃあないな…」
デヴァは冷静さを取り戻すと、ウクラルだけを睨んだ。彼の敵は今、ウクラルだけとなっている。
ラアよりも、ウクラルの方が強いと判断したのだ。
そんなデヴァにさらなる攻撃が降りかかる。
ウクラルが問答無用で突進してきたのだ。デヴァは慌てて腕をクロスさせ、ウクラルの突進に生身で受けてみせた。
さすがはデヴァの鋼鉄の体と言うべきか、ウクラルの突進を見事に耐えてみせたのだ。
これにはウクラルもびっくり。「少々舐めておったわ!」などと、デヴァの強さを認めて楽しそうだった。
ラアはこれで勝てると確信する。
「ウクラル、もう行っちゃおうか!」
「あぁ、こいつもなかなかだが、俺の敵ではないな!」
ラアはウクラルに合図を送り、ウクラルはその合図に反応する。そしてラアはウクラルに飛び付いて、そのままウクラルの背中に乗った。
ウクラルはその雄大な翼をうんと羽ばたかせ、大空を優雅に飛ぶ。
ラアはその上で大空の空気を目一杯吸い込み、剣を構える。
見据える先には最大の敵、デヴァの姿が。ウクラルはそこめがけて一直線だ。どんどん下降していく。その勢いのまま、さらに下降し、スピードはこれでもかと増していく。
デヴァはこの状況で避けられるはずもなく、なす術もなくウクラルの突進をくらうことになった。
直後、ものすごい衝突音と同時に、ラアがウクラルから飛び下り、デヴァの首を目指して剣を構える。
飛び下りた勢いと重力による落下の勢いを活かして、剣を思いっきり振り下ろす。
その先には、もちろんデヴァの首が。
ズバッ!!!───
その鋼鉄の体の首は、意図も簡単に斬り飛ばされた。
「いぇーい! ウクラルさいこー!」
「あぁ、こいつも雑魚だな」
二人はそんな会話を交わして勝利の喜びを分かち合う。そ
して、ラアはリオルクシの元へと急ぐ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
やはり決着!!! とまでは行きませんでした。
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