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手相眼鏡士三坂ツノリの物語  作者: 辛一無理
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第三話: 小さな願い、大きな未来

店の中は穏やかな日差しが差し込み、風鈴の音が心地よく響く。それは三坂ツノリのじいちゃんがかつて言った「眼鏡店はお客様を幸せにしなければならない」という教えを、日々感じる場所だった。


ツノリはその言葉を胸に刻み、今日も店を開ける。毎日が新しい物語、そして新しい未来の始まりだ。


やがて、店の扉が静かに開くと、小学校低学年くらいの女の子が母親に手を引かれて入ってきた。女の子の顔は下を向いており、彼女の小さな胸が緊張でドキドキと鳴っているのがわかる。


玉結が女の子とお母さんを椅子までエスコートする。ツノリは彼女の手をゆっくりと取り、優しく手相を見る。「この線は、大きな夢を持っていることを示しているね。でも、少し不安も感じているみたい。」


女の子はまだ下を向いたまま。


玉結は女の子の横に座り、笑顔で話しかける。「初めての眼鏡だね。大丈夫、私たちが一緒に最高のものを見つけるよ。」


少し緊張がほぐれたのか女の子は、玉結の言葉に恥ずかしそうに頷く。


羅月は、いつものクールな表情をぎこちなく和らぎながら、検眼器具を女の子の目の前にセットする。「大丈夫、これは少し明るくて楽しい光を見るだけだよ。」


女の子は羅月の説明にうんうんと頷くと、初めての検眼を受けた。そして、それに続くフレームの選び。


新しい眼鏡は顔の大きさや耳の高さ、そして鼻の形に調整する必要がある。それを流れるような手つきで合わせていく姿に母親は眼を奪われ、女の子は笑顔になってくる。


新しい眼鏡をかけた女の子の目は、今まで以上にキラキラと輝き始めた。彼女は鏡を見て、自分の新しい姿を嬉しそうに眺める。


「ありがとう」と、彼女は小さく声を出した。


ツノリは微笑みながら、手を視る「一つ大人になったね。大切なものを見る時、この眼鏡が君の力となることを願っているよ。」と言った。


母子が店を出るとき、女の子は振り返り照れながら小さく手を振る。三人はお店の入り口で手を振りながらまた来てねと彼女たちを見送った。女の子の成長の物語と母親の笑顔が続く未来が、ツノリの幸福感を満たしてくれる。



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