【意味怖恐】怠惰勇者のやり直し
人々は俺を怠惰勇者だなんて言いやがる。
気持ちはわからなくもない。
何せ俺には、時間を巻き戻す特殊能力がある。
一度死ぬギリギリまで戦い、死ぬと思った瞬間に
生きたいという意志と共に、勇気のスイッチを押す。
すると、強敵との戦いの前からやり直せる。
俺はこの特殊能力を死の女王と呼んでいる。
相手の弱点や動きを覚えているからかな。
殆ど苦労もなく魔族を退けてしまう。
はたから見たら苦労なんかしていないように見えるんだろう。
俺はお前らの2倍以上の時間を生きているっていうのに・・・!!
一度俺も魔王軍に入ってやろうかとすら思った。
でも、できなかった。
くそっ、つまんねぇ世界だ。
やり直せるなら最初からやり直したい。
「アルス、辛い顔しないで。私は貴方がどれだけ苦労しているか知っている。世界を救ったら・・・その時は一緒に・・・」
その時
上空から巨大な隕石の魔法が降り注いだ。
メ・テ・オ・・・!!!
唯一の俺の理解者、レオナが目の前で蒸発する。
「やめろおおおおおおおおお!!」
俺は何度も死の女王の能力を発動した。
(何度繰り返してもいい、だが、レオナだけは絶対に救う、こいつだけは救ってみせる・・・!!)
繰り返した。
何度も
何度も!
何度も!!
何度もっ!!!
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その時、世界が真の闇に染まった。
【ぼうけんのしょ1がきえました】




