【意味怖】悪魔の契約2
ピンポーン!
「来たか」
悪魔生命なんて初めて聞く名前の保険会社だった。
最愛の人に裏切られた俺は生きている意味もないし
保険に入ったあと樹海にでも行って、母に遺産でも
残そうと思っていた。
「悪魔生命の者です」
「どうぞ」
セールスマンは家の入口から居間にあるものを褒めつつ、椅子に座る。
そして、早速セールストークへ。
「弊社は生命を取り扱う会社で、保険会社ではないのです。」
はぁ?
「あなた、とっても憎い方がいるのではありませんか」
ああ、一人だけな。
俺から全てを奪って裏切ったあの女。
あいつだけは許せない。
もうどこにいるかも分からないが。
「一人だけいる。でもなんであんたにそんな事を言わなきゃならないんだ」
セールスマンはフフンと鼻を擦ると、軽快に喋りだす。
「実は私、悪魔なんですが、ご契約いただければその人間。殺して差し上げます」
「はぁ?」
聞けば、この人間は本当は悪魔で
人間との契約を取らなければいけないんだが
最近は皆疑り深く、契約が取れずに上司にどやされているとか。
失うものは無いし、死んでも良いと思っていたからな。
新手の詐欺とも違いそうだし、契約の詳細を聞くことにした。
「で、俺は何を払えばいいんだ?」
「悪魔は金銭を求めません。
対価として求めるのは、貴方の命です。66日後に、あなたの殺したい人間が味わう苦痛と
同じ苦痛を味わい、死んでもらいます。目には目を・・・歯には歯をというヤツですね。」
どうせ死ぬつもりだったんだ。
良いだろう。奴を道連れにできるのなら、悪魔に魂を売ってやる。
こいつが本物なら・・・な。
それに、いい考えもある。
「じゃあ、契約だ」
「ご成約、ありがとうございます!」
そのとたん、その男の尻から黒々しい尻尾が伸びてきた。
「うわぁ!!!」
「相手にはどのような苦痛を与えて死んでもらいましょうか」
しばらくガクガク震えていたが、次第に、俺を裏切った女への恨みが増してきて震えも止まった。
「俺の目の前で、死よりも苦しい痛みを24時間与え続けた後、殺してくれ」
「あなたも同じ苦痛を味わう事になりますが大丈夫ですよね?」
「もちろんだ」
では・・・
目の前にあの女が現れた。
「よお」
「え…な…なに!?」
「久々だな、そしてさよならだ。裏切りの罪を償え」
「では…始めさせていただきます、ああ音は外に漏れないようにしないといけませんね」
悪魔はこの世の物とは思えない程残虐な方法で女を痛めつけ続けた。
裏切りを受けた俺でさえ、目を開けていられないほど凄惨な光景だ。
「ギャァアア・・・・・・あああああああ」
「意識は失えないのですよ。私は悪魔ですから。」
「やめて、ごめんなさい悪かったわ、どうしてもこの世界から足を洗いたかったのよぎゃああ」
「俺に全ての罪を被せて消えるなんてな」
「あなたが辞めさせてくれなかったんじゃないぎゃあああああああ」
「もう遅いだろ、俺達で何人殺したと思ってるんだ」
「ぎゃあああああ」
その後、清算な拷問は24時間続き、女は息絶えた。
その死に顔は壮絶で、誰もが目を覆いたくなるだろう。
「はい、契約完了ですね」
「ああ、復讐は何も生まないなんて言うが、この世の未練を全て解消できた。ありがとうな」
「ええ、では66日後・・・。え、貴方、な…何をするのです!!」
「あんな24時間の清算な拷問見ていたら、とてもじゃないが俺には耐えられそうにないわ。じゃあ、あばよ」
男は悪魔にそう言うと、自分の喉をかき切った。
鮮血がほとばしり、男はその場に倒れ込む。
血液が大量に流れだし男の身体は痙攣を始めた。
「痛てぇ、痛てえええよ!!なんでだ、なんで俺は死なない!」
身体が血液を失い過ぎで、既に立つ事もできない男は
ぐったりとしながらも、叫び声を上げ続けている。
「66日後って言ったのに。気が早いですねぇ。それでは・・・また。」
不気味な声でフフと笑うと、悪魔は煙のように姿を消した。




