【意味怖】最高で最悪な結末
妻はとても病弱だった。
年々瘦せ衰えていく彼女を見て、僕は身を引き裂かれる思いだった。
なんとか彼女の病状を良くすることはできないか毎日考えていた。
子達は、父と母を尊敬していた。
だが、我が家は貧しかった。
父は朝から晩まで働き、母は具合が良くない日も家事を休まなかった。
父・母をどうにか助けることはできないか考えていた。
私は夫と子供を愛していた。
彼が3つも仕事を掛け持ちしているのは私の為だと解っていた。
子達は働き過ぎの父、病弱な私達をいつも心配してくれていた。
そんな夫と子供の身をいつも案じていた。
皆が、お互いの事を思いやる素敵な家族だった。
彼らは長い付き合いの中で、どのタイミングで何をしてあげれば相手が喜ぶのか解っていた。
朝帰ってきた父には、どんなに短時間でも睡眠時間を与え、出社の時間に起こしてくれる子供
体調が悪い夜にも子供達が忘れ物をしないように、毎日家を出るときに声がけをする母。
自分の体はそっちのけで、妻の体調次第で、仕事を早めに切り上げ様子を見に来てくれる父。
3人の息はいつもピッタリだった。
しかし、ある日一家に惨劇が起こる。
「今までよく家事を頑張ってくれた。大金がてにはいったんだ。この金で手術をすれば
必ず治すことができる。なぁに心配するな。今までずっと働いて手に入れら金さ」
男は内臓が痛むのか、今にも倒れそうになりながら、そして苦しそうに息をしながら虚ろな目で妻に語り掛けた。
「父さん・母さん、いままで育ててくれてありがとう。私ね、外国の人の子供になることにしたんだ。そこのおじさんは凄くお金持ちでね、父さんと母さんが一生安心して暮らせるお金をくれるんだって。このお金見てよ!」
子供は両手を震わせるほどたっぷりの紙幣を持って、涙目で父と母に話しかける。
「・・・・・・・」
母は何も喋らなかったが、手紙が置いてあった。
【二人には黙っていたけど、私には幼い頃に両親が掛けてくれた保険金があるの。この保険金があれば貴方はもう働かなくて済むし、お前はちゃんとした学校に通えるから、しっかりと勉強するんだよ】
 




