表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/239

【底なし沼】ネカフェ難民

15の時だった。

親に二度と戻らないと啖呵をきり家出した。

理由は簡単。

うちが貧乏で、幼い頃からまともにやりたい事も出来ず

事あるごとに金が無いと言われ、携帯すら買ってもらえなかった。


自分には若さがある。

まだ、なんでもできると思っていた。


とりあえず住む場所を探したが

まともに家なんて借りられる訳無かった。


仕方なくネットカフェに泊まると思いの外心地良く

ここをねぐらにして、日雇いで稼いで、お金が貯まったら、何か大きな事をやってやる!!幸い同じような人間を多く見かけたので、こんな生活をしているのは自分だけでは無いんだ!と気力も湧いた。



◇◇◇


あれから50年。

65になった自分には何も残っていなかった。


ネカフェで暮らしながら働いた金は殆どネカフェと食費に使い、たまにお金が貯まってもストレスでパッと使ってしまっていた。


抜け出したかった。

ネカフェ難民という沼から。

しかし、歳を取れば取るほど、気力は萎え、体力は衰え、抜け出すことは叶わなかった。



この50年でネカフェの外も変わっていった。

外には若者が増えたが、半分以上は外国語で喋る人たちだ。

今や自分も彼らに雇用されている。


給料もドルで支払われるようになって久しい。



50年前とはまるで違う風景

だが、心はさほど荒んでいなかった。

なぜなら、ネットカフェの中だけは50年前と全く変わらないからだ。

そう、今やここは私の家、そして私の故郷。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ