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(仮)犯人当てを趣味にしているニートには霊視の能力がありました  作者: ゆずさくら


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探査

 別荘に飛び込んだ沓沢は、必死に丸山を探した。

 鍵のかかる納戸があるか、手足を縛られた丸山がいるに違いない。沓沢は、部屋の位置を把握しながら、なるべくものの位置に触れないようにして内部を探る。

 大きなリビングとダイニング、残る部屋には鍵が掛かっておらず、風呂場を含め、誰もいない。

 と、すると上の階か。沓沢は入口近くの階段へ戻り、鍵が掛かっている部屋がないかを探る。

 二階に上がった階段近くの部屋は扉が開いていて、誰もいない。

「……」

 廊下側からの光が入って、部屋の中がうっすら見える。誰もいないが、坂田が飲み食いしたのか、ペットボトルや飲食物のゴミが置かれていた。

 中を確認するが、誰もいない。とすると、隣の部屋にいるのではないか。

 沓沢は緊張感を持って次の部屋に向かう。この部屋から出て下に降りようとすれば、さっきの部屋の扉の前を通ることになる。

 扉のレバーに手をかけて部屋に入るように押し込む。

 鍵は掛かっておらず、扉が動いた。

 部屋の中は雨戸が閉まっているのか、真っ暗だ。

「丸山さん」

 明かりをつけようと壁に手を伸ばすが、スイッチが見つからない。

 どこかに明かりを点ける手がかりはないのか。

 少し暗闇に目が慣れてくると、部屋の中央に下がっているものが見えた。

「今時こんな明かりのスイッチがあるのか」

 天井から下がった紐を引くと、スイッチが入り、その先についた明かりがつく仕組みだ。

 この国の明かりのスイッチとしては主流だったが、今では滅多に見られない。

 沓沢は手を伸ばそうとして、手を止めた。

「んん……」

 言葉になっていない、息が漏れただけの音だったが、人がいる。沓沢はもう一度そのスイッチに繋がる紐の先を掴もうとして手を伸ばす。

「んん……」

 沓沢が手を伸ばそうとすると声がする。

 沓沢には霊感がある訳ではなかったが、誰かがこの『スイッチ』を入れるなと言っているのだと理解した。

 もしここにいるとすれば、この声にならない声の主が、丸山に違いない。

 沓沢はようやくスマフォのLEDの存在を思い出した。

 スマフォを操作すると部屋はパッと明るくなったが、部屋に誰もいないことがわかっただけだった。

「丸山さん!」

 危険を承知で、少し大きな声を出して反応を見た。

 この部屋じゃないのか。

 沓沢は静かに廊下に出て、最後の一部屋に向かう。

 やはり部屋の鍵は掛かっていない。結局、全ての部屋の鍵は開いていた。

 スマフォの光で隈なく照らして見るが、物陰もなく、手がかりすらない。

 まさか既に丸山は殺害されているのか。あるいは、俺達が見当違いの捜査をしているのか。

 ゆっくりと考えている暇はない。

 沓沢は念のため、ペットボトルが置かれていた部屋をもう一度確認する。

 押し入れ…… どこの部屋の押し入れも探したが、この部屋の確認をしたか覚えがない。

 沓沢は押し入れの扉を開いた。

「……」

 目一杯、布団が入っているだけだった。下の段を見よう、とした時、スマフォが振動した。

『沓沢さん 出て』

 北上からのLINKメッセージだった。

 坂田が戻ってきたのだ。

 膝を曲げて、沓沢は下段を確認した。

「!」

 女性だ。

「丸山さん?」

 スマフォの明かりを向けると、それが誤認だったことがわかる。

 一応、女性と言えば女性ではあった。

 それは性処理用の大型人形だった。

 坂田は家族がいるのではなかったか。別荘に家族は来ないのだろうか。家族が見つけるかもしれない場所に、いわゆるダッチワイフとか、ラブドールと呼んでいるものを堂々と置いておく神経が分からない。

「無駄足だったか」

 そう独り言を吐いてから、大きく深呼吸した。

 引き戸だ。反対側を見てない。

 扉を左側に寄せると、押し入れの右サイドを見た。

「丸山、さん?」

 ラブドールの反対側に、丸山を発見した。

 手足、口をガムテープできつく巻かれて寝ていた。

 沓沢は揺すって丸山を起こす。

「丸山、丸山!」

 ようやく聞こえたのか、丸山が目を開けた。

 押し入れから引き摺り出すと、沓沢はボールペンを器用に使いながら、手足を縛っているテープを切り取っていく。

 さっきから何度もLINKのメッセージが来ていたが、それも止まった。

 もうLINKメッセージをおくれないほど、坂田が近づいているということだ。

 沓沢は考える。

 ここは二階で、階段を降りると出入口近くに出てしまう。

 まともに逃げようとすれば、坂田と鉢合わせになってしまうだろう。

 二階から飛び降りるしかない。

 俺は壁に足をかけたり、して少しでも落ちる距離を縮めれば降りれるだろう。

 だが、丸山はどうする。

 女性の腕力では、体を支えられない。かと言って俺が背負ってそれができる訳でもない。

「はぁ、助かりました」

「いや、まだだ、急いで逃げないと。手伝ってくれ」

 丸山は頷いた。




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