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(仮)犯人当てを趣味にしているニートには霊視の能力がありました  作者: ゆずさくら


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20/38

ダミー

 細かく話していくなか、まずは大学の監視カメラの映像を確認することになった。

 警視庁の一室で、堂島に南東武大からコピーしてもらった画像を見せる。

 北上は思った。この動画は、丸山の行方を確認する目的だったが、おそらく坂田教授も映っているだろう。一石二鳥だ。

「その坂田という方は……」

「聞き取りした状況だと昨日の晩、タクシーで大学に戻ってきたと言っていた」

 画像をすすめていくと、画像の中でタクシーが南東武大の正門前についた。

「これか?」

 映像はタクシーから出てくる男を映している。

 スーツをきた、中高年。

 北上が堂島の顔を見て言ってくる。

「どうだ?」

「霊は憑いてますが」

「なんだ、その先を話してくれ」

 堂島は腕を組んで考えた。カオナシにしては、力が弱いような気がする。角田議員に匹敵するような力がないと、あの『カオナシ』の映像を作り出せないと思っていた。堂島は霊が憑いているかどうか、そのものの力の強さは何となく感じているが、どの程度の力で、どんなことができるかについては明るくなかった。それがわかるには、もう少し経験を積む必要がある。それは堂島自身が感じていることだった。

「ちょっと細かいところは話せません。僕の発言で、変な先入観を持ってしまうのは良くない気がします」

 沓沢が割り込んでくる。

「わかった。憑いている、憑いていない、で言うなら、憑いている、で間違い無いわけだな」

「はい」

「たとえば、本人を見た方がよくわかる、ということはあるのか?」

 堂島は震えた。

「動画で見るものよりは精度は良くなると思います」

「沓沢さん、その前に丸山の確認をしておきましょう」

「堂島くん、聞いているかわからないが、丸山さんの行方不明と、この坂田が関係しているかもしれない。丸山さんの行方が分からなくなる前、この大学教授の取材をしていたんだ」

 沓沢が喋っている間に、北上が動画を準備する。

「取材した時の監視カメラの映像がこれで」

 大学内に入ってくる丸山が映っている。

 いつものメガネ姿で、ゲスト用のカードを下げている。

「この大学の研究室は、カード操作で鍵を開けるんだ。実際、現場に行ってるから間違いない」

 北上は続けて、時刻を変えて別の動画を再生する。

「そしてこれが帰り。これ丸山だよな」

 堂島は画面をじっと見つめる。

 何かが違う。堂島の直感がそう言っている。北上からマウスを奪うと、何度も再生する。何かが、行き(・・)と違う。

 行きは一人で、通行していて、帰りは坂田教授と一緒に歩いている。

 見た感じは一緒なのだが、何か不自然なものを感じる。

「!」

 堂島は北上の顔を見た。北上も何かに気づいたようだった。

「……何かおかしいな」

「そうです。この動画はもしかしたら、坂田の持つカオナシとしての能力を使って、別人を『丸山』さんとして記録させたものかも」

 再び『行き』の動画を再生する。

「ほら、ゲストカードが無い」

 堂島が言うと、北上も賛同した。

「そうだ、首にかけていたカードが無い」

「映像を見ると、学生は身分証を首からかけていない。丸山さんのような一時的に入室する人だけが、ゲストカードを首から下げてる。きっと帰りの記録は、坂田が学生と一緒に歩いているところを『誤認』させようとした映像なんだ」

「うん。その考えは実態とあってる」

 北上は大学の中を歩いていた時のことを思い出し、そう言った。

「よし、坂田の動きを見張ろう。坂田が丸山に接触するかもしれない」



 大学の駐車場に車と停めると、建物が見える位置に移動した。

 そして坂田の研究室の位置を、外から確認した。

 研究室の明かりは点いている。

 北上が言う。

「まだいるな」

 堂島は反論する。

「明かりが点いているだけかも」

「……確認しよう」

 そう言うと、沓沢は誰かに電話している。

「そうだ。坂田教授に電話しろ」

 何か質問をされたのだろうか。

「何でもいいだろう! それくらい自分で考えろ。とにかく結果を返してくれ」

「どうしたんですか?」

「知り合いの警官に電話で坂田教授が学内にいるか確認させてる」

 しばらく待っていると電話が返ってきた。

「わかった。ありがとう」

 沓沢は言った。

「カードリーダーのシステムで、在館しているかわかるそうだ。それで確認してもらった結果、研究室にいるらしい」

「……」

 堂島は黙って、明かりを凝視した。

「何か見えるのかい?」

「いいえ」

 北上と沓沢が交代して部屋を監視し、堂島は車の中で休んだ。

 夜半を過ぎたあたりで、堂島は三十分ほど寝てしまっていた。

 車の中に残っている沓沢が、北上からの連絡を受けて言う。

「すまん。明かりが消えたらしい。一緒に来てくれ」

 堂島は沓沢について建物を回る。

 出入りできそうな場所は二ヶ所。

 一つは北上が抑えて、もう一つを沓沢と堂島が見ていた。

 校舎は緑の非常灯が廊下をボンヤリ見せているだけで、真っ暗に見える。

 すると校舎の扉から警備員が出てきて鍵を閉めた。

 沓沢はスピーカー通話にしていたスマフォに話しかける。

「……そっちから坂田は出てきたか?」

「いいえ」

「こっちから警備員が出てきたから、確認する。一旦切るぞ」

 堂島は沓沢について、警備員を追いかける。

「すみません。警察のものですが」

 警備員は帽子をとって、沓沢に頭を下げると言った。

「ああ、夕方の刑事さん。どうなさいました?」

 沓沢は警備員の出てきた校舎を指さし言う。

「そこの校舎、坂田教授の部屋の明かりがついていたのですが」

「ああ、そうだったので、私が部屋に入って声かけしたんですが、どこにもいらっしゃらないので、こちらで明かりを消してきました」

 沓沢の声の調子が少し変わった上に、口調が速くなった。

「誰もいなかった? 電話で聞いた時にカードのシステムでは在館されていると聞いたのですが」

「たまに、カード操作だけして入らずに、出て行ってしまう方がいるんですよ。そうすると在館している表示が残ってしまうんです」

 警備員から目をそらし、沓沢は小さい声で言う。

「やられた」

 警備員に礼を言うと、堂島の肩を叩いた。

「車へ急ごう」




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