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(仮)犯人当てを趣味にしているニートには霊視の能力がありました  作者: ゆずさくら


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サクラ教団のアイドル

 警察病院の帰り、車で来ていた丸山が藤井と堂島を乗せて走っていた。

「近くの駅まで構いせんので」

「丸山さんも都心に住んでて、玲香ちゃんの家も都心なんだから、最後まで送って行ってもらったらいいよ」

「気にする事ないのよ。堂島くんからお金は貰ってるんだし」

 玲香は苦笑いした。

 丸山は運転しながら、玲香に話しかける。

「玲香さん、誰かに似ていると思ったけど、アイドルの未葉(ミハ)ちゃんに似てるわね」

「……」

 丸山は二人の反応が薄いことにショックを受けたようだった。

 必死に自分の意見をフォローする。

「ほら、あの世界的に有名な清涼飲料水のCMやってるじゃん」

「僕、テレビ見ないので」

 そうか。堂島がテレビを見ないのは聞いていたが……

「えっ、もしかして、玲香さんも?」

 恥ずかしそうに顔を俯けて答える。

未葉(ミハ)さんですか? その方のお顔を見ればわかるかもしれませんが、(わたくし)もあまりテレビを見ないもので」

 丸山は、どうしても自分が言ったアイドル『未葉』のことを教えたくて、うずうずしていた。

 しかし、運転中なのでスマフォや車の中のテレビの操作もできない。

「あっ、ほら、そこの看板!」

「えっ?」

 二人が慌てて反応するが、もう見えなくなっていた。

 丸山は看板が見える度、チラチラ確認してしまう。

 関連して、気になることがあった。

「堂島くん、ああ言う看板だと『霊』が憑いているかどうかはわからないんでしょ?」

「ええ。流石に看板からは分からないです。看板だと絵の場合もありますし」

 玲香が言った。

「あ、あの看板ですか? あの方はお友達がよく話題にしています」

 丸山と堂島が反応する。

「そう? 玲香ちゃんには似てないよ」

「違う違う。あの看板に描かれた女性(ひと)は、アイドルというか、女優の由依(ゆい)ね。確かに人気は高いけど…… 本人はサクラ教団の信者だって。動画だったら、何か憑いているのが見えたかもね」

 丸山はそこまで走って、ようやく気づいた。

「そうだ。堂島くんがスマフォで検索すればいいじゃない。ほら、アイドル、ミハで検索してよ。有名だからそれだけで確実に出てくるから」

 検索すると、そこには確かに玲香に似た女性が表示された。

 堂島はスマフォの画面を玲香の横に持っていき、同じような角度に顔を向けさせて比較した。

「確かに、この画像なんか特に似てる」

「なんか、似過ぎていて気持ち悪いです。あと、テレビを見ているお友達から、この方の話が出たことがないのも気になります」

「でしょでしょ! 初めて見た時からずっと言いたかったのよ!」

 丸山は勝ち誇ったように叫んだ。

 堂島は続けて女優の由依を検索した。

 恐る恐る、動画を選択し、再生する。

 とても爽やかなカレーのCM。

 だが、堂島には由依を縁取る、異様にも思える空間の歪みが見えた。

「うわっ!」

「えっ? どうしたの」

「いつから!? 普通に生まれた人間に霊を憑けて、こんなになる訳ないのに」

 堂島は考えた。生まれる前からか、お腹にいる時から何かを憑けられたとしか思えない。

 動画の『威力』を見る限り、このサクラ教団のアイドル・女優は、その力を芸能へ全振りしているようだった。力の発揮する領域が『芸能』に限定しているからマシだが、この女性(ひと)がひとつ踏み間違えて、邪悪な道に踏み込んだら……

「これだから怖くてテレビとか、動画は見れないんだよ」

「そんなに凄いの」

 もしかしたらあの議員の角田(つのだ)より強い。カオナシの比ではない。だが、怖がらせないよう、堂島はそこまでの表現は使わなかった。

「ええ」

「けど、スマフォ持ってるのに動画見ないなんて、何のためのスマフォよ」

「家族とLINKが出来れば十分ですよ」

 堂島は、車の窓から流れる景色を見た。

 霊が憑いている人は『人の天敵』だ。

 その『天敵』がこの街の中に、一体何人いるのだろう。

 そしてサクラ教団は、『天敵を生み出す集団』になっている。サクラ教団が生み出す天敵が、政治家、女優、会社の社長や役員、行政のトップなど、世の中を動かすようなポストを埋め尽くしているとしたら……

 堂島は車の窓から見える景色に、寒気を覚えた。



 玲香達を送り届けた後、自宅に着いた丸山は、玄関でメールに気づいた。

「編集長からだ」

 鍵を開ける前に、そのメールを見始めた。

 それは科学・技術雑誌に載せる記事を作るため、大学教授への取材を依頼するものだった。

 丸山はどちらかというと事件・事故・街の噂と言った俗な雑誌に記事を書いていた。科学・技術系の雑誌に記事を書くような記者ではない。

 メールを読み進むと、大学教授側からご指名があったという。

 サクラ教団の批判記事だったが、内容の論理性などに感心したのだとそうだ。

「……」

 丸山は自らの記事を評価され嬉しいような気持ち半分、科学・技術のついては門外漢である自分が、そんな大学教授の取材などが務まるだろうかという不安な気持ちが半分だった。

 大学教授とは、もうアポもとっているらしく、代わりを見つけないと自分の都合ではキャンセル出来ない状況になっていた。

「しょうがない…… 引き受けますか」

 丸山は話を受けると返信をしてから、部屋に入った。

 ノートパソコンのロックを解除して、大学教授の名前を検索する。

 ゼミが厳しいとか、どんな研究をしているとか、論文もいくつかヒットする。

「ではでは、ご尊顔は…… と」

 丸山は表示方法を「画像」に切り替える。

「えっ?」

 思わず声を上げた。

 出鱈目な顔が表示されるばかりで、どれが本人の顔かわからない。

 ほとんどはゼミの様子を写したもので、教授が写っている映像がない。

 著者近影とかで、本の裏表紙などに載っている場合がある。

 しかし検索してもやはり顔が出ない。

「……」

 まあ、アポは取ってある。行けば会えるのだから心配ないか。

 丸山はそう考えた。




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