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(仮)犯人当てを趣味にしているニートには霊視の能力がありました  作者: ゆずさくら


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癒着

 サクラ教団の室内側の明かりが、長髪の男を照らし出していた。

 男は、どうやったのかわからないが、建物正面のオートドアを丸ごと吹き飛ばした。

 爆薬を使ったわけでも、鍛え上げた肉体の力で壊したわけでもない。

「北上さん、そいつには何か憑いてる」

 堂島が北上の手を引いて、距離を取らせる。

 代わりに梁巣が踏み込む。

「……俺に任せとけ」

 梁巣はファイティングポーズをとると、そのまま軽く左拳を突き出した。

 正面口にいる男とは、十四、五メートル離れている。届くわけがない。

 だが、男の右肩が弾かれたように後ろに動いた。

「これは……」

 北上は思った。

 最初に見た時は車の影に隠れながら見たし、梁巣とは反対側から見ていた。だから、何が行われているのかわからなかった。

 今回は梁巣の後ろから、隠れることなく見ることができる。

 梁巣は右のローキックを繰り出した。

 当然、十数メートル先の男に、足が当たるわけがない。

 しかし、男の左すねには、何かがぶつかったような反応が起こる。

「ヴ……」

 はっきりと声にならない、うめき声。

 オートドア側にいる男も、正面に立つ男が敵だと認識したように、姿勢を低くした。

「こいよ」

 梁巣が言うと、堂島は北上の手を引っ張る。

「北上さん」

「……」

 北上は目の前で繰り広げられる『不思議な戦い』に気持ちを奪われていた。

 十数メートルの間を飛んでいる何か。

「ほら、こいよ」

 梁巣は相手を挑発するように手招きする。

「北上さん、ヤバい」

 堂島は全力で北上の腕を引っ張った。

「!」

 オートドアが倒壊したときより大きな音がして、衝立やテーブルが飛び、植栽の鉢が割れた。

 見ると、梁巣の足元の床が半円を描くように割れている。

 ぼけっと立っていたら、北上にもあたったかもしれない。

 梁巣は腕を十字にクロスして顔の前に構えていた。

「梁巣! 無事なのか!?」

「こっちも全力でいくぞっ!」

 梁巣はボールを遠投するかのように右手を振りかぶり、素早く前にだす。

 振り下ろしたら、今度は左足を踏ん張って、左拳を振り上げる。

 返す刀で、右拳を振り下ろし、また左を振り上げ、テンポを速めながら繰り返す。

 見えない打撃が、長髪の男を繰り返し襲う。

 男は梁巣の攻撃を避けきれず、よろよろと後ろに下がるが、そこに追加の打撃が飛んでくる。

「梁巣さん!」

 堂島は梁巣を止めに入る。

「だめだ! これ以上やったら()んじゃう」

「俺の攻撃は霊にしか当たってねぇ」

「そうかもしれないけど!」

 梁巣が攻撃を止めた。

 堂島はうつ伏せに倒れてしまった長髪の男に駆け寄る。

「北上さん、救急車を」

「お、おう」

 北上はスマフォで警察と救急に連絡する。

 梁巣がゆっくり長髪の男に近づく。

 強烈なアンモニア臭で鼻が曲がりそうだった。

 男は激しい呼吸をしていて、体力を消耗している。梁巣の攻撃は、霊にだけ届くはずなのに、長髪の男の体力が削られていることになる。長髪の男の攻撃は、オートドアを壊し、机や衝立を吹き飛ばしたりと、物理的な干渉が可能なものだ。地下の駐車場で北上を助けた時も、男自体は転んだ拍子に傷ついたかもしれないが、それ以外のダメージはなかった。霊が憑いていた時の記憶すらなかった。

 だが、この男は違う。梁巣の攻撃が効いて(・・・)いるのだ。

「もしかして、癒着か」

 堂島が梁巣を見上げる。

「多分。長い間同じ霊に支配されていたせいだと思う」

「まだ霊がの……」

「残ってるよ。けど、僕がみる限り、梁巣さんには除去出来ない」

「くっ……」

 梁巣は自分の拳を見つめ、悔しさを滲ませた。



 救急車が、施設内に到着して、堂島と長髪の男を乗せ、病院に向かった。

 警察の鑑識がサクラ教団の破壊された施設を調査している。

 沓沢がやって来て、北上を敷地の端に連れていく。

「全く。お前がいて何をやってるんだ」

「すみません」

「今回の被害者といい、梁巣(あいつ)といい、どんな力を持っているんだ」

 北上は見たことをそのまま話すことを、ためらった。

「超能力みたいなもんなのか」

「そう思ってます」

「そんなものでこんな爆発事件のようなことが発生するとなったらパニックになるぞ」

 北上は思った。

「この軍事力に応用しようと他国が調査を始めるとか? それこそ映画の見過ぎじゃないですか」

「バカ。信じられない力を平然と受け入れているお前の方が漫画や映画の見過ぎなんだ」

 北上は考えた。どうするんだろう。爆発物か何かでやったこととして報道に説明するんだろうか。

「原因は調査中で押し切る。事実も事実でないものもマスコミは言うな。あの丸山から漏れることないようにしろよ」

「はい」

 北上は頭を下げた。




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