表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装剣豪令嬢  作者: 高美濃 四間
最終章 リン・カーネルの逆襲 
46/48

僕は改めてリリーナの恐ろしさに戦慄したのだった

 アリエスはベッドでぐっすり眠り、僕たちは居間でこれからのことを話していた。


「準備は整っているということでしたけど、具体的にはどのように?」


「店を妨害した賠償金を支払わないというのなら、それを逆手にとろうって話だよ」


「どういうことでしょう? なにか良い方法があるのですか?」


「ああ、既にケイト店長にお願いして、イージス金庫へ相談に行ってもらった」


「イージス金庫? もしかして、店の被害をカバーするのに、金を借りる必要があるということでしょうか? しかし、わざわざ金利の高くつく金庫番の融資を受けなくても……」


「違う。狙いは、イージス金庫がアルゴス商会へ行っている融資だ。まず、カフェ・ハウルがアルゴス商会から営業妨害を受けたという事情を話す。実行犯の証言もあるので、賠償金を請求してはいるがまったく応じないと。そこで、アルゴス商会は今、経営難に陥っているのではないかと訪ねるわけだ。当然、彼らもアルゴス商会へ融資している以上は、経営状況を把握しているだろう? というニュアンスを込めてね」


 リリーナが二ヤリと薄い笑みを浮かべる。

 彼女の狙いがようやく分かった。

 アルゴス商会の経営危機をそれとなく示唆(しさ)することで、イージス金庫を動かそうというのか。

 アルゴス商会の規模を考えると、おそらく融資している額は決して少なくないはずだ。

 当然、金貸しとしては、融資が焦げつくのを恐れる。


「まさか、既にそこまでの手を打っていただなんて……」


「きっと今頃、イージス金庫は慌てて調査の準備をしているはずさ。上手くいけば、商会へ直接踏み入ってその目で財務を確かめようとするだろう。そうなれば、窮地に陥っている現状が明るみになる。貸し剥がしまでしてくれれば御の字だな」


 リリーナは勝ち誇ったように頬を緩ませ、優雅に紅茶を飲む。


 貸し剥がし……融資先の返済能力がなくなったと判断した金庫番が、返済期日を待たずして融資金を全額回収しようとする行為だ。

 もし現金での回収が困難な場合は、資産価値のある屋敷や商品の在庫を差し押さえる。

 それが決行されれば、間違いなくアルゴス商会は破産するだろう。


 なんて恐ろしい妙案。

 これが実業家としての彼女の実力。

 商売をする者なら誰もが敵に回したくない相手だろう。


「恐れ入りました。いったいいつの間にこんな話をケイト店長としていたんですか?」


 少なくとも僕にその記憶はない。


「あぁ、君が店の新商品に夢中になっている間にだよ」


 あっ、そういえば、店長と話してくるって言って、長く席を外していたこともあったっけ……

 確かに、あのときはアフォガードという新しいスイーツに夢中になって気にもしてなかった……反省しよう。

 もちろん、アフォガードは美味しかったけど。

 アイスクリームにコーヒーをかけるというのがまた……


「ルノ?」 


「ハッ! な、なんでもありません!」


「後は追い詰めたアルゴス商会をどうするかだが」


「そうですねぇ。大きな鉱石商が破産したとなると、市場が混乱しそうです。働いている商会員の方々も路頭に迷うことになるでしょうし……」


「心配はいらないよ。ちゃんと考えてあるから。アルゴス商会の腐った幹部たちだけを追い出す方法を――」


 その方法を聞いたとき、僕は改めてリリーナの恐ろしさに戦慄したのだった。

もし「続きが気になる!」と思って頂けましたら、この下にある☆☆☆☆☆から作品への評価をお願いしますm(__)m

また、レビューもして頂けると、大変嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ