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女装剣豪令嬢  作者: 高美濃 四間
第三章 貴族たちの世界
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スイーツ食べ放題!?

「――ケシー、うちのボディガードに色目を使うのはやめてもらおうか?」


 クイント家の屋敷は現在、修羅場と化していた。

 なぜかケシーは僕の腕に抱きつき、幸せそうに頬をとろけさせている。

 そしてそれを見て、リリーナは憤怒の形相で仁王立ちだ。 

 うぅ、なんか胃がキリキリする。

 

「まぁ、色目を使うだなんて、女同士なんですからスキンシップの範囲内ですわ」


 ケシーはそう言って僕の腕に頬ずりしてくる。

 『女同士のスキンシップ』と言われて、僕は罪悪感にさいなまれていた。

 あぁ~ごめんなさい! 騙していて本当にごめんなさい!


 だがそんな後ろめたい気持ちも、腕に押し付けられた膨らみによって弾け飛ぶ。

 や、柔らかいっ!?

 僕の脳に衝撃が走った。

 う、腕に押し付けられているこれは、もしかしなくても、お、おっぱ、ぱぱぱぱぱぱぱぱパイーン!?

 いけない、思考がすべて吹き飛んでしまった……


「顔を赤くして、どうしたんだ? ルノ」


「ひっ……」


 リリーナが絶対零度の目を向けてきていた。

 視線だけで胸をわしづかみにするような鋭い目がこ、怖すぎる。

 彼女は僕が男だと知ってるから、喜んでると勘違いしているんだ。

 ど、どどどっどうしよう!?

 

 僕があわあわしていると、ケシーはさらに腕を強く抱き、リリーナへ告げた。

 

「ルノさんをアストライア家の養女として迎え入れますわ」


「却下だ」


「どうしてあなたに決める権利がありますの!? あなたは所詮、ただの雇用主でしょう? もし彼女に金銭面での問題があるのなら解決できます。ですから、もうあなたの元で働く必要はありませんわ」


「そもそも急すぎる。ルノをアストライア家に迎えて、どうするつもりだ?」


「わ、私のお姉様になってもらうのですわ。ずっと前から、ルノさんのような素敵なお姉様が欲しかったの」


「はぁ? 寝言は寝てから言いなさいな」


「お父様もお母様もルノさんならと、お許しくださいましたわ」


「やれやれ、そんな理由で押しかけられても困るな。ほら、ルノからもなにか言ってやってくれ」


「……へ?」


 あれ? 僕の思考が吹っ飛んでる間に、なんか凄い話になってない?

 ケシーは期待に満ちた、キラキラした目で上目遣いに見てくるし、リリーナは威厳に満ちた力強い眼差しで見つめてくるし、針のむしろだ。

 誰か助けてぇ……

 

「ルノさん、ぜひとも当家の養女になってくださいな。そうすれば、もうお金の心配もいりませんし、大好きなスイーツだって食べ放題ですのよ?」


「ス、スイーツ食べ放題!?」

 

「ルノ」


 ひぃっ、また地獄の底から響くような声が……

 いけないいけない、僕としたことが。

 とても魅力的な提案だけど、彼女が言っているのは僕を『養女』として迎え入れることだ、『養子』じゃない。

 正体を明かしてしまえば、話は変わってくるのだろうけれど、リスクが高すぎる。

 僕が男と知ったとき、彼女はどんな反応をするのか、憧れのお姉様を見つけたという幻想を砕いたとき、彼女はいったいどんな行動に出るのか、それを確かめる覚悟が僕にはない。


 僕はケシーからそっと体を離すと、意を決して告げた。


「ケシー様、お気持ちはとてもありがたいです。ですが、私はリリーナさんの護衛を辞めるつもりはありません。どうかご容赦ください」


「そんなぁっ! どうしてですの!?」


「ルノはな、人には話せない大変な事情を抱えているんだ。そしてそれを知っている私としか、一緒にいることはできない」


 リリーナは神妙な表情でそう告げた。


 っておぉぉぉぉぉい!

 またなんてことを言ってくれるんだこの人はぁ!

 どうしていつもそう、余計なことを言うかなぁ!?

 あー頭が痛くなってきた。

 

「そんな事情があるんですの? それなら、私にも教えてくださいまし。どんなことでも必ず受け止めてみせますから!」


「ダメだ、君に話すことはできない」 


 リリーナは口では深刻そうに言っているが、勝ち誇ったようなドヤ顔をしている。

 この表情は……ただマウントを取りたいだけじゃないかぁぁぁっ!

 今朝の可愛らしい反応といい、僕には妹が駄々をこねているようにしか見えない。


 ケシーが捨てられた子猫のように潤んだ瞳で見上げてくると、罪悪感がこみ上げてきた。

 それでも僕は、すべてを明かして楽になりたい気持ちを抑え、頭を下げる。


「本当に申し訳ありません」


「そう、ですか……」


 ケシーは悲しげに呟きうつむく。

 あぁぁぁ、心が痛いぃ。


「……諦めません」


「え?」


「私、ルノさんのこと……いえ、ルノお姉様のこと、諦めませんから!」


「何度来たって同じだよ。私とルノの絆は、誰にも断ち切れない」


 ケシーとリリーナがにらみ合う。

 バチバチと火花を散らし、それぞれの背後には、虎と龍が見えるようだ。

 いや、どうして本人を無視して話を進めるの、あなたたち。


「それでは今日のところは失礼しますわ。ルノお姉様、リリーナ、ご機嫌よう」


 怒涛の嵐を巻き起こした張本人は、優雅に去って行くのだった。

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